日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

東京五輪基本方針から想う

2015年12月05日 09時37分24秒 | 日々雑感
 東京オリンピックのエンブレムの一般公募の受付が始まった(11月24日)。初日には、5時までに377件の応募があったそうだ。行く行くは一万件位が応募するとの見込みのようである。これほど国民の関心を集めているのは,佐野 研二郎氏のお蔭であろう。

 これに先立ち17日には、東京オリンピックの基本方針案が17日の自民党の会合で大筋了承された。その中での{基本的な考え方}は、①国民総参加による「夢と希望を分かち合う大会」の実現、②次世代に誇る遺産の創出と世界への発信、だそうだ。この後、③関係団体の緊密な連携、④明確なガバナンスと施策の効率的・効果的な実行で費用を抑制、と続くが、③、④は理念や目的ではなく、実行上の心構えであろう。基本方針案がこんな出来では先が思いやられるが、正式な基本方針はもっとすっきりものになっているであろう。

 さて、①の“夢と希望を国民全員で分かち合おう“との言葉は非常に美しいが、一億総参加社会と同様に具体的にどうするかが今後問われる。②の遺産の創出は、先に否定された膨大な予算で立派な国立競技場建設を思い出させるが、何を考えているのだろうか。

 他方、エンブレム募集要項における大会ビジョンには、・「すべての人が自己ベストを目指し」、・「一人ひとりが互いを認め合い」、・「そして、未来につなげよう」を3つの基本コンセプトとするとしているが、先の基本方針との関連性が感じられない。

 本来は政府の基本方針が先にあり、より具体的な形で大会ビジョンが出されるのが筋であろうが、時系列的には逆になってしまった。それにしても統一感がない。遠藤利明オリンピック担当相は、オリンピックに関わる総責任者の役目を託されたのであろうが、何をしているのか。心配していた通り、縦割り組織の壁は厚く、総責任者とは単なるお飾りに過ぎないのであろうか。

 また、先の基本方針案に{大会を通じた新しい日本の創造}として、被災地が復興した姿や日本の文化芸術、おもてなしの心、科学技術を世界にアピールを掲げているが、統一感がなく、総花的である。ここにおいても、色々な官庁の主張が顔を覗かせ、組織の顔を立てるための苦肉の作文とも伺い知れる。

 オリンピックエンブレムでは、一万件以上の応募を期待しているとのことである。前述のように東京オリンピックの理念は今一すっきりしないため、選考に混乱をきたすかも知れないが、逆に優れたエンブレムの登場により、理念もすっきりするかもしれない。選考委員長は、東京藝術大学 学長の宮田 亮平氏とのことである。組織のしがらみにとらわれずに、国民の大半が感服するデザインを選択されることを願う。(犬賀 大好-187)