日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

脱炭素化は経済戦争でもある

2021年03月06日 10時36分32秒 | 日々雑感
 菅首相2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ宣言し、バイデン米大統領もパリ協定に復帰し、温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す国は日本を含め120カ国・地域を超え、世界は地球温暖化防止に向けて走り出し、これで温暖化対策は万全かと思ったらとんでもないようだ。

 パリ協定は地球温暖化に伴う被害を減らすために気温上昇を産業革命前から2℃未満、出来れば1.5℃に抑えることを掲げる。そのために全ての国が温室効果ガスの削減目標などの対策案を国連に提出し今世紀後半に排出の実質ゼロを目指す枠組みだが、例え2050年に排出実質ゼロが実現できたところで、それまでに自然界に蓄積された効果ガスはゼロにはなっていない。

 更に今年、2月26日国連の気候変動枠組み条約の事務局長が、パリ協定の目標達成は到底覚束ないとの報告書を提出したそうだ。パリ協定では2℃未満達成のために2030年に2010年比約25%減、1.5℃の達成には約45%減が必要とされている。そこで国連が昨年末までに提出・更新された世界75の国・地域の削減目標を積み上げたところ、全体で2010年比1%減の効果にとどまることが分かったと言うのだ。

 最近、何十年ぶりの猛暑や豪雨との異常気象発生の話題が絶えなく、これも地球温暖化のためと説明される。これは人間の営みの結果炭酸ガスを始めとする温室効果ガスが地球を取り囲むためと説明され、様々な研究の結果、多くの人の信ずるところとなっているが、これを解決するのは容易でない。

 それでも世界は脱炭素化の流れとなっているが、この流れは科学論争の域を越えて、経済戦争へと変容しているようだ。すなわち、温室効果ガス削減の為の技術の流れをいち早く主導することに主眼が置かれるようになっているのだ。

 国内で出る二酸化炭素(CO2)の内、乗用車などの運輸部門の排ガスは約2割も占めるそうで、日本政府もガソリン車の新車販売を2030年代半ばに禁止する方向で、電気自動車(EV)などの導入を拡大する制度の最終調整に入ったようだ。

 一方、英政府は、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止する方針で、しかもガソリンと電気を併用するハイブリッド自動車(HV)の新車販売を2035年に廃止する予定だそうだ。

 化石燃料自動車の販売禁止はすでに世界の大きな流れになっているが、日本の産業の屋台骨を支えるトヨタの主力商品であるHVの扱いが大きな問題となる。欧米各国のHVを禁止する動きは、HVでは日本に技術的に対抗しきれなくなった背景もあるとのことで、脱炭素化に隠れた経済戦争でもあるそうだ。

 また、日本は風力発電の分野では世界の洋上設置型では世界から大きく後れを取った。日本は遠浅の海岸が少ないため洋上浮上式が有利と思われこちらに注力してきたが、世界の流れから外れてしまった。国内産業だけではなく輸出まで考えれば世界の流れに乗る必要があり、脱炭素以前に経済戦争でもある。2021.03.06(犬賀 大好ー683)