日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ギャンブル好きは本能か

2017年04月12日 09時09分51秒 | 日々雑感
 政府は、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法が昨年12月に施行されたことを受け、4月4日、統合型レゾートの制度作りを担うIR推進本部の初会合を開いた。ギャンブル依存症、マネーロンダリング対策などを具体的に検討し、今秋の臨時国会にIR法案の提出を目指すそうだ。

 統合型リゾート施設と言ってもあくまでカジノが主役であるが、カジノを前面に出せば国民の抵抗が大きくなるから、統合との言葉で曖昧にしているのだ。

 国会には、国際観光産業振興議員連盟(通称IR議連)と称する連盟があり、参加議員は200名を超す大所帯で、カジノを推進している。カジノは経済を活性化し、雇用を増やすとその長所を強調しているが、国民は概して反対である。昨年末のある世論調査でも、カジノ法案に反対と回答した数は55%で、反対派の方が賛成の2倍近い数になっている。これは何処の調査でも概ね同じであり、日本人の心の根底には勤勉が善であり、不労所得は悪であるとの考えがあると思われる。

 政府はカジノに家族で一緒に楽しめる遊興施設や国際会議場を併設し、カジノ色を弱めて観光客を増やそうとしている。面積にして5%程度のカジノ部分が、IR全体の売上高の80%以上を売り上げているカジノもあるそうで、カジノ以外はおまけで、目的はあくまでもカジノにある。2020年の東京オリンピック後の景気対策としても考えているようである。

 候補地は、全国色々な自治体が名乗りを挙げているが、横浜と大阪が有力だそうだ。特に大阪は万博開催と同時開催を目論んでいるとのことである。

 カジノ解禁にともなう最大の懸念材料はギャンブル依存症の増大である。マネーロンダリングも大きな問題であろうが、一般庶民にはあまり関係ない。

 カジノ賛成派の人は、カジノはアラブの王族や中国の富裕層等、外国人向けにギャンブルが行われるので、日本には何ら害はおよぶこと無く、打ち出の小づちを手に入れられると大賛成である。確かに金に不自由しない外国人から、金を巻き上げて、その金を不自由する人に分け与えることが出来れば、鼠小僧治郎吉の精神が生かされ、何ら問題ないだろう。

 しかし、カジノを外国人に限定する動きは皆無である。実際検討さているIR法案では日本人に対する入場規制の検討がなされている。また、カジノに娯楽施設を併設し観光客を増やそうとすること自体が日本人も対象にしていることを表している。外国人のみであれば、既存の娯楽施設に誘導すれば事足れる。

 ギャンブル依存症とはギャンブルをしたいという衝動を抑えきれず、借金するなど社会生活上の問題が生ずる状態に陥る精神疾患のひとつであるそうだ。精神疾患とは簡単に完治できない印象がある。また、酒やたばこの依存症と何が違うのかと考えると、よく分からなくなる。兎も角、脳が快楽と感ずる刺激の類で本能に近いものではなかろうか。

 日本はカジノを持ち出すまでもなく、ギャンブル大国である。競馬、競艇、競輪、パチンコ、宝くじ、サッカーくじなどいくらでもあり、既に依存症患者も沢山いる。

 代表的なギャンブルであるパチンコでは、駅前のパチンコ店には開店前から若者の行列ができていたり、郊外のパチンコ店の広大な駐車場には、平日の昼間から車がいっぱい状態になるのは、異常である。パチンコ等のギャンブルは、待ち合わせ時間の調整や一時のスリルに利用とする料金と考える限り健全と思うが、これで金儲けしようとなると病気としか思えない。

 ギャンブルは占いから発生したとのことであるが、そうだとすると人類誕生以来あった本能的なものに違いない。現在でも、違法賭博の摘発はしばしばマスコミを賑わすが、小規模な賭博でも一日に何十万円、何百万円の金が動くそうだ。その金はほとんど主催者側の儲けになるとのことであり、何とも魅力的な商売であろう。一方、客の方は頭の中では損することが分かっている筈であるが、万が一儲かるかも知れないとの魅力に取りつかれてしまっている。簡単に止められないのは麻薬と同じである。
 
 安倍首相はクリーンなカジノを実現するため世界最高水準のカジノ規制を導入すると言明しているが、クリーンなカジノとはどんなカジノであろうか。娯楽の一部として楽しんで終わることが出来れば、クリーンと言えるかもしれないが、人間の本能は制御しきれるものではない。2017.04.12(犬賀 大好-328)

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