日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

北朝鮮の金委員長はトランプ大統領を手玉に取っている

2019年02月16日 13時17分37秒 | 日々雑感
 今月27、28日に米朝首脳会談がベトナムのハノイで開催されることが決まった。トランプ大統領は昨年6月に行われた第1回目の会談の結果、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験が止まったと成果を自慢するが、非核化に関し何ら具体的進展が無く、2回目の今度の会談で何が話し合われるか予想がつかないと、多くの識者が首を傾げている。

 北朝鮮は現在米国を始めとするロシアや中国からも経済制裁を受けている筈であるが、経済制裁は果たして効いているのであろうか。評論家の中には北朝鮮は切羽詰まっていると主張する人もいるが、経済制裁はほとんど効いていないとの主張も多い。

 朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は昨年6月訪中し、習近平国家主席と会談した。そこで中国側は北朝鮮に対する独自支援に動く可能性を示唆したようだが、実際にかなり緩んでいるようだ。

 金正恩委員長は、当時親中国派であり実質的なナンバー2とされる叔父の張成沢氏を粛正し、更に兄の金正男氏も暗殺し、中国との関係は犬猿の仲の筈であった。しかし、金委員長は北朝鮮の独裁体制が確立すると、再度中国に擦り寄り、中国の庇護を求めるようになったようだ。

 中国も北朝鮮の崩壊は望むところではなく、表向き経済制裁は続けると言いながら、陰では経済的な支援を再開したのだろう。

 国連安全保障理事会は昨年9月、北朝鮮の制裁逃れの実態を調べる北朝鮮制裁委員会の専門パネルの中間報告書で、中国ばかりでなくロシアも北朝鮮と秘かな貿易を行っていると示唆していた。

 金委員長は今年1月、再度中国を訪問し習近平国家主席と会談した。今年2月末に予定される2回目の米朝首脳会談に向けて、作戦を話し合ったとみられる。

 報道では、北朝鮮の非核化を前提に朝鮮半島問題の政治的解決に向けて共に努力することで一致したとのことであるが、あくまでも表向きの話であり、裏では核保有を前提にトランプ大統領を丸め込む算段をしていたと思われる。

 また、今年1月の国連専門家パネルの最新報告書で、北朝鮮が核・ミサイル開発計画をやめていない、と分析した最新の年次報告書を発表した。この報告書には、寧辺の核施設から使用済み燃料棒が取り出された可能性がある、との情報も記されているとのことだ。

 つまり昨年6月の第1回首脳会談以降も核・ミサイル開発が継続されているのだ。現在、核実験やミサイル発射実験を行っていないのは、前回の実験で使い果たしたミサイルや核爆弾をこっそり補充しているだけだと憶測も出来る。

 また、度々寧辺の核施設がニュースになるが、これはプルトニウムの施設であり、ウラニウムの施設はまだどこにあるのかの把握も出来ていないのが現状のようである。第1回目の会談以降、核施設と称するバラック小屋を爆破したとの動画付きの報道もされたが、あの写真から北朝鮮の本気度を感じた人はほとんどいないだろう。

 それでもトランプ氏にとって米朝会談は数少ない成果を期待できるイベントだ。北朝鮮がミサイル発射や核実験を止めたことで、米国は安全になったと自賛し続けており、国民の関心を行き詰った内政から外交に向けさせたいのが本音とのことである。

 また、トランプ大統領はツイッターで、第2回の米朝会談で北朝鮮は全く違う種類の「経済ロケット」になるはずともコメントしたそうだが、今回の会談では非核化の話より経済の話が焦点になるのだろうか。

 金委員長の腹の中は、核やミサイルを保持したままのベトナム並みの経済発展であろう。その経済発展に米国も当面利益を得られるとなれば、商売人のトランプ大統領にとって、核など大した問題では無いのだろう。2019.02.16(犬賀 大好-521)