日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

オウム真理教と同じ村社会はいくらでもある

2018年07月14日 14時49分24秒 | 日々雑感
 7月6日、オウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚の他、6名の死刑が執行され、教団が起こした事件の死刑囚計13名のうち7名の刑が処された。

 松本死刑囚を除き、理屈を重んずる理系で高学歴の人間がなぜ麻原を信じ、彼の言いなりになったか色々な論評がある。松本死刑囚は1984年、後にオウム真理教となるヨーガ教室オウムの会を立ち上げた。彼はインドで瞑想の修行をしたことがあるとのことで、自分では悟りを開いたとの思い込みがあったのかも知れない。筆者は悟りとはとはいかなるものか知らないが、その思い込みが後日の暴走へと駆り立てたのであろう。

 オウム真理教は1989年東京都に宗教法人として認証され、彼自身宗教色を強めていった。当時、日本はバブル景気の真っただ中で、一般の人々が物質的な豊かさを謳歌する中で、一部の若者たちは、欲望の充足をひたすら追い求める高度消費社会に不安を感じていたに違いない。そして、その不安から脱出するべく、新たな価値基準を求めて未知なるものに引かれていったのであろう。

 彼らは不安の原因となる答えを合理的かつ理性的な理屈の中に見出そうとしたが、納得するような答えには出会えず、精神世界に答えを見出そうとしたのであろう。

 松本死刑囚はヨガの修行を通して、悟りを開くことが出来る、超能力が手に入ると主張し、信者を広げていった。理系の高学歴者が超能力を信ずるなんて土台おかしな話だと思うが、自然科学を勉強すると反って神秘的なものに引かれる傾向が生ずるのは確かである。すなわち科学を知れば知る程、現在の科学知識でも説明できないことが多々あることに気が付くのだ。

 例えば、宇宙誕生の謎である。現在の宇宙はビッグバンより誕生したと説明されるが、なぜビッグバンが生じたのか、なぜ無から有が生じたのか、アインシュタインもホーキングですら説明できない。

 また身近な所では生命誕生に関する謎である。生命の根源はDNAである。無機物の原子がいくつか集まり分子となり、更に分子がいくつか集まり複雑な高分子や有機物となるのは、外からの何らかの刺激による化学反応として実証もされている。その高分子らしきものが、自己複製するDNAに変化するには、更に大きな飛躍が必要であり、そのヒントを求めて、我が国の小惑星探査衛星 ”はやぶさ2” も地球外に飛び出している。

 宇宙誕生や生命誕生にしても神の登場を願えれば、一挙に解決である。自然科学の真理追及のストレスも神の存在を認めれば、立ちどころに精神の安定を得られるだろう。

 さて、タイ北部の洞窟に閉じ込められていた少年ら13人は、7月10日に全員救出された。彼らは、真っ暗な洞窟の中で瞑想することにより、心の平静を保ったとのことである。

 オウム真理教の謎を解くカギの一つが瞑想である。心を無にして静かに座っていることにより、自身に悩みを抱えている場合、何かしらの答えが見つかるのかも知れないが、それが神の登場であれば、間違いなく心の平静を保つことが出来るであろう。

 同じような仲間が集まり、一端指導者として認めてしまうと、彼を中心とする組織が出来上がり、その中で役割が決められると、居心地の良い村社会が出来上がる。

 村社会とは、集落に基づいて形成され、有力者を頂点とした序列構造を持ち、秩序を保った排他的な社会を指す。村社会にはしきたりがあり、それを破ったものには村八分などの制裁が科せられる。

 本来の村社会は農耕を目的とする共同体から生まれたものであろうが、同じような構造を持つ閉鎖的な組織や社会が日本国中存在する。日大アメリカンフットボールにおけるルール違反行為も内田正人前監督を教祖とする村社会が基にはある。

 オウム真理教の幹部が死刑に処されたことで、暴走の原因追及の道が断たれたとの意見もあるが、参考となる村社会はいくらでも存在する。2018.07.14(犬賀 大好-459)