日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

経済のグローバルが移民希望者を増加させる

2018年11月14日 09時33分36秒 | 日々雑感
 米国での中間選挙では予想通り、上院では共和党が、下院では民主党が過半数を占めた。トランプ大統領にとって政権運営がこれまで以上に厳しくなったが、移民反対の立ち場は相変わらずである。

 トランプ氏は中米からの移民を犯罪集団と呼び、麻薬や犯罪を持ち込む諸悪の根源と決めつけている。これに対し国内外で猛烈な反発が起きているが、看板の反移民を実現しなければ支持は離れるジレンマを抱える。

 不動産王トランプ氏を大統領に押し上げた白人労働者は、かって鉄鋼業等の製造業で栄えた地域や南部に多く、低賃金で働く移民に仕事を奪われたとの被害者意識が強い。

 米国の人口は中南米系などマイノリティーの比率が4割近くに達し、移民は欠かせない労働力として潜在成長率を押し上げ、経済の活力になっているとのことだ。移民による起業は全体の3割弱を占め、代表的な企業500社の4割は移民やその2世が起こし、米経済のけん引役を担っているそうだ。

 白人労働者が移民に仕事を奪われていると思っても、恐らく生活レベルは移民より高く、ハングリー精神では移民には敵わないであろう。

 さて、中米からの移民キャラバンが、メキシコと米国国境に迫っているようだ。キャラバンの参加者は計9千人以上と見られ、今月5日現在先頭集団は米国国境まで約1200kmまで迫っているそうだ。トランプ大統領は1万~1.5万人の軍隊を動員して入国を阻もうとしている。

 移民キャラバンとは中米から米国への移民を目指す一団で、15年ほど前から移住労働者を支援する非営利団体が道中を案内してきたそうだ。ここ数年はこの団体が呼びかけ、米メキシコ国境に移動させつつ難民申請をしてきたが、認められるのはごく一部に留まるそうだ。

 今回のキャラバンでは、ホンジュラスやエルサルバドルからが話題になっているが、すべての人が当初米国を目指していたのだろうが、メキシコに留まる人も結構いるとの話である。長い旅に耐え切れなくなったのか、まだ自国よりメキシコの方がましと判断し、そこで我慢しようとしたのかも知れない。

 2,3年前にはメキシコ人の不法移民が多く、トランプ氏は大統領選挙で国境に塀を作ると公約していた。塀の建設は中間選挙の結果でより困難になったが、最近のメキシコ人の不法越境はどうなっているのだろうか。

 トランプ大統領は難民申請の窓口を絞り、不法越境者には難民申請を認めない等の手段で入国拒否を表明しているが、それでも米国を目指すのは母国に希望が見いだせないからである。

 ホンジュラスでは、2009年の軍事クーデター後の経済の低迷と、麻薬取引を行うギャング集団の活動のために治安が悪化しており、まず経済力のある国民から国外に脱出しているのが現状だそうだ。

 一方、エルサルバドルでは、首都サンサルバドルで300人余りが新たな移民集団を結成し、アメリカンドリームを胸にグアテマラへ向けて歩き始めたそうだ。エルサルバドル政府の警告を無視して、経済的な理由からこの新キャラバンは結成されたようである。

 経済のグローバル化は経済の効率化では大いに役立っている。観光にしても農業にしても国毎に特徴のある商品があれば、その商品を売り他国から不足の商品を買うことが出来る。これが適わぬ場合、国家間の経済格差が増大し、人々はより良い生活を求めて移動する羽目になる。グローバル化の被害者は開発途上国の国民である。2018.11.14(犬賀 大好-494)

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