日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

緊急対策を要する社会インフラの老朽化

2023年12月07日 09時48分28秒 | 日々雑感
 鉄筋コンクリート製(RC造)の建造物の法的な耐用年数は47年と決められており、事業者が減価償却費を計算するために用いる数字として使用されているが、実際の寿命は65年以上とも100年以上とも言われている。

 しかし、10年前の2012年に起きた笹子トンネル天井板落下事故は、トンネル開通(1977年)後40年間経ち、天井板を支える金具の劣化が原因と言われている。また、1990年に完成した東京都の都庁は完成から約18年しか経過していないが老朽化が目立ってきたようだ。その一例が漏水であり、2006年ごろから散見され始めたそうだ。その原因の一例がコンクリートの隙間を埋めるゴムの劣化だそうだ。このようにコンクリートそのものの寿命は100年程度あったとしても、建造物を構成する部品の劣化により、実質的な寿命はもっと短くなり、法的な47年の耐用年数でも長過ぎる場合もあるようだ。

 高度成長期(1955年~1973年)には数多くの道路橋やトンネル、河川管理施設、下水道管渠、港湾施設等が建設された。それらは建設から50年以上を経過し、急速に劣化が始まると予測され、また高速道路における鉄筋の錆が目立ち始めているようだ。

 国交省の調査によれば、例えば、2040年時点では河川管理施設の約38%、港湾施設の約66%、道路橋の約75%が建設後50年以上を経過することになる。インフラの老朽化は機能を損なうだけでなく、崩落など事故の原因にもなり得るため、適切に維持管理していくことは急務だ。多くの施設は地方自治体により管理されているが、折からの財源難で維持管理費にあてられる財源は少なくなる一方とのことだ。

 国交省の推計によれば、インフラに不具合が生じてから修繕を行う「事後保全」の方法で保全を行う場合、2048年までに10.9兆円~12.3兆円の維持管理・更新費がかかり、インフラに不具合が生じる前に修繕やメンテナンスを行う「予防保全」を実施した場合、2048年までにかかる維持管理・更新費は5.9兆円~6.5兆円と約半分に抑えることができると見積もられている。日本は現在1千兆円を越える借金を抱えており、しかもこれらの保全には膨大なコストがかかり、少ない財源を有効に使用することが求められている。

 2025年開催の大阪万博の会場建設費が当初想定の2倍近くまで膨らみ、最大2350億円になるとの見通しとなり、しかもこれに留まらず更に増える見込みだ。大阪万博開催の真の目的は、万博会場の建設より関西地区のインフラ整備にあると指摘する声も聞かれる。大阪万博に乗じて、関西地区の老朽化したインフラを修復することもあるだろうが、老朽化インフラ対策は関西地区ばかりでなく日本全体の問題だ。

 今後多くのインフラで老朽化による悪影響が出はじめ、重大事故に繋がる恐れもあり、子供達に「いのち輝く未来社会のデザイン」を示すためには、大阪万博を中止し、その予算を社会インフラの整備に当てた方が、理念に適っている。2023.12.07(犬賀 大好ー966)



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