日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

認知症高齢者は ”かもねぎ” だ

2018年07月11日 09時22分10秒 | 日々雑感
 認知症高齢者は、2015年時点で約500万人いるといわれている。そして、2025年には約700万人に増加すると推計されているので、高齢者の5人に1人は認知症となる勘定である。

 また、日銀が昨年9月に発表した統計によると、家計の金融資産残高は同年6月末時点で、1832兆円と過去最高を更新したそうだ。日本の現金の残高は2016年末に102.4兆円と過去最高に達し、その内43.2兆円がタンス預金だとみている識者もいる。

 年齢階層別にみると高齢者ほど貯蓄額が多い。高齢者全体が保有する貯蓄額に認知症患者の発症率を掛け合わせると、認知症高齢者の貯蓄総額は約50兆円と試算され、2025年には約70兆円に増える見込みだそうだ。

 認知症高齢者の7割が在宅で生活していて、病院や介護施設に入院・入所している者よりも圧倒的に多いとのことである。このような時代背景もあるのだろう。昨年1年間に全国の警察が認知した特殊詐欺の被害件数は、1.8万件で7年連続の増加となったそうだ。現在の統計の取り方になった2010年以降で最多らしい。

 特殊詐欺とは、オレオレ詐欺、振り込め詐欺、架空請求、融資詐欺、還付金詐欺、金融商品等取引名目の詐欺、ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺、異性との交際あっせん名目の詐欺などの詐欺の総称だ。

 オレオレ詐欺では、被害者方の自宅電話に息子と名乗る男から「オレオレだけれど、喉の調子が悪い、病院に来たのだが待合室で鞄を無くした。至急金を振り込んでくれ」との連絡があり、思わず振り込んでしまうは単純な方で、最近では手口が複雑化している。例えば、再度、男から「鞄の中には会社の通帳なども入っていた、取引の関係で至急現金が必要だから会社の人間に渡して欲しい」などとの連絡が入る等、複数の人間が役割分担して騙しにかかる。

 冷静に考えればおかしな点はすぐに気が付くはずであるが、人間は身内の不幸となると慌てるようで、高齢者となると頭の回転も鈍っているだろう、すぐに騙される。すぐに現金が用意できるのも不思議であるが、タンス預金している高齢者が如何に多いか物語っている。

 オレオレ詐欺のように手口が分かっている詐欺に対しては対策がなされ、被害額は約390.3億円で、3年連続の減少のようだが、新たな手口はどんどん広がっている。

 例えば、妻に先立たれた資産家の高齢男性を”かもねぎ”とする「後妻業」だ。寂しさから結婚相談所に登録すると、そこで待っているのはプロ女性たちだ。長い人生の経験もあり、仕事を通じて見識も持っているはずの高齢男性が、なぜかいとも簡単に騙されるそうだ。

 京都や大阪を舞台にした高齢男性4人への殺人および強盗殺人未遂に問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判が、6月26日から始まった。被告は、高齢男性を次々とだまし、億単位の遺産を相続した疑いがある。

 最近発生した紀州のドンファン事件は、77歳の高齢者が50歳年下の女性と結婚したが、覚せい剤中毒で変死した事件である。犯人はすぐに捕まると思っていたが、警察は手こずっているようだ。

 この事件の真相はまだ解明されておらず、高齢者を狙った詐欺事件とは断定できないが、金庫にあった筈の何億円の現金が行方不明だそうで、小説が書けそうな興味深い事件だ。


 資産を有する高齢者、独居生活の高齢者、寂しがり屋の高齢者、色ぼけ老人の高齢者、認知症の気のある高齢者は、騙す方にとっては ”ねぎ”を背負った”かも”であろう。今後、どんどん増えるに違いない。2018.07.11(犬賀 大好-458)

”はやぶさ2”は生命誕生のヒントを持ち帰るか

2018年07月07日 14時01分09秒 | 日々雑感
 今年6月27日、小惑星探査機「はやぶさ2」が約3年半の宇宙航行後、目的地である小惑星;リュウグウに到着した。リュウグウは、金星の外側、火星の内側の軌道で、地球に近い楕円軌道を描くが、3年半の年月を要して、ようやく到着した。地球上からは大型望遠鏡で辛うじて見えるようだが、今回の接近で直径約900メートルのコマ形小惑星であることが始めて分かったと言う。

 リュウグウは、地球誕生と同時期の46億年前に出来たと見られ、その後大気に曝せれることが無く、また放射線に曝されない地中には46億年前の成分がそのまま保存されていると推測されている。

 リュウグウは地球上からの観測で、有機物などさまざまな化合物の形で炭素原子を含んでいる小惑星だと考えられていたが、接近観測でそれがよりはっきりしたらしい。

 リュウグウ表面に着陸し、穴をあけて、内部の岩石を採取し、炭素原子を含む有機物を地球上に持ち帰ることが出来れば、生命誕生の謎を解くヒントが得られるのではないかと期待を集めているのだ。

 今日地上に存在しているすべての生命は,植物,動物さらにウイルスも、DNAと称する遺伝子を持っている。そこで生命とは、遺伝子を有し、遺伝子を介して子孫を次の世代に継続させているものと考えられるのだ。

 DNAは、2本のポリヌクレオチドと称する核酸の鎖が右巻きのらせん形態の規則正しい構造体である。一方、DNAの最小構成要素は、酸素、水素、窒素、炭素、りんであり、これらは分子や化合物として地球上にいくらでもある原子である。

 最大の謎は、個々に一見乱雑に存在する原子、分子が、どのようにして規則正しい2重らせん構造を持つDNAに変化したかである。エントロピー増大の法則によれば、ものごとは秩序だった状態から無秩序状態に変化する、と説明される。従って、DNAの誕生はエントロピー増大の法則に反しているように見える。エントロピー増大の法則は、熱力学から生まれた経験則であるが、これに反する自然現象は無いと信じられている。

 しかし、2015年、古川善博・東北大助教(地球化学)らの研究チームが、隕石が地球に衝突する現象を再現する実験で、生命の設計図とされるDNAの基になる塩基や、生命に欠かせないたんぱく質を構成するアミノ酸9種類も生成されたと発表した。

 無機物の原子がいくつか集まり分子となり、更に分子がいくつか集まり複雑な高分子や有機物となるのは、外からの大きな刺激による化学反応として考えられる。その高分子らしきものが、自己複製する生命体らしきものに変化するには、更に大きな飛躍が必要であり、そこにどんな謎が秘められているのか、専門家ならずとも知的好奇心がくすぐられる。

 リュウグウから持ち帰った試料の中から、生命の元になる物質が簡単には見つからないであろう。しかし、そこに未知なる物質が発見されれば、何かのヒントニになることは間違いない。

 生命の起源を求めて、宇宙ばかりでなく深海や火山にも探索は進むが、もっと身近な所に答えは隠されているかも知れない。地球の誕生は、46億年前、それから約10億年経過して最初の生命である原始生命体が誕生したと推定されている。その誕生は一回限りでなく、何回か原始生命体が生まれるチャンスがあったはず、いや現在でもあるはずである。原始生命体の実体は分かっていないので、現在でも存在しているが人間が気づいていないだけかも知れない。

 2020年末、はやぶさ2が持ち帰るであろう46億年前の物質がどのような物質であるか、同年に開催される東京オリンピックより興味がある。2018.07.07(犬賀 大好-457)

高齢化した団塊の世代に反乱は無い!

2018年07月04日 09時47分02秒 | 日々雑感
 2025年には団塊の世代と呼ばれる1947~49年生まれの人たちが,75歳以上の後期高齢者に加わる。その時、75歳以上の全人口に占める割合は18%に達し、65~74歳の前期高齢者と合わせると高齢者人口は約3600万人となり、人口比率で30%になると推計されるそうだ。

 第2次世界大戦が終了したのが1947年であり、1949年までの3年間の年間出生数は260万人を超え、この3年間の合計出生数は約806万人にのぼり、日本の年齢別人口構成を見ると、この3年間が他より突出していることから作家堺屋太一氏が命名した世代である。

 一昨年2016年の出生数は97.7万となるそうで、団塊の世代の約1/3であり、団塊の世代が如何に多かったか、最近の子供が如何に少ないか、改めて驚く。

 さて、1968年から69年にかけて、全国の大学を中心とする学園紛争が持ち上がった。背景には、世界的な青年・学生等の運動の高まりがあったが、日本の学生が立ち上がった主原因として、団塊の世代が大挙して進学したのに、マスプロ教育や自説を述べるだけで教育に情熱のない教員たちなどに失望したことが指摘されている。

 この学園紛争を切っ掛けに大学の改革がなされ、学生運動はすっかり鳴りを潜めてしまった。堺屋氏は、著書の中で学園紛争は治まったが、団塊の世代はいつかは再び社会的不満を爆発させるだろう、との予想を述べていたことが記憶に残る。

 現在、日本国内では少子高齢化に起因する社会問題、1千兆円を超える国の借金問題、財政再建問題、異次元金融緩和の出口問題、エネルギー問題、1強多弱政治体制、など問題山積みであり、今こそ団塊の世代の不満が爆発するのではないかと、期待と懸念が入り交ざっていたが、堺屋氏の予言は外れたようだ。

 内閣府の作成した”平成28年度高齢社会白書”によると、暮らし向きに心配ないと感じる高齢者は約7割を占め、年齢階級別にみると、80歳以上は80.0%と高い割合となっている。

 暮らし向きに心配ないとは、家計のゆとりに差があっても、それほど心配なく暮らせるとの意味合いだそうで、現状の生活に満足している指標と見なせるだろう。

 また、日銀が昨年9月に発表した統計によると、家計の金融資産残高は同年6月末時点で、1832兆円と過去最高を更新したそうだ。資産別の残高の内訳は、現預金が945兆円、そのうち現金は82兆円だったそうだ。金融資産の多くは預貯金として金融機関に預けられているが、タンス預金もかなりの部分を占めている。

 日本人の総個人金融資産はその多くを60歳以上のシニア世代が保有しているといわれている。貯蓄高から負債高を差し引いた純貯蓄額では、60代と70歳以上の世帯の合計で、90.6%を占めるそうだ。リタイア後のシニア層が、日本の純貯蓄の9割以上を持っているということになる。

 団塊の世代が日本の高度成長期を支える一方、余り生活を楽しむことなく、せっせと貯蓄に回した結果かも知れない。その習慣が未だに抜けず、多額の金を持っているのに拘わらず、娯楽に回さないため、いくら異次元緩和をしたところで、物価上昇率2%が達成されない一因となっているのかも知れない。

 皆が老後に備えて貯蓄するから2%目標が達成できないとの説明はよく聞くが、それは60歳以下の現役世代の話であり、リタイア世代の単に若い時の生活習慣が続いている要因の方が大きいのかも知れない。

 我が身を振り返ると、経済的な余裕は感じられないが、ささやかな年金、国民皆保険制度等により、小市民的な平穏な生活を維持できている。こうして見ると団塊の世代の社会的な不満の爆発は無さそうだが、あるとすれば社会問題が重症化する次の世代、すなわち団塊ジュニアによって引き起こされるのであろう。2018.07.04(犬賀 大好-456)