日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

遺伝子操作は神の領域に踏み込むこと

2018年12月08日 09時44分27秒 | 日々雑感
 11月28日、中国・南方科技大の賀建奎副教授が、香港で開催中の国際会議で、ゲノム編集技術を使って遺伝子を改変した受精卵から双子が生まれたと明らかにした。

 賀氏は、エイズウイルス(HIV)感染を抑止するように受精卵の遺伝子を改変し、健康な双子の女児を誕生させたと言う。論文を近く投稿するとしたが、研究の妥当性も説得力のある説明もなく、会場から批判的な意見が相次いだそうだ。

 最近、ゲノム編集という技術が注目されている。遺伝子情報を変えるこの技術によって、病気の原因究明や治療の研究が急速に進むと期待されているが、HIV感染を抑止するための遺伝子操作もその一例のようだ。

 一方では、人間の受精卵の遺伝情報を編集して良いのかなど、難しい倫理的な問題を抱えている。受精卵の遺伝子に異常があった場合、ゲノム編集を行えば遺伝情報が書き換えられ、先天的な病気を治すことも可能になると考えられているが、このような大義名分の下、遺伝子を操作するとは、まさに神の領域に土足で踏み込むことだ。

 少なくとも十分な安全性が確認されるまで、禁止されるべきである。

 遺伝子には人の一生を司るすべての情報が含まれているため、生まれてから死ぬまでに異常の無いことが確認され、更に生まれる子孫にまで異常の無いことが確認されて、始めて十分な安全性が確認されたことになろう。

 また、ゲノム編集の十分な安全が確認されても、更に懸念されるのが病気の治療という目的を越えて、親が子どもの身長や髪の毛の色などの遺伝情報を変えてデザインする危険があると指摘されている。こうしたことは、親子とは何か、更に人間とは何かに迫る問題であり、この問題が解決されない限り厳格に禁止されるべきである。

 賀副教授の発表に対し世界中が大騒ぎするのは、決して難しいゲノム編集を成し遂げた訳で無く、このような倫理上の大きな問題を無視した売名行為であるからである。

 一方近年、ゲノムを自在に改変できるゲノム編集技術が、急速に発展普及しているのだそうだ。この技術は簡便で、これまでゲノム改変が困難であった生物種においても利用でき、誰でも極めて広範囲に実験出来るようになっているのだそうだ。

 日本でも、ゲノム編集実験キットが150ドルの低価格で、ネットから誰でも購入できるようになっているようだ。この実験キットでどこまで出来るか知らないが、今や誰でも簡単に神の領域に踏み込むことが出来るようになったと感ずる。

 このキットでは人間の受精卵の異常を治療することは出来ないであろうが、適当なゲノム編集の結果どのような結果になるか面白半分でやる馬鹿な素人が必ず現れるであろう。あるいは、専門家であっても、世界で最初に行った人物と有名になるために仕出かす輩も出て来るであろう。

 賀副教授は双子の実在を示す具体情報は明らかにせず、出産の真偽は不明のままで、単なる売名行為であるかも知れない。

 11月29日には、中国の科学技術省は賀氏の研究を違法と認定し、研究活動停止を指示したそうだ。中国は人口が多い。政府のこの意向がどこまで浸透するか不明である。その内、思わぬところからデザインされた赤ちゃんの誕生が発表されるか分からない。あるいは、既に生まれているのかも知れない。2018.12.08(犬賀 大好-501)

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