森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

鳥肌のたった話、余談

2017年11月04日 | 不思議譚


前回は「鳥肌のたった話」なんちゃって編―をお届けしたのですが…。本当はカイさんから、ホンマものの不思議譚を聞きたいなと、一応トライはしてみたのです。

…話は、カイさんのお父さんであるビルさんに遡ります。すでに記したように、数年前に亡くなったビルさんには私、本当にお世話になりました。ビルさんは歴史家でもあり、特に王族関係の知識の深さは相当なもの。王族秘話、みたいなお話をたくさんしてくださったので、私はしょっちゅう、ビルさんを訪ねたものでした。

カメハメハ大王の墓の秘密など、とにかく第一級の秘話を見ず知らずの私にシェアしてくださるアロハスピリッツたっぷりの方でしたが、1度だけ。ノーコメント、と言われてしまったことがあります。私が王家の霊廟での不思議体験について尋ねた時のことでした。

ビルさんは優しく言いましたっけ。「悪いけれど、それについてはノーコメントなんだ。霊廟で起きたことは、霊廟の中にとどまるべきだからね」。

ビルさんが質問に答えてくれなかったのは、前にも後にもその一度だけ。なので私はすぐ引き下がりました…。確固たる意思を感じましたからネ。

それなのに私ときたら、今回、同じことをカイさんにも聞いてみようかと思ったのです(ごめんなさい!)。「カイさんのお父さんはいつも何でも私の問いに答えてくれたのに、一度だけ、ノーコメントと言われた時がありました。それは」と話はじめたところ。「スピリットの話?」とカイさんに先を越され、驚きました! なぜ、言おうとしていることがすぐにわかったのでしょう?

「そうです、そうです! ここでスピリットを見たことがあるかと聞いたけれど、ノーコメントと言われたのです」。そう興奮して説明したのですが、カイさんもまた、次のようにおっしゃったのです。

「僕も、そのことについてはノーコメントなんだ。子供の時からここに住んでいるから、それはいろいろなことがあるよ。でもそれは、あくまでも僕ら一族に関わる出来事だ。一般の人には関わりのない種類の経験なんだ。わかってほしいんだけど…」。そして最後に教えてくださったのは、そういった経験は全くネガティブなものではなく、よい経験ばかりだったということでした。

…もちろん詳細はわからないのですが、何だか…いい話ですよね。高貴な方々がたくさん眠る霊廟を護っているのですもの。しかもご自身も王族の末裔です。きっとササ~ッと腕にたつ鳥肌以外にポジティブな徴しが、いろいろご先祖からもたらされているのかもしれませんね。あくまでも想像ですが…。

カイさん、そしてビルさん、興味本位でおかしなことをしつこく聞いて申し訳ありませんでした。もう聞きませんので、お許しください…!
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鳥肌のたった話(なんちゃって)

2017年11月02日 | 不思議譚


皆さんは今年もハロウィーン、楽しまれましたか? 我が家では子供たちが大きくなって以来、ハロウィーンとは縁が切れた感じです。娘は週末、アンティークのロングドレスを着てハロウィーンパーティに参加したりしていたけれど、私達夫婦はハロウィーン当日も家でフツーに夕食していました。淋しい…。

さて、今日の記事には大袈裟なタイトルを付けてしまいましたが、別にハロウィーンっぽい恐怖談をしようというのではないのです。でも、まあ、鳥肌にまつわるお話ではあります(笑)。

先週、王家の霊廟について少し書きました(→こちらです)。今、霊廟を管理しているのは、カメハメハ大王の従兄の末裔にあたるカイさんでございます。大王の甥っ子だったホオルウを8代前の先祖に持ち、そのホオルウと兄弟のホオピリこそが大王の遺骨をハワイ島の某所に隠したという、由緒正しき家系の方なのです。



どうして大王の遺骨は隠されたのでしょうか? …なぜなら。大昔のハワイでは死者のマナ(霊的エネルギー)は骨にこもるとされ、神聖視されていました。そのため、死者を冒瀆する目的で遺骨を貶める行為も頻発していたからです。なので王族の遺骨は、しっかり隠されるのが常だったのです。

そんなわけでカメハメハ大王は生前、自分の骨を隠すという大役を甥っ子2人に託し、以来、ホオルウの一族は代々、王族の墓を護る役目を担ってきたのでした(この辺りの話は、拙書「ミステリアスハワイ」に詳しく紹介しております)。

私は長年、カイさんのお父さんのビルさんにこんな話も含め、あれこれ教えを乞うてきましたが、ビルさんは数年前に死去。今では長男のカイさんが、王族の墓所を護っています。

先週、王家の霊廟でそのカイさんにお会いした時のこと。ちと不思議なことがおきました。私達と話しながら、カイさんにしょっちゅう鳥肌がたつのです。それも、カイさんが王族の話をする時に限って。「あ、まただ! ここで王族の話をするたび、鳥肌がたつんですよ」とカイさん。

何でも、それはカイさんだけでなく、王家の霊廟を護ってきたお父さんや祖母、祖父など、代々の方々が経験した現象だそうです。不思議ですが、本当に総毛たつというか、カイさんの両腕にささーッと鳥肌がたつのです。それを見て、私の方まで、鳥肌がたつ思いでした。

…私が思うに、きっとそれは、王族(つまりカイさんの一族)からのある種の徴し(しるし)なのではないでしょうか。カイさんは墓所を護っているだけではなく、王族の語り部とも言える方。王族の話を訪れた人にシェアするたび、「よしよし、私達の話をしてくれて有難う」と、ご先祖方は喜んでいるのでは? 

そして、もしかしたら肩をポンッとか、頭をなでなでする代わりに、鳥肌をたたせているのかも。なぜって、今はスピリットとして存在している王族方は、カイさんの肩をポン! も頭なぜなぜ、もできませんからネ。

目の前で、鳥肌をたてているカイさんを見ながら、そんな風に感じた私。皆さんは…どう思いますか?

(冒頭の写真は、地下にあるカラカウア一族の墓所への入口です)


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お寺の怪奇譚といえば...

2017年09月18日 | 不思議譚


一昨日の本の紹介を読み返しながら、そういえば、と思い出しました…。高校の新聞部時代、学園祭の特別展示のためにお寺巡りをしたのですが、その際、私もまたいろいろな不思議話を伺ったことを。

もしかしたら昔、ここで書いたでしょうか? …繰り返しになったら申し訳ないのですが、もう一度ご紹介しますね。

「怪談和尚の京都怪奇譚」の記事の中では、女性の霊が葬儀の前夜にお寺にやってきて…との逸話に、ごくさらりと触れました。それに似た話を、私もお寺巡りの際、数か所のお寺で聞いたのですよ。夜分ドアがノックされ、開けてみたら誰もいないということが、お寺ではよくあるのだそうです。

そういう時、住職さんはすぐわかるとのこと。「ああ、檀家さんが誰か亡くなったな」と。亡くなった方の霊が、「お葬式、お願いします。お世話おかけします」みたいに、お寺に挨拶に来るのだそうです。

それが男性なら、正面玄関をコンコン。女性なら、キッチンのお勝手口をトントンなさるのだそうです。不思議ですね~。

本に紹介されていた女性の霊は、ドアをトントンではなくて、廊下をパタパタとやってきたそうですがね...。

亡くなった後もお寺に挨拶に来るなんて、これはもしかしたら日本特有の現象なのでしょうか? 日本人の律義さが、よく現れた不思議話ではありますね。
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京都の和尚さんの怪奇譚

2017年09月16日 | 不思議譚


もう夏は過ぎてしまいましたが…。今日は7月に日本で購入し、読んでゾ~ッと涼しくなった本をご紹介しますネ。「怪談和尚の京都怪奇譚」(三木大雲著)がその1冊。

これは…相当コワイ御本です。京都・蓮久寺の三木和尚が檀家さんから相談を受けたコワイ出来事、そして和尚さん自身が体験した怪奇譚をまとめたもので、(何せ和尚さんの書いたものですから)嘘偽りなしの不思議な話がてんこ盛り。

本の後ろの要約部分から内容を少し紹介しますと、「死者からの電話、人形の怨念、線路にしゃがむ老婆、自動販売機から伸びる手、死神に救われた話…」といった感じです。ね、コワイでしょう!? 

私が特にゾ~ッとしたのは、複雑な死に方をした女性(の霊)が葬儀の前夜、お寺に挨拶に来た時のエピソードです。ううう、ここでは深く言いますまい。書くのも恐ろしい…。

しかも三木和尚の文章は軽快で読みやすく、どんどん読み進められるのもいいですね。数々のエピソードに加えて、因果応報の話や怨霊の話、邪気の話などなど、仏法に基づいた興味深い談話?も挟まれていますから、コワイだけではなく勉強になる本でもありますよ。

そう、世間に溢れたただの怪談本ではなく、仏教の教えというか解釈も含まれた、深~い1冊がこれ。オススメですよ~。文春文庫の1冊で562円でした。



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「お堀の中」にカフナが呼ばれたわけ

2016年05月20日 | 不思議譚


前回予告した「お堀」の中の不思議話、遅くなってしまいました。まあ、期待させてしまった割りに、大したお話ではないのですが~。

…何でも先日訪れた刑務所で2、3年前、看守が4、5人、立て続けに亡くなったことがあったそうです。それも闘病中の出来事などではなく、唐突に。

「これはおかしい」。周囲はさすがに気持ち悪くなり、カフナを呼ぶことになりました。カフナというのは、ハワイでいう祈祷師。今も御祓いをはじめ、様々な儀式で活躍しています。今回のような不思議な出来事のほか、新居の御祓いや新店オープンなどにもカフナが呼ばれることが多いです。

さて。カフナは刑務所内をグルリと回ると、「ここは悪いスピリットでいっぱいだ。しっかり御祓いをしないといけない」と出て行ったそうです。そして御祓いに使う、ティーリーフという神聖な葉をたくさん持って戻ってきました(ティーリーフはハワイで邪悪な霊を祓うと信じられており、人々は御守り代わりに持ち歩いたりします)。

その時にカフナが言った「悪いスピリット」とは、邪悪な霊のことなのか、それともネガティブな気のことだったのか。詳しくはわかりませんでしたが、そんなわけでティーリーフが持ち込まれ、御祓いが行われたのでした。

当時を知る人によると、その後しばらくは刑務所の出入り口という出入り口に、ティーリーフの束が釣り下げられていたそうです。

…まあ刑務所ですから、やはり清々しい気が満ちているわけはないでしょうね。そうは思うのですが。私が行った際には庭はきれいに整えられ、色とりどりのハイビスカスも咲いていて、悪い感じは全くしませんでしたけど、ネ。刑務所というより、むしろ学校のようなさっぱりした雰囲気でした。

それにしても、ハワイでは今だ刑務所を初めとした政府機関でも、御祓いがよく行われているのがユニークです。同じアメリカでも、本土の都市になるとどうなのでしょう? 神父さんが大活躍なのでしょうか。気になるところです。

(今ちょっとティーリーフの写真が探せなかったのですが、上のアンセリウムの写真中、花の背後の幅広のグリーンの葉がティーリーフです。ハワイでは学校や一般の家の庭に、ワサワサ植えられていることが多いですよ。そのうち写真、撮ってきますね)


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