日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日銀金融緩和の出口

2016年10月05日 09時30分04秒 | 日々雑感
 日本銀行は9月21日の金融政策決定会合で、金融緩和の枠組みの修正を決めた。お金を流す「量」から「金利」に軸足を移して物価上昇2%を目指すそうだが、仕組みが複雑になり素人には何のことかよく理解できない。

 つまり、日銀はこれまで資金を市場に流すために国債を購入してきたが、その購入方法を見直すとのことである。長期金利の動向をみながら国債を買う量を調整して、過度な金利低下を防ぐことにより年金運用などへの不安に対応することだそうだ。

 これまで80兆円/年のペースで国債を購入してきたが、物価上昇の目標が達成出来ないどころか、金余りで金利が下がり過ぎ、年金運用などに副作用が目立ってきた。このような背景の下で、本心は購入を中止したいが、そうすると一気に国債の価値が暴落するので、購入のペースを調整するとの文言により、追加購入の一縷の望みを残しつつ、購入ペースを80兆円/年以下となる可能性を暗示したと、経済素人は判断する。いよいよ出口を探し始めたのだろうと勘繰る。

 物価上昇率2%が達成できなかった理由として、消費税や原油価格の低下の影響が出たとし、それ以外に特に新しい検証結果を出さなかった。東京五輪の施設建設費が、当初予定の数倍以上に膨れ上がっている理由に、建設費や人件費の高騰がもっともらしく挙げられているが、誰からも文句は聞こえてこない。エコノミストは誰もこの矛盾に言及しないが、とうの昔にデフレは終わり、インフレが始まっているのではないかとさえ思ってしまう。

 元々、物価上昇率2%の目的は、物価が上昇して会社の売り上げが増え、儲けが増えれば、社員の給与が上がり、購入意欲が高まり、購入意欲が高まれば、更に物価上昇基調となるとの、景気好循環を期待しての話であった筈だ。ところが、流通資金の増大や円安等により企業が儲かっても、内部留保などの理由により、社員の給与の増加に結びついていないようだ。

 安倍首相は、”景気の好循環が生まれている”と語り、黒田日銀総裁も、”デフレではない”と強調する。そうであるならば、異次元緩和も方向転換すると明言してもよさそうであるが。

 黒田総裁の本音は副作用が顕著になってきた国債購入を減らしたい、と勘繰るところであるが、日銀が国債購入をやめると何が起きるのか、恐ろしいことが予想される。先述のように、国債購入を止めると、国債の人気が急落し、買手が居なくなるため、低く抑え込まれていた金利が急騰するそうだ。急激な円安は避けられず、1ドル=150円くらいになると予想するエコニミストもいる。日本は輸入品に依存しているので、物価は上昇し、特に生活必需品の値上がりは一般家庭を直撃する。物価上昇2%の目標は一気に達成され万々歳と言いたいところであるが、肝心の社員の給料は上がらず、泥沼の不景気となる。典型的なスタグフレーションが待ち受けているとのことである。

 日経平均株価の下落も避けられない。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資金に占める日本株のウエイトが高められているがゆえに、国民の財産も大きな損失を被り、年金制度破綻がいっそう現実に近づく。

 どうも、国債購入を増やしても減らしても、蟻地獄から逃れない状態に陥ったのではないかと懸念する。そこで、国債購入から国民の目を逸らし、金利操作と称するの素人にはよく分からない操作で、わずかな景気浮揚の幻想を抱かせている感がする。

 米国では、IMFのイエレン議長がこれまでの緩和政策を徐々に解除する方向で、わずかな利上げを示唆するたびに、為替相場は大きく変動している。日本における異次元緩和は出口を見出せない状態でも、掛け声だけは更なる加速と息巻いているが、から元気としか思えない。そうは思うものの、個人的にどう対処すべきかわからないのが、素人の悲しいところである。

 先進国で最悪の日本の赤字財政は、今や日銀の量的緩和のお陰で成り立っている。安倍首相はリオデジャネイロまで赴き、マリオの扮装で東京五輪の成功を世界に約束した。後4年は手段を選ばず経済を維持するだろう。しかしオリンピックを終えた後、地獄が待ち受けていないよう願うばかりである。2016.10.05(犬賀 大好-274)

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