日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

高齢化した団塊の世代に反乱は無い!

2018年07月04日 09時47分02秒 | 日々雑感
 2025年には団塊の世代と呼ばれる1947~49年生まれの人たちが,75歳以上の後期高齢者に加わる。その時、75歳以上の全人口に占める割合は18%に達し、65~74歳の前期高齢者と合わせると高齢者人口は約3600万人となり、人口比率で30%になると推計されるそうだ。

 第2次世界大戦が終了したのが1947年であり、1949年までの3年間の年間出生数は260万人を超え、この3年間の合計出生数は約806万人にのぼり、日本の年齢別人口構成を見ると、この3年間が他より突出していることから作家堺屋太一氏が命名した世代である。

 一昨年2016年の出生数は97.7万となるそうで、団塊の世代の約1/3であり、団塊の世代が如何に多かったか、最近の子供が如何に少ないか、改めて驚く。

 さて、1968年から69年にかけて、全国の大学を中心とする学園紛争が持ち上がった。背景には、世界的な青年・学生等の運動の高まりがあったが、日本の学生が立ち上がった主原因として、団塊の世代が大挙して進学したのに、マスプロ教育や自説を述べるだけで教育に情熱のない教員たちなどに失望したことが指摘されている。

 この学園紛争を切っ掛けに大学の改革がなされ、学生運動はすっかり鳴りを潜めてしまった。堺屋氏は、著書の中で学園紛争は治まったが、団塊の世代はいつかは再び社会的不満を爆発させるだろう、との予想を述べていたことが記憶に残る。

 現在、日本国内では少子高齢化に起因する社会問題、1千兆円を超える国の借金問題、財政再建問題、異次元金融緩和の出口問題、エネルギー問題、1強多弱政治体制、など問題山積みであり、今こそ団塊の世代の不満が爆発するのではないかと、期待と懸念が入り交ざっていたが、堺屋氏の予言は外れたようだ。

 内閣府の作成した”平成28年度高齢社会白書”によると、暮らし向きに心配ないと感じる高齢者は約7割を占め、年齢階級別にみると、80歳以上は80.0%と高い割合となっている。

 暮らし向きに心配ないとは、家計のゆとりに差があっても、それほど心配なく暮らせるとの意味合いだそうで、現状の生活に満足している指標と見なせるだろう。

 また、日銀が昨年9月に発表した統計によると、家計の金融資産残高は同年6月末時点で、1832兆円と過去最高を更新したそうだ。資産別の残高の内訳は、現預金が945兆円、そのうち現金は82兆円だったそうだ。金融資産の多くは預貯金として金融機関に預けられているが、タンス預金もかなりの部分を占めている。

 日本人の総個人金融資産はその多くを60歳以上のシニア世代が保有しているといわれている。貯蓄高から負債高を差し引いた純貯蓄額では、60代と70歳以上の世帯の合計で、90.6%を占めるそうだ。リタイア後のシニア層が、日本の純貯蓄の9割以上を持っているということになる。

 団塊の世代が日本の高度成長期を支える一方、余り生活を楽しむことなく、せっせと貯蓄に回した結果かも知れない。その習慣が未だに抜けず、多額の金を持っているのに拘わらず、娯楽に回さないため、いくら異次元緩和をしたところで、物価上昇率2%が達成されない一因となっているのかも知れない。

 皆が老後に備えて貯蓄するから2%目標が達成できないとの説明はよく聞くが、それは60歳以下の現役世代の話であり、リタイア世代の単に若い時の生活習慣が続いている要因の方が大きいのかも知れない。

 我が身を振り返ると、経済的な余裕は感じられないが、ささやかな年金、国民皆保険制度等により、小市民的な平穏な生活を維持できている。こうして見ると団塊の世代の社会的な不満の爆発は無さそうだが、あるとすれば社会問題が重症化する次の世代、すなわち団塊ジュニアによって引き起こされるのであろう。2018.07.04(犬賀 大好-456)

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