日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

規制緩和とデフレ対策

2014年12月04日 15時19分42秒 | 日々雑感
 安倍政権は、発足当時規制緩和を成長戦略の1丁目1番地と位置付けていた。規制緩和は、既得権益を崩す作用を持つため、規制によって守られてきた既存の事業者にとっては不利益をもたらすであろうが、新規参入の拡大・価格競争の促進などにより、経済が活性化し、消費者が得られる利益は大きいとの説明はまさにその通りであろう。
 また、一方ではデフレを目の敵にしている。過去15年にわたる悪夢のデフレを克服するのはアベノミックスしかないと今回の衆院選挙でその成果を前面に出している。デフレは負のスパイラル論で悪とされる。すなわち、デフレによる物価の下落で企業収益が悪化、人員や賃金が削減され、それに伴って失業の増加、需要の減衰が起こり、更に物価の下落を招くという循環に陥るとの論である。
しかし、規制緩和とデフレの克服には、矛盾する要素を含んでいる。規制緩和自体は新たな産業を興すものでないので、経済の活性化にはなるが、デフレ脱却の観点からは逆効果となる要素を含む。すなわち、規制緩和は経済の効率化を促すものであり、価格競争を促進し、物価の下落招く方向に作用すると考えられるからである。
 例えば、郵便事業の民間開放により、宅配業者が参入し、一般国民にとって利便性は向上した。しかし、郵便局のこれまでの仕事が一部宅配業者に移っているだけで日本全体から見れば大きな変化ない。すなわち、規制緩和により配送物が急激に増加したとの話は聞けない。それどころか、競争により配送料が安くなっているため、デフレの一助となっているに違いない。また、バス運送事業への新規参入の緩和にしても、電力の自由化にしても、同じように考えることが出来る。要は規制緩和とは経済の効率化である。効率よくなれば物価は下がる方向になる。
 規制緩和により新たな産業が生み出されないと成長産業とは生り得ない。例えば、カジノ解禁や地下空間の利用規制緩和による再開発利用拡大等は、これまで既得権益が発生していなかった所の利用であるので、デフレ脱却の成長産業となると期待される。しかし、カジノ解禁は利益より社会的な損失の方が大きいと思われるし、地下空間の利用は既得権益が無かったと言うより、それだけ利用が難しいことでもある。
 成長産業の必要性は過去十数年と言われてきた。その背景には技術の枯渇等の大きな問題がある。安倍さんが言うほど簡単なことではない。(犬賀 大好-80)


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