日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

都会における野生動物との共存

2022年05月18日 09時15分10秒 | 日々雑感
 田舎における人間と野生動物の衝突の話はよく聞く。テレビの人気番組、”ポツンと一軒家”でも山の中の一軒家の周りの野菜畑が垣根や電気柵で取り囲まれていることもしばしば紹介される。シカやサルから野菜を守る為の防御策だ。動物にとって自然の木の実より人間の作る野菜の方が美味しくかつ容易く手に入るからであろう。

 野生動物は生きるための環境が整えばいくらでも増える。すなわち食べ物が簡単に手に入り、天敵がいなければ天国となる。人間は一番の天敵であろうが時には餌の供給源の神様にもなる。

 日本全体が人口減少で人家が少なくなったり、空き家の増加が目立つ時代だ。東京23区など都心部でもハクビシンやアライグマなどの目撃が増えているとのことだ。人の目が及ばない空き家や家屋の屋根裏・床下などが、野生動物にとって安全なねぐらになり、また近くのゴミ捨て場が格好の餌場となる。それどころか、人間が野良猫に対するようにペットとして積極的に餌をあげることすらもある。

 神戸市のイノシシは住宅地にも現れ、人にも危害を加えることもあるとのことだが、人間による餌付けも問題になっているようである。厳つい顔のイノシシですら餌付けする人がいるのに、見た目が可愛いリスやシカとなるともっと多いだろう。 

 特定外来生物に指定されているタイワンリスは1950年代に江の島や鎌倉市の山林で野生化し、その後も生息範囲を広げ、2000年代に入ると横須賀市や横浜市南部まで広がり、2017年には相模川を越えた横浜市の北部でもその姿が確認されているという。このリスは見た目が可愛く、直接人に危害を加えることがないので、今後も生息範囲を広げていくだろう。

 可愛さの点では千葉県のシカ科の野生動物キョンも有名である。20年以上前に勝浦市の動物園から脱走したものが野生化したと言われている。2020年度の推計では、県内に生息するキョンの数は約5万300頭で、2013年度の2万5000頭に比べて約2倍に増加しているそうだ。生息域も、2004年度には勝浦市など南部の5市町に生息するだけとみられていたが、2020年度は17市町にまで拡大し、更に、千葉県北部の柏市でも目撃されるなど、徐々に都心部に迫ってきているそうだ。

 千葉県では、人口減少や高齢化などで人の管理が行き届かなくなった竹林がすみかになっており、また山を切り開いて設置された太陽光発電のパネルの下の空間は、風雨をしのげるだけでなく、餌となる下草も生えているため、格好の棲み処になっているそうだ。

 タイワンリスは庭の果物を食い荒らすばかりでなく電線や電話線を食いちぎる被害、キョンは顔に似合わない大きな鳴き声に悩まされている多数の住民、更に糞尿や体についているノミやダニなどが感染症につながる懸念もあると報告されているが、見た目の可愛さから今後も増え続け、そのうち都心の公園でも見かけるようになるのではないだろうか。ハクビシンやアライグマはさておき、リスやシカが身近で見られるのは楽しみでもある。
2022.05.18(犬賀 大好ー814)