政府は、17日新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言の対象地域に7府県を追加し、期間は8月20日から9月12日まで延長するとした。
東京都は16日(月)、新型コロナウイルスの感染者が新たに2962人と発表したが、過去最高値の5773人と比べ、感染者が激減したように見えるが、この数はPCRの検査数に大いに依存しており、前日の日曜日は検査数が少なかったためでしかない。逆に言えば、これだけ感染者が増えていても相変わらず検査数を増やしていないようで、政府、行政の対応の鈍さに驚く。
東京五輪では、菅首相は安心安全な開催を実行し、結果大成功だったと自負しているようだが、大会関係者にとっての安心安全が目的だったようで、国民はどうでも良かったようだ。大会開催前国民の大半が開催に否定的であったが、開催後はやってよかったとの評価が大半となり、予想が的中したと得意顔かもしれないが、内閣支持率には反映されなかったのは想定外でがっかりしていることだろう。
さて東京2020パラリンピックは、8月24日~9月5日だ。政府は五輪と同様にやる気でいる。菅首相や小池都知事は、東京五輪と日本の感染爆発は関係がないと主張しているが、そう言わざるを得ないだろう。直接的な関係はないとしても、間接的な影響はあるだろう。過去最高のメダル獲得と気持ちを煽りながら、一方では自粛を要請するのは、矛盾であると気がつかない筈は無い。
政府は8月中に国民の4割接種完了の見通しを示している。しかし、集団免疫獲得にはパラリンピックの期間中でも間に合わない。菅首相は、東京五輪開催で”米国バイデン大統領から素晴らしい成功を収めたと祝意を頂戴した”、とご満悦だったようで、大成功と勇気つけられ、この勢いでパラリンピックも乗り切ろうとしている。
緊急事態宣言が出ている6都府県で感染者数が増え続けていることから、政府の有識者会議は8月12日、お盆休み前後の2週間に限定した対策強化を提言した。東京都内の人流を抑制する強化策だ。具体的には、百貨店の地下の食料品売り場やショッピングモールへの人数制限等であるが、若者の路上飲み等に対しどこまで効果があるか疑問である。
浮ついた人々の気持ちを静めるのはパラリンピック中止のショック療法が効果的だと思っていたが、17日原則無観客開催を決めた。パラリンピックは障害のある、無いに関係なく共に生き生きと活動できる社会を目指すという理念に基づくものであり、障害者の活躍は健常者以上に感動を呼ぶ。パラリンピックの中止はこの共生の理念に反するとの主張もあるが、それ以前の問題として、皆が健康で安心して生活できる社会の実現の方が先決と思っていたが。
一方、西村経済再生相はコロナ収束後の出口戦略を練り始めたようだ。自粛疲れやコロナ慣れが広がり、時短営業や外出自粛といった要請に協力が得られにくくなっている現状に少しでも明るい材料を提供したいとの思いからであろうが、ワクチンを接種済みか検査で陰性だった証明などがあれば、飲食店でお酒を飲めるようにする等、を考えているようだ。しかし、緊急事態宣言状態が9月12日終了の保障は無い。2021.08.18(犬賀 大好ー738)