日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

これからの規制緩和

2016年01月20日 09時34分30秒 | 日々雑感
 安倍政権は成長戦略の一環として規制緩和を試みているが、歴代の政権も同様に試みていた。しかし、規制緩和しても新しい需要が生み出されるとは限らない。

 1998 年に航空会社の新規参入が認められ、2000 年には改正航空法が施行され国内航空運賃の設定が原則自由になり、LCCの幕開けと騒がれ、地方空港の活性化等が期待されたが、客足が伸びず、新規参入航空会社は大手航空会社の傘下に入る等、尻つぼみ状態となってしまった。

 ようやく規制緩和の効果の一端が現れたと思われるのは、ここ2,3年の外国人観光客の増加によるだろう。いや、この増加は航空関係の規制緩和に関係なく、中国を初めとする発展途上国の経済発展に伴う富裕層の増加や、ビザ発給の条件緩和等の規制緩和のお蔭かも知れない。しかし、先の規制緩和による航空運賃の低廉化も一助になっていると思いたい。

 兎も角、規制緩和出来たとしても、周りの条件が整わないと経済の活性化にはなかなか結びつかない。農業分野の規制緩和においても農業への企業の参入は2000年ごろより徐々に行われ来た。しかし、まだまだ参入条件は厳しく、思うように進まないため、政府は条件をどんどん緩めているが、その成果が十分あがっているようには思えない。単に規制緩和による農地の大規模化や企業化がなされ、米価が多少安くなっても、米の飛躍的な需要が増加しなくては経済成長に結びつかない。

 日本では年々米の総需要は落ちているとのことである。これは、価格の問題ではなく、また単に人口減少のためばかりでなく、一人当たりの消費量が減っているからだと言われる。 パンのように簡易に食べることが出来る工夫やケーキのようにおいしく食べられる加工法の創出による需要の増加が伴わなくては、農業の規制緩和も成功しないであろう。

 以上のように規制緩和そのものがなかなか経済の活性化に結びつかないが、日本では規制緩和そのものですら実現が難しい。日本における規制緩和は、既存の業界に対する規制緩和であり、既得権益を守ろうとする抵抗勢力との争いである。このような業界は国会議員を選出し、圧力団体となるため、規制緩和が一層困難となる。しかし、米国からの強い圧力となると政府は動かざるを得ない。農業分野における規制緩和はTPPがらみで、米国からの強い圧力があるとのことであり、あの悪名高い全中(全国中央農業連合会)の組織改革も中途半端ながらもようやく為された。

 従来の規制緩和は、成長が望めそうな分野において規制緩和により成長を促す目的で為されたが、最近は、規制緩和するより先にサービスが始まり、後から法制化せざるを得ない状態が起きている。これまでに無いアイデアによる企業化であり、しかもそれが米国発となると日本の国としても従来通りのように拒絶ばかりしてはおられない。

 例えば、自家用車のドライバーが空き時間を利用してタクシーのように客を運ぶサービスは道路運送法に違反するようであり、自宅の空き部屋を貸す人と旅行者をネットで仲介するサービスは、旅館業法違反になるとのことであり、日本では想定だにされなかった。

 しかし、米国ではこれらのサービスの成長が著しく、日本でも一部始まっている。従来の法律を盾に拒否ばかりしていると、グローバル社会に乗り遅れると、後追いで規制緩和せざるを得ないのだ。このような後追いの規制緩和は今後増えると思われるが、残念ながら日本発は期待できそうに無い。2016.01.20(犬賀 大好-200)

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