菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

運命はドアを壊す。 『ノック 終末の訪問者』

2023年04月24日 00時00分54秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2227回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

『ノック 終末の訪問者』

 

 

 

 

山小屋の家族に、訪問者が世界を滅ぼすか家族が生き残るかの選択を迫るサスペンス・ホラー。

ポール・トレンブレイのベストセラー『終末の訪問者』を映画化。

 

監督は、『シックス・センス』、『サイン』のM・ナイト・シャマラン。

 

出演は、デイヴ・バウティスタ、クリステン・ツイ、ジョナサン・グロフ、ベン・オルドリッジ、ルパート・グリント。

 

 

物語。

人里離れた山小屋で休暇を楽しむ3人の家族。
彼らは突然現れた謎の4人組に拘束され、あまりにも理不尽な要求を突き付けられる。
それは、「世界を終末から救うために、犠牲となる1人を家族の3人の中から選択して欲しい」というもの。
4人組の荒唐無稽な話を到底信じることはできない3人は、どうにか脱出しようとする。

原作:ポール・トレンブレイ 『終末の訪問者』(竹書房刊)
脚本:スティーヴ・デズモンド、マイケル・シャーマン、M・ナイト・シャマラン

 

 

 

出演。

クリステン・ツイ (ウェン/ウェンリン)
ジョナサン・グロフ (エリック)
ベン・オルドリッジ (アンドリュー)

デイヴ・バウティスタ (レナード)
ニキ・アムカ=バード (サブリナ)
アビー・クイン (エイドリアン)
ルパート・グリント (レドモンド)

 

 

スタッフ。

製作:M・ナイト・シャマラン、マーク・ビエンストック、アシュウィン・ラジャン
製作総指揮:スティーヴン・シュナイダー、クリストス・V・コンスタンタコプーロス、アシュリー・フォックス
キャスティング:ダグラス・エイベル

撮影:ジェアリン・ブラシュケ、ローウェル・A・マイヤー
プロダクションデザイン:ネイマン・マーシャル
衣装デザイン:キャロライン・ダンカン
編集:ノエミ・カサリナ・プレジウィック
音楽:ヘルディス・ステファンスドッティル

 

 

『ノック 終末の訪問者』を鑑賞。
現代アメリカ、山小屋で、血の繋がらない家族3人が、訪問者4人から世界を滅ぼすか家族が生き残るかの選択を迫られるサスペンス・ホラー。
ポール・トレンブレイのベストセラー『終末の訪問者』を実写映画化。
監督は、『シックス・センス』、『サイン』のM・ナイト・シャマラン。前作『オールド』も原作付きでしたね。
脚本はスティーヴ・デズモンド、マイケル・シャーマンにょり脚色されたものを、さらにM・ナイト・シャマランが潤色。
『ハプニング』の系統。
シャマランといえば、ストーリー設定にばかり注目されがちで設定押しのトンデモB級の作家みたいな扱いになってますが、ちょっとだけ反論。彼、心理スリラーとサスペンスに、特異なビジュアルも含めて、古典的かつ上質なテクニックをもってるんです。(それ以外のジャンルの時はちょっとなこともありますが)
もちろん、その設定押しも売りではありますが。だからか、シャマラン=どんでん返しは、原作ありの場合は、ないことが多いのです。そこでないことがすでに評価されているからかも。
で、どうやら今回は、原作のオカルトホラー風味より少しスライドさせて、心理超常ホラーとサスペンスにしたようです。どんでん返しは期待しないで、その経過のサスペンスに身を委ねるのが吉。
原作の原題は、『THE CABIN AT THE END OF THE WORLD』で映画の題名は買えているんドえ、そこにも狙いがあったり。
いうなれば、なにを信じるかについての物語になっている。現代的な題材ですね。情報に翻弄されることとも言えます。
一番の見所は、主演と呼びたいデイヴ・バウティスタ。芝居のできる肉体系で、彼の存在が映画を引き締めています。『ブレードランナー2049』でも冒頭ですべてもっていきました。それが今回の起用のきっかけだそう。
ほかに、緊張を少しほぐす少女クリステン・ツイの奈良美智感。
見慣れたところではルパート・グリント。『オールド』にも出ていたニキ・アムカ=バードも。
襲われる親二人は普通感が緊張感を支えます。衣装で見分けがつくようになってます。
色語りがシャマランの特徴ですから。
お得意のきっちりレイアウトで見る楽しみがあります。
狭い空間で進む物語は、コロナ禍を想起もさせます。
人だけではなく、人が住む世界を愛している、というメッセージにもなっている。
もちろん、シャマランのファンとして、無理矢理に解釈をしてみてはいますけどね。
あと、映画の分泌ウによる仕掛けが隠してあったりするのと、実は読み込み害のあるネタも入れてあったりと一筋縄ではいかない作品でもあるのよ。
『ミザリー』などのスティーブン・キング的な方向性になってます。ソリッドに突き詰めた設定は、出てくる人すべてが怖がっているという点では、『ミスト』と『鳥』などのモンスターホラーをディザスターホラー化した感じ。そういう意味では、『ゴジラ』とも通じたり。それをあなたが止められるとしたら、どうするか? を突きつけてきます。
定番の虫始まり。(『レジェンド&バタフライ』もそうでしたね)
神話の現代で語る。
ある意味馬小屋ものとも言えるのかも。
最後の音にも注耳。
途中は重く、最後は軽く、娯楽の道を進む瓶作。


 

 

 

 


おまけ。

原題は、『KNOCK AT THE CABIN』。
『小屋の扉叩き』。

原作の原題は、『THE CABIN AT THE END OF THE WORLD』。
『世界の終わりの小屋』。

 

2023年の作品。


製作国:アメリカ
上映時間:100分
映倫:G

配給 :東宝東和

 

ノック 終末の訪問者 : 作品情報 - 映画.com

映画『ノック 終末の訪問者』結末ネタバレ!驚愕のエンディングがない凡作? - EIGASKI

 

Knock at the Cabin (2023) - Filmaffinity

Horror Losers on Twitter:

Knock at the Cabin (2023) - Poster - PosterSpy

Knock at the Cabin - Ciné-Feuilles

Knock at the Cabin - Wikipedia

First Trailer for M. Night Shyamalan's Twisted Apocalypse Thriller 'Knock at  the Cabin' :  M・ナイト・シャマラン監督が家宅侵入の賊の頭領に「デューン」のバティスタを起用し、囚われた家族に究極の選択をせまる終末世界のホラー・スリラー映画の最新作「 ノック ...

Knock at the Cabin Archives - Home of the Alternative Movie Poster -AMP-

Knock At The Cabin - iBOMMA

Amazon | The Cabin at the End of the World | Tremblay, Paul | Ghosts

Knock at the Cabin - elokuva: suoratoista netissä

 

 

 

ややネタバレ。

シャマランは、TVの通販番組のキャストで出演している。

シャマランはデビュー作から2本はガッツリ宗教的な映画を撮っており、『シックス・センス』以後も、実は宗教的要素が強い作品の方が多い。
中でも『サイン』、『ヴィレッジ』、『レディ・イン・ザ・ウォーター』は宗教駅な要素がかなり強い。

 

スティーヴ・デズモンド、マイケル・シャーマンが、この企画が正式に動く前に書いた、原作を基にした脚本は2019年のブラックリスト(映画化が決まっていない優秀な脚本リスト)に掲載されている。

シャマランが共同脚本のクレジットになったのは、映画では、『アフター・アース』以来二度目。

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

バッタ始まり映画が同時期に並んだ。
今作、『レジェンド&バタフライ』。オーグだけど『シン・仮面ライダー』。

 

ウェンは、『魔女の宅急便』が好き。
最悪の状況で能力が回復し、なすべきことをして、人を救う話は今回の構成と似ている。

ウェンは中国系の孤児で、二人のパパはゲイで差別をうけるマイノリティであること、しかも、ウェンは口唇裂で先天的な傷がある。
祝福されない者が世界を救う。
能力ではなく決断が世界を救う神話を描いている。

 

エリックの説明の映像は、エリックが見ているビジョンでもある。
だから、エリックにはアンドリューとウェンの未来が見えているしかけにはなっている。
だが、映画の構成により、観客はそれがビジョンだと思いにくい。
見えてさえも、信じにくい、というしかけにもなっている。
これは『サイン』でもやっており、今作は『サイン』に近い内容になっている。
なので、シャマランにはサイン(この原作で映画をつくれと言う予兆)に見えたのかもしれない。

原作では、ウェンは途中でいなくなり、エリックが命を捧げようとするのをアンドリューが止め、滅んでいく世界を二人は車を走らせていくそうです。
映画の脚色は、原作のラストの第二候補だったそう。

 

 

 

ビジョンが見えない者には、信じることは出来ない、という話でもある。

預言者、預言の実現、神の罰、間違った選択によるハッピーエンドは、シャマランが選びがちな要素。
今回も、まさにそれでしたね。それは、最後で。
『サイン』はまさに間違ったハッピーエンドですが、これは長いので、このブログの『サイン』の記事で。
『ヴィレッジ』はコミュニティは崩壊するが村は開かれる。
『レディ・イン・ザ・ウォーター』は特定の思想が得界を支配する未来が守られるとも言える。
実は、『シックスセンス』も冒頭で、この間違ったハッピーエンドが起きることで始まる物語だったりしますし、最後もよく考えると悲劇を受け入れる話になっている。


さすがに、目の前で、ナイフでロープを切ろうと動いているのは、バレるでしょ。

 

 

あの4人は<黙示録の四騎士>になっているって言っている。

ヨハネの黙示録の四騎士は、『ヨハネの黙示録』に記される四人の騎士とされているが、これは「馬に乗る者」(英語では「Horseman」)の意訳であり、原典には身分階級としての「騎士」に相当する単語は無い。小羊(キリスト)が解く七つの封印の内、始めの四つの封印が解かれた時に現れるという。
四騎士はそれぞれが、地上の四分の一の支配、そして剣と飢饉と病・獣により、地上の人間を殺す権威を与えられているとされる。(Wikiより)

第一の騎士
『ヨハネの黙示録』第6章第2節に記される、第一の封印が解かれた時に現れる騎士。白い馬に乗っており、手には弓を、また頭に冠を被っている。勝利の上の勝利(支配)を得る役目を担っているとされる。
今作ではレナードで「導き」。暗雲と雷を起こす。

第二の騎士
『ヨハネの黙示録』第6章第4節に記される、第二の封印が解かれた時に現れる騎士。赤い馬に乗っており、手に大きな剣を握っている。地上の人間に戦争を起こさせる役目を担っているとされる。
今作では赤い服を着たレイモンド(Redmondで赤が入る)ことオバノンで、「恨み」。地震と津波を引き起こす。

第三の騎士
『ヨハネの黙示録』第6章第6節に記される、第三の封印が解かれた時に現れる騎士。黒い馬に乗っており、手には食料を制限するための天秤を持っている。地上に飢饉をもたらす役目を担っているとされる。
今作では黒っぽい服を着たエイドリンで「養い」。疫病のX9を増加させる。

第四の騎士
『ヨハネの黙示録』第6章第8節に記される、第四の封印が解かれた時に現れる騎士。青白い馬(薄い蒼の馬と訳されるが、英語ではPaleで、薄い、淡い、という意味)に乗った「死」で、側に黄泉(ハデス)を連れている。疫病や野獣をもちいて、地上の人間を死に至らしめる役目を担っているとされる。
今作では薄い(ペール)黄色い服を着ているサブリナで「許し」。飛行機を墜落させる。

 

 

 

マタイによる福音書にはこうあるそう。
「そこでイエスは答えて言われた。
「人に惑わされないように気をつけなさい。 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がキリストだと言って、多くの人を惑わすであろう」
しかし、地上の人々は反キリストを本物のキリストと思い、受け入れていくので、反キリストは、多くの⼈々から勝利者として栄冠を与えられていく」

 

今作では、7つの封印のすべてが起きる。

第一の封印:反キリストが現れる。

第二の封印:殺し合い(戦争)が起こる。

第三の封印:飢饉が起きる。

第四の封印:地上の4分の1の人が死ぬ。

第五の封印:殉教者たちの魂が現れ、血の復讐を神に願う。

第六の封印:大地震や天変地異が起こる。

第七の封印:7人の天使に7つのラッパが与えられ、雷が地上を焼き尽くす。

 

今作では、七つの封印が順番ではないが、解かれていくともいえる。
雷が地を焼いたし、血の復讐を神に願い、銃で殺し合う。
バッタもそうですね。
殉教者の魂も車と音楽で現れる。
7つのラッパではないが、7つの音が鳴る。
飢饉(空腹)が起きたので、エイドリンが食事をつくったということにしてみる。
地上の4分の1の人は死んでないが、これも人をキリストを信じる者とするなら、その数字は分からないし、あの災害と700機以上の飛行機が落ちたら4分の1ぐらい死んでいるのかもしれない。

「ヨハネの黙示録」には7つの封印が解かれたあと、「4人の御使が地の四角に立ち、四方の風をひき止めて、地にも海にもすべての木にも吹きつけないようにし、神から選ばれし144,000人がいる」と書かれている。
つまり、黙示録は、生き残る者を選ぶ作業だとも言える。ノアの箱舟などでも似たようなことをキリスト教の神はやる。

タイトルでもあるノックだが、レナードはドアを7回ノックする。
そして、映画の最後の最後でもノック音がする。
これは、七つの封印が解かれると、7人の天使が7つのラッパを鳴らすのとかかっているなら、今作は黙示録の終わりを告げているとも言える。
主要な登場人物も7人だしね。

 

ただ、エリックを殺さなくても、同じことが起こったかもしれない。
レナードは最後、結局、自殺してるし。
「(自分たちも)自殺ではダメだ」と言っていたのに。
黙示録にあるってことは、そもそも封印は解かれるのでしょうがないのだけど。
これこそ、シャマランが描く要素の一つ、<間違った選択によるハッピーエンド> だと言えるんじゃないですかね。

つまり、今作は、原作で世界が終末を迎えるから、その先の黙示録後を描いたと言えるのかも。

 

もちろん、シャマランのファンとして、無理矢理に解釈をしてみてはいますけどね。

だって、ゲイのカップルの一人が死んで、世界が救われるってのは、ある種のキリスト教的なバイアスがかかってるのを感じちゃう。

 

 

 

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