で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1921回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『返校 言葉が消えた日』
独裁政権に抑圧されていた台湾、発禁本を書き写す読書部に入った高校生と先輩が夜の学校から出られなくミステリー・ホラー。
2017年に発売された台湾の大ヒットホラーゲーム『返校』を実写映画化。
国民党政権下の白色テロ時代が舞台のダークミステリーで、本国台湾で大ヒットし、第56回金馬奨で最優秀新人監督賞など5部門を受賞した。
主演は、TV『あすなろ白書 ~Brave to Love~』のワン・ジン(ジングル・ワン)とツォン・ジンファ。
監督は、本作が長編映画デビューとなるジョン・スー。
物語。
1962年、戒厳令下の台湾では自由を求めることは重罪とされ、国民に対しては相互の監視と密告が義務とされていた。
高校2年生のウェイは、仲間と発禁本を書き写して残す読書会の入っていた。
両親の不和で精神的に不安定な高校3年生のファンは、生徒指導のチャン先生に助けてもらう。
ある日、ファンはいつのまにか寝てしまい、誰もいない教室で目覚める。
追いかけてくる気配に逃げるファンは、チャン先生を見つけるが、追いつけない。
その後、後輩の男子生徒ウェイに出会い、遺書sに学校を出ようとする。
嵐が訪れ、ひどい雨が校舎を叩く。
脚本:ジョン・スー、フー・カーリン、チエン・シーケン
出演。
ワン・ジン (ファン・レイシン)
ツォン・ジンファ (ウェイ・ジョンティン)
フー・モンボー (チャン・ミンホイ先生)
チョイ・シーワン (イン・ツイハン先生)
リー・グァンイー (ホアン・ウェンション)
パン・チンユー (ヨウ・ションジエ)
チュウ・ホンジャン (バイ教官)
スタッフ。
製作:リー・リエ、リー・ヤオフア
撮影:チョウ・イーシェン
編集:ライ・シュウション
音楽:ルー・ルーミン
『返校 言葉が消えた日』を鑑賞。
1962年戒厳令下の台湾、発禁本を写す読書部に入った高校生と先輩が学校に閉じ込められるミステリーホラー。
大ヒットホラーゲーム『返校』の実写映画化。
映画も大ヒットし、高評価も得た。
ゲームならではの構成を映画的にさらに分かりやすく並べることでシンプルにお化け屋敷ホラーを楽しませる。密告者は誰だとうう犯人探しはもうちょっと深くてもよかった気もするが。
『返校』は「学校に戻る」の意味。これが何度か繰り返され、タイトルと物語が邂逅。
ワン・ジンのイラストのような美少女ぶり。彫刻のような美男ツォン・ジンファ。それゆえに恐怖に歪む顔が映え、悲しみが絵になる。ホラーと綺麗は乳化するものです。
ゲームの映画化と侮るなかれ。
自国の暗黒の歴史ときっちりジャンルものに取り込んで見せる。よきマルチメディア展開。これ、日本でも戦時中を豚にリメイクできるよね。
ゲームの時点で『牯嶺街少年殺人事件』などの台湾ニューシネマから多くのインスピレーションを受けて制作されたそう。そういう歴史も取り込んで入るわけだ。いろんな映画とかゲームのオマージュというか影響は多々見えます。
美術や撮影も美しいしね。
CGっぽさがちょっと時代と合わないところもあるけど、画面をにぎやかにしてくれます。中華CGとは方向が違うので。
なんといっても始まりから物語の要素がいいので、後半は物語に身を委ねてのめりこめます。人の生き様に揺さぶられます。
自由が息潜めたのを忘れさせない文作。
おまけ。
原題:『返校』。
『学校へ戻る』。
英語題は、『Detention』。
『居残り』。
『拘留』の意味もある。
2019年の作品。
製作国:台湾
上映時間:103分
映倫:R15+
配給:ツイン
ゲームは、日本版も『返校 -Detention-』というタイトルで出ている。
ジョージ・オーウェルの『1984』をおメージして開発しているうちに、1960年代の台湾同じ尾由奈状況だったと気づき、方針を変え、映画『牯嶺街少年殺人事件』などの台湾ニューシネマから多くのインスピレーションを受けて制作されたという。
ゲームでは、台風が近づく中、不気味な幽霊がうろつく学校から脱出するために生徒二人がさまよう。しかし、幽霊と戦うことはできず、息を止めてやり過ごす。(初期の『メタルギア・ソリッド』シリーズ系の方向のゲームなのかしら)
NETFLIXには、マルチメディア展開の連続ドラマ版『返校』が配信されている。
映画とゲームのネタバレを踏まえたうえで30数年後の話になっている。
ネタバレ。
ゲームでも、最初、ウェイ(ウェイ・チョンティン)を主人公に始まり、途中で、レイ(ファン・レイシン)に主人公が変わるそう。
どうやら、映画の冒頭のシーンも無いようです。
まぁ、あのシーンで、だいぶわあk李安くなるけど、ゲームと違い、当時の情報がないと理解しづらいだろうから、しょうがないともいえるかも。
でも、途中で入ってもよかった気もするけど。
悪夢のシーンでも、ウェイの首筋には拷問時の切りたての傷がある。
SF小説や映画からの影響は強く、発禁本を書き写す墨書部はレイ・ブラッドベリの『華氏451度』。
本を燃やすシーンは、映画版のイメージからかな。