日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

失われた30年の元凶は異次元金融緩和

2023年08月05日 09時30分24秒 | 日々雑感
 7月28日金融政策決定会合で植田総裁は、これまで用いてきた異次元金融緩和の目安であるイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正を決定したそうだが、経済素人には何のことか理解できない。多分これに関係するのであろう、長期金利の上限を引き上げる決定をした。しかし、この修正は金融政策の正常化を目指すものではないと強調をしたが、その理由は正常化の一歩だと受け止められると市場が混乱するからだそうだ。異常状態を続けるのが市場の安心材料になると言うのも理解できない話だが、異次元金融緩和の副作用が如何に大きいかを暗示している。

 異次元金融緩和は市場の国債を買い上げて市中にお金を溢れさせ景気を良くしようとする考えであり、これまでに発行された国債の約半分を日銀が保有する異常状態となっている。しかもこの行為は、財政法第5条により原則として禁止されている財務ファイナンス行為そのものである。これは、財政規律を失い悪性のインフレを引き起こす恐れがあるため、特別の事由が無い限り禁止されており、国会の議決を経た金額の範囲内で許されるとされている。

 財務ファイナンスの禁止は戦後のハイパーインフレの反省から生まれたが、バブル崩壊後のデフレ状態から脱出する為と称し、安倍元首相と黒田前日銀総裁の異次元金融緩和政策により簡単に破られた。特別の事由とはデフレ状態からの脱却することとなろうが、国債の現金化により、デフレ状態は簡単に脱却できると思われ、黒田前総裁も2年程度で物価上昇率2%は実現できると豪語していた。筆者も簡単に信じ込んでいたが、それ以上にインフレが進行する方が心配であり、その意味から異次元金融緩和には否定的であった。

 さて、先述のYCC修正発表後、市場は一時円安に動いたがすぐに円高に戻ったそうだ。これも政策修正の分かり難さにあり、市場の混乱はしばらく続くのであろう。異次元金融緩和では市場の国債を買い上げてお金を溢れさせ、銀行は投資を盛んにして経済を回す目論みであったが、企業は有り余る現金を手にしたが、投資先が見つけられず内部留保として蓄積されただけだ。他の先進国に比べてGDPの伸びは低く、失われた30年と言われている。何故経済成長が実現出来なかったのであろうか。

 原因に関しては論評がいくつか見られるがすっきりしない。失われた30年の間も、多くの企業は日本型雇用の修正に挑戦してきたが、年功序列・終身雇用・企業別組合という慣習を崩すには至らず、日本企業の・古い体質、変われない空気・組織風土、あきらめ感、を打破することが必要だというが、なぜそうならないのかの分析はない。

 コロナが蔓延していた時中小企業の存続のために政府は助成金を出した。この為、本来は倒産する筈の企業が生き延び、それをゾンビ企業と称するとの主張があった。それと同様に、異次元金融緩和で金に潤った大企業が新規事業に投資する挑戦をせずに、しこたま内部留保しただけで、現状に満足し胡坐をかいてしまったのでは無かろうか。そのように考えると、失われた30年の元凶は異次元金融緩和だと断定できる。2023.08.05(犬賀 大好ー936)


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