文部科学省の吉田前高等教育局長が2年前に省内の ”天下りあっせん”を受け、早稲田大学に再就職していたとされる問題で、内閣府の再就職等監視委員会(監視委)が今年1月20日、文科省が国家公務員法に違反したとする調査結果を公表した。
吉田前局長は2015年8月に文科省を退職したが、2か月後には早大の大学総合研究センターの教授に着任した。監視委の調査で、吉田前局長が文科省在職中(~2015年7月)に同省人事課を通じて履歴書を早大に送る等、監視委は国家公務員法が禁じる在職中の求職活動にあたると断定した訳だ。しかもこの求職活動は文科省からの働きかけであるに関わらず、早稲田からの希望であるかのように口裏を合わせていたとのことだ。
国家公務員法は、許認可権を持つ、あるいは補助金を交付する等、利害関係を持つ企業や団体に対して、在職中の就職活動を禁じている。この主旨は、利益の独占や寡占を禁ずるためである。
文科省のホームページを見ると、私立大学に実に様々な補助金が交付されていることが分かる。私立学校施設整備費補助金、私立大学等研究設備整備費補助金等、無数にある。これらの交付金を受けるためには恐らく多数の申請書を書く必要があり、私立大学としても事務手続きに長けた人材を欲しがる背景はあるだろう。
一方文科省は、ピラミッド構造の官僚制度を維持するために、毎年多くの官僚を退職させる必要がある。退職をスムーズに勧めるためには、現役時代と同様な地位と給与を受けられる再就職先を斡旋しなければならない。
国の経済発展が著しい時代には、国の組織の拡大に伴う新設ポストがあり、また民間企業もいくらでも再就職先のポストを準備できたであろう。しかし、少子化が進み、経済も飽和状態になると、ポストは自ずから限定される。上級官僚の重要な役目の一つは、新たなポストを作る事だと言われる。大学補助金制度の種類の多さと複雑さも、このポストを生むための細工ではないかと勘繰ってしまう。
大学側が事務処理に長けた人間が欲しいと言っても、毎年新たな仕組みが出来るわけではないので、単なる口実でしかないと思うが、国からの要求には逆らえない。何しろ、予算配分の決定権は国が握っている。国の情報は公報と言う形で一般に知らされるが、昔の仲間にはそれ以前にそっと耳打ちの形で知らせるであろう。何事においても、先んずれば人を制す。
また、申請書に不備があった場合普通黙って突き返すところ、昔の仲間には不備の個所を指摘し、書き直し方も指導すること位の対応の違いは当然あるだろう。また、かって公募される案件は出来レースであると言われていたが、最近は公平に審査されているのであろうか。そもそもここにおける公平というのが、人によって捉え方が全く異なるのが問題ではあるが。
天下りを予防する監視委は 2007年の国家公務員法の改正により内閣府本府に設置された、中立・公正の第三者機関であり、委員長1名(常勤)及び委員4名(非常勤)によって構成されているが、本当に機能しているのであろうか。
実際、退職後2か月未満で私立大学などの学校法人に再就職した文科省職員は2011~2015年度で計41名だったことを文科省は認めている。うち14名は退職翌日に再就職していたとの話だ。監視委は、”国は天下りを認めない”との単なる格好づけのような気がする。
ここでは文科省の天下りだけを問題としているが、それは氷山の一角であり、他の省庁でも同じであろう。小池さんの率いる東京都においても、同様な問題が指摘されている。権力を有する官僚機構があれば、どこにでも起きうる問題である。監視委がどう頑張ろうと、ピラミッド構造の官僚機構や、補助金制度や許認可制度がある限り、姿、形を変え存続するであろう。2017.02.04(犬賀 大好-309)
吉田前局長は2015年8月に文科省を退職したが、2か月後には早大の大学総合研究センターの教授に着任した。監視委の調査で、吉田前局長が文科省在職中(~2015年7月)に同省人事課を通じて履歴書を早大に送る等、監視委は国家公務員法が禁じる在職中の求職活動にあたると断定した訳だ。しかもこの求職活動は文科省からの働きかけであるに関わらず、早稲田からの希望であるかのように口裏を合わせていたとのことだ。
国家公務員法は、許認可権を持つ、あるいは補助金を交付する等、利害関係を持つ企業や団体に対して、在職中の就職活動を禁じている。この主旨は、利益の独占や寡占を禁ずるためである。
文科省のホームページを見ると、私立大学に実に様々な補助金が交付されていることが分かる。私立学校施設整備費補助金、私立大学等研究設備整備費補助金等、無数にある。これらの交付金を受けるためには恐らく多数の申請書を書く必要があり、私立大学としても事務手続きに長けた人材を欲しがる背景はあるだろう。
一方文科省は、ピラミッド構造の官僚制度を維持するために、毎年多くの官僚を退職させる必要がある。退職をスムーズに勧めるためには、現役時代と同様な地位と給与を受けられる再就職先を斡旋しなければならない。
国の経済発展が著しい時代には、国の組織の拡大に伴う新設ポストがあり、また民間企業もいくらでも再就職先のポストを準備できたであろう。しかし、少子化が進み、経済も飽和状態になると、ポストは自ずから限定される。上級官僚の重要な役目の一つは、新たなポストを作る事だと言われる。大学補助金制度の種類の多さと複雑さも、このポストを生むための細工ではないかと勘繰ってしまう。
大学側が事務処理に長けた人間が欲しいと言っても、毎年新たな仕組みが出来るわけではないので、単なる口実でしかないと思うが、国からの要求には逆らえない。何しろ、予算配分の決定権は国が握っている。国の情報は公報と言う形で一般に知らされるが、昔の仲間にはそれ以前にそっと耳打ちの形で知らせるであろう。何事においても、先んずれば人を制す。
また、申請書に不備があった場合普通黙って突き返すところ、昔の仲間には不備の個所を指摘し、書き直し方も指導すること位の対応の違いは当然あるだろう。また、かって公募される案件は出来レースであると言われていたが、最近は公平に審査されているのであろうか。そもそもここにおける公平というのが、人によって捉え方が全く異なるのが問題ではあるが。
天下りを予防する監視委は 2007年の国家公務員法の改正により内閣府本府に設置された、中立・公正の第三者機関であり、委員長1名(常勤)及び委員4名(非常勤)によって構成されているが、本当に機能しているのであろうか。
実際、退職後2か月未満で私立大学などの学校法人に再就職した文科省職員は2011~2015年度で計41名だったことを文科省は認めている。うち14名は退職翌日に再就職していたとの話だ。監視委は、”国は天下りを認めない”との単なる格好づけのような気がする。
ここでは文科省の天下りだけを問題としているが、それは氷山の一角であり、他の省庁でも同じであろう。小池さんの率いる東京都においても、同様な問題が指摘されている。権力を有する官僚機構があれば、どこにでも起きうる問題である。監視委がどう頑張ろうと、ピラミッド構造の官僚機構や、補助金制度や許認可制度がある限り、姿、形を変え存続するであろう。2017.02.04(犬賀 大好-309)
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