日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

技能実習制度の目的変更がありそう

2023年04月20日 16時59分40秒 | 日々雑感
 今月10日、政府の有識者会議は、外国人が働きながら技術を修得する技能実習制度を廃止した上で、人材確保などを目的に中長期的な滞在を可能にし、働き先の企業の変更も一定程度認めるよう緩和する新たな制度への移行を求めるたたき台を示した。

 そもそも技能実習制度とは外国人が日本で働きながら技術を学び、帰国後の自国の人材育成を通じた国際貢献を目的とするものであった。しかし、受け入れ側の日本では労働環境が厳しい業種を中心に人手を確保する手段になっており、一方来日する外国人は技術の習得より出稼ぎの目的が強く、より高い賃金を求めて不法に勤め先を代える等のトラブルが相次ぐなど、目的と実態がかけ離れていると言った指摘もある。

 新たな制度では働く人材の確保を主な目的に掲げ、これまで原則できなかった転籍と呼ばれる働く企業の変更も、従来に比べて緩和し実態に合わせている内容だ。

 さて、外国人労働者数は2022年末で182万2,725人と過去最高を更新し、全在留外国人の中では、約60%が就労していることになるそうで、10年前の約65万人と比べて約3倍となっている。年毎の増加率は前年の 0.2 %から 5.3 ポイント増となり、年々外国人労働者は急増している。

 一方我国では少子高齢化の進行により、生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8726万人をピークに減少しており、2050年には5,275万人に減少すると見込まれている。2022年の生産年齢人口を7500万人とすると外国人労働者の割合は約2.4%で早くも我が国は外国人労働者は必須の人材となっており、その依存度は年々大きくなっている。

 生産年齢人口の減少は、労働力の不足、国内需要の減少による経済規模の縮小など様々な社会的・経済的課題の深刻化が懸念され、この点海外から人材を集めることは手っ取り早い解決策の一つであり、技能実習制度の改定もその一つであろう。

 国籍別技能実習生の割合は、2019年時点でベトナムが最も多く、次いで中国、フィリピン、インドネシア、タイと続くそうだが、途上国からの来日は稼ぐことを目的としている人も多いようだが、制度が改定されると稼ぎ目的の来日労働者は更に多くなるだろう。しかし、一方では昨今の円安状況で日本で働く魅力がなくなり、希望者が減少しているとの話もあり、来日希望者は多くなっても優秀な人材は少なくなっていくだろう。

 これまでも政府は優秀な人材確保のために2019年4月に新たに在留資格「特定技能」制度を導入している。日本の技術は世界的に低下しているとの見方もあるが、発展途上国から見ればまだまだ学ぶべき点は多くあるだろう。稼ぎ目的の労働者は別にしても、本来の技能実習制度、あるいは特定技能実習制度はしっかり存続させ日本の技術を世界に広げたいものだ。2023.04.20(犬賀 大好ー907)


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