日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

官僚は政治家の言うがままに動かなくてはならないつらい商売か

2021年05月12日 09時46分02秒 | 日々雑感
 森友学園に絡む国有地払下げ問題で、財務省の公文書を改ざんしたことを苦に自死した財務省近畿財務局の職員、赤木俊夫さんが改ざんした経緯を詳細に記録していたようだ。この記録の一連の文書が「赤木ファイル」と通称される。

 赤木さんの死に関し、妻の雅子さんが国に損害賠償を求めた訴訟で、俊夫さんの当時の上司は、雅子さんにファイルの存在を明かした上で”これ見てもうたら、どういう過程でやったかというのが全部分かる”などと伝えたとされる。この元上司がファイルの存在について語った音声データを、証拠として大阪地裁に提出したそうだ。いつ、誰が、俊夫さんに改ざんを指示したのかがわかれば、裁判所の慰謝料額の判断にも影響するとして、ファイルの開示を求めていた。

 この森友学園問題で、当時の安倍首相が、”私や妻が関係していたならば、首相どころか議員も辞める”と大見得切ったことから、首相周辺が証拠となりそうな書類を改ざんしたり破棄したりすることがあった。後世に残すべき公文書を事実を歪めて書き換えることについて、赤木さんは公務員としての自負から、悩んでいたという。

 その存在について存否を回答する必要がないとしてきた国が一転して存在を認め、6月23日の第4回口頭弁論で提出する予定になったそうだ。ようやく国が存在を認めることになった理由は不明だが、ここで公開されても、大勢に影響が無いとの判断がなされたのであろう。

 公開されるのは、改ざんが時系列でまとめられた文書(これが赤木ファイルかは不明)や、財務省理財局と近畿財務局との間で送受信されたメールやその添付資料などで、これらの存在の確認に1年以上も要したこと自体に、真相を明らかにしたくない国の姿勢がよく表れている。

 麻生副総理兼財務大臣は今月始めの衆議院予算委員会の集中審議で存在を知ったのはかなり前のほうだと述べたそうだが、ほとぼりが冷めるのを待っていたとしか思えず、野党の追及の甘さに呆れ果てる。

 事件の大筋は、先の首相の発言に対し内閣府の側近が理財局長の佐川宣寿氏に指示し、佐川氏は赤木氏に公文書の改ざんを命じたとの構図が浮かび上がるが、赤木ファイルが明らかにされたところで、佐川氏より上の層までは影響が及ばないと判断しているのであろう。

 佐川氏は、事件後の2017年7月、国税庁長官(第48代)の座に昇進したが、野党の追及を受けて間もなく辞職を余儀なくされた。佐川氏は恐らく自ら忖度して改ざんを指示したのではなく、上からの指示に従っただけであろう。佐川氏の本心は分からないが、官僚は政治家の言うがまま動かざるを得ないのであろうか。こんな事では官僚希望者が減るばかりだ。この意味でも佐川氏の罪は大きい。

 佐川氏に対し、加計学園の獣医学部新設問題で政府の意向に逆らい官僚を辞職した前川喜平氏は、現在でも”国政の私物化、学問の自由や平和主義の危機が起きている”と元気に講演活動を行っているとの話だ。どのように人生を生きるかは個人によるだろうが、ぼろは来てても心は錦でありたいものだ。2021.05.12(犬賀 大好ー702)


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