日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

岸田政権の支持率回復には何が必要か

2023年08月23日 13時52分51秒 | 日々雑感
  今月19、20の両日の世論調査の結果、岸田内閣の支持率は33%で、2021年10月の内閣発足以降最低だった22年12月の31%に次ぐ低さまで落ち込み、不支持率は54%で支持率を上回る状況が続いているとの報道があった。

 岸田首相の不人気の原因の第1は、マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」で、データが別人とひもづけられるといったトラブルが相次いだことであろうが、その他首相の周辺には不祥事が続いており、支持率低下を促している。

 自民党の女性局長を務める松川るい議員は、外務省出身で防衛政務官を務めた若手のホープであるようだが、7月下旬のパリへの研修が観光旅行気分であるとSNSへの投稿画像が批判された。厳しい研修の合間の観光であれば全く問題ないが、8月22日にあっさり女性局長を辞任したとのことだ。まさに観光旅行を認めたことになる。

 自民党の茂木幹事長はこの辞任をあっさり認め幕引きを図ったつもりであろうが、このような処分では逆効果である。本来は、研修の成果を報告書として公表し、観光はその合間であったことを示すべきであった。岸田首相は9月の内閣改造で支持率の回復を図るため、サプライズ人事で女性議員を登用するかもしれないと噂されるが、女性議員のイメージを下げた松川議員の責任は大きい。

 支持率の回復は見込めず、秋の解散は無理との雰囲気が自民党内で深まった。就任当初、岸田首相に期待していたことの一つに”新しい資本主義”のスローガンがあった。内容は漠然としていたが、異次元金融緩和で拡がった経済格差問題に取り組むと期待があった。最大派閥の安倍派がもたついている間に思い切った政策を打ち出す好機と思われるがその動きは無い。防衛費や少子化対策の財源の確保で苦労しているようで、最近NTTの株売却が云々されているが、増税の話はすっかりトーンダウンした。

 現在中小企業の倒産が、コロナ下を上回るペースで増えているようだ。手厚い公的支援は打ち切られ、中小企業向けの実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済も本格化しており、物価高が追い打ちをかけ、今後さらに増える可能性がある。一方、大企業の内部留保は500兆円を越えたようだが、なぜ大企業はかくも増やすことが出来たのであろうか。

 安倍政権7年半の国内総生産(GDP)の実質成長率は年平均1.03%にすぎず、2009~12年の民主党政権の実質成長率の年平均1.84%を下回る。このような状況で内部留保を増やすことが出来たのは、中小企業向けの「ゼロゼロ融資」と同様な公的な支援があったのではなかろうか。異次元金融緩和では大企業の国債は日銀に買い取られたが、それだけでは内部留保が500兆円を越える理由にはならないだろう。

 岸田政権は予算の財源に四苦八苦しているが、500兆円を超す内部留保を活用する手を考えるべきだ。内部留保は単なる儲けではなく会計上の制限が各種あるようだが、知恵を絞れば抜け穴もある筈だ。岸田政権の支持率向上は、これくらい思い切った政策を打ち出さない限り期待できない。
2023.08.23(犬賀 大好ー940)


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