で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2332回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ゴーストバスターズ フローズン・サマー』
NYで復活したゴーストバスターズが最強氷結ゴースト退治に挑むコメディ・オカルト・アクション。
1980年代に世界的ブームを巻き起こした『ゴーストバスターズ』シリーズの第4作。二度目のリブートの第2弾で2021年に製作された『ゴーストバスターズ アフターライフ』の続編。
原題は、『GHOSTBUSTERS: FROZEN EMPIRE』。
『幽霊退治団:凍結帝国』。
製作年:2024
制作国:アメリカ
上映時間:115分
映倫:G
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
物語。
現代アメリカ。
サマーヴィルからニューヨークへと引っ越したフィービーたちスペングラー家とゲイリー・グルーバーソンは、ウォンストンがスポンサーになって、あの消防署でゴーストバスターズとして活動していた。
ゴーストドラゴン退治の被害のせいで、フィービーの責任が問われ、15歳の彼女はゴーストバスターズ業務から外されてしまう。
憮然とするフィービーは、知的で同世代の幽霊メロディと出会う。
レイモンド・スタンツ博士は霊能物を扱う骨董店を開き、ポッドキャストと霊能動画の配信をしていたが、そこに強力な霊能物の球が持ち込まれる。それこそ、最強の氷結ゴーストに関連するものだった。
一方、40年の劣化でゴースト貯蔵庫の調子がおかしくなってきていた。
キャストには、ポール・ラッド、マッケンナ・グレイス、フィン・ウルフハード、キャリー・クーンら前作のメンバーに加え、オリジナルメンバーのビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、アーニー・ハドソンらおなじみの顔ぶれが集結した上、新キャラクターたちも入り、にぎやかに。
監督(共同脚本も)は、『エンバー 失われた光の物語』『モンスター・ハウス』のギル・キーナン。
共同脚本は、前作で監督を務めたジェイソン・ライトマン。
スタッフ。
監督:ギル・キーナン
製作:アイヴァン・ライトマン、ジェイソン・ライトマン、ジェイソン・ブラメンフェルド
製作総指揮:ダン・エイクロイド、ギル・キーナン、ジョアン・ペリターノ、エイミー・カープ、エリカ・ミルズ、エリック・ライヒ
脚本:ジェイソン・ライトマン、ギル・キーナン
撮影:エリック・スティールバーグ
プロダクションデザイン:イヴ・スチュワート
衣装デザイン:アレクシス・フォーテ、ルース・マイヤーズ
編集:ネイサン・オーロフ、シェーン・リード
音楽:ダリオ・マリアネッリ
出演。
マッケナ・グレイス (フィービー・スペングラー)
ポール・ラッド (ゲイリー・グルーバーソン/元教師)
キャリー・クーン (キャリー/母)
フィン・ウォルフハード (トレヴァー/兄)
ダン・エイクロイド (レイモンド・スタンツ/博士)
ローガン・キム (ポッドキャスト)
セレスト・オコナー (ラッキー)
ジェームズ・アカスター (ラース・ピンフィールド/博士)
クメイル・ナンジアニ (ナディーム・ラズマディ)
アーニー・ハドソン (ウィンストン・ゼドモア)
アニー・ポッツ (ジャニーン・メルニッツ/社員)
ビル・マーレイ (ピーター・ベンクマン/博士)
パットン・オズワルト (ハーバート・ウォルツキー/博士)
ウィリアム・アーサートン (ウォルター・ペック/市長)
エミリー・アリン・リンド (メロディ)
『ゴーストバスターズ フローズン・サマー』を観賞。
現代NY、復活したゴーストバスターズが最強氷結ゴースト退治に挑むコメディ・オカルト・アクション。
『ゴーストバスターズ』シリーズの第4作。二度目のリブートの第2弾で2021年の『ゴーストバスターズ アフターライフ』の続編。(ちなみに、一度目のリブートは、2016年の女性版の『ゴーストバスターズ』で、今作で5本目となる)
前作は田舎でゴーザと対決で、今作は古巣NYへ戻ってあの消防署で完全リブートという感じ。
まずは、児童向けかつファン向けになっており、一番大事なことを守っている。それはガジェット。道具愛に溢れていること。新しいゴーストパックなどの新装備、ゴースト研究所の装置、ECTO-1の活躍、霊能物など、ただ出すだけでなく、ちゃんと機能させているのがいいのよね。それに、これこそ80年代的なムードを醸し出しているのです。
そして、今作の一番大事なところもちゃんと多めになってます。これはのちほど。
オリジナルをつくった人への思いが伝わってくる。
今作は、さらにオリジナルへの敬意を強くしているので、前作よりより最近ひゃりの敬意がこもったリブートになっており、オリジナルキャストの多くがけっこう出てきて、活躍します。(前作は騎兵隊的登場だったので)
ただ、そこを掘り下げずに、新キャラやゲストのキャラを掘り下げたのが、このシリーズを続けたいという思いを感じさせますが。
それにより、主要キャラが多めになってますが、リブート第二弾なので、実際は、メインの掘り下げとゲストキャラになる。つまり、映画版『クレヨンしんちゃん』的な感じですよ。キャラ渋滞にならないように(そう感じる人もいるかもしれないが)整理されている。
なにしろ、そもそもいろんなものを見せるシリーズではあるのよね。
この盛り沢山こそ味。だから、後ろで、細かいことやってたりしますので、配信とかで見直す楽しみを用意している。(もともと、オリジナルが博士キャラのチームをメインに据えた新しいコメディの定番をつくったとしても評価されている。博士キャラ主役は『フラバー!』などその前にもあったけど、地に足の着いたキャラでチームというのが初)
ガジェットに加えて、新しいもう一つの要素が、ゴーストたちのバリエーション。新旧ゴーストが二桁ほど出てきます。(ドラゴン、図書館ゴースト、大食らいなどなど)
それをただ出すだけにせずに、ガジェットと同じように活躍させ、物語で機能している。かつてのシリーズの匂い、80代年の雰囲気を纏わせてつつ、ちゃんと両面(ただゴーストを悪にせず)を描いたのは現代っぽいところ。(過去作ではゴーストは使いようの道具的な両面だったし、基本は悪だった)
笑いにおいても同じで、ちょこちょこと体と台詞、アメリカ的強めな笑いなど種類多めにしています。
日本ではあまりなじみがないですが、80年代に児童向けアニメシリーズ『リアル・ゴーストバスターズ』があり、それも人気があったので、そこからのテイストも入っているのよね。
子供を過去に進め、大人をかつての現在に戻そうっていう、過去現在未来をつなぐ内容。実際、80年代をちらっと批判するセリフ「80年代に未来のことなんか考えてない」などもちらっと紛れ込ませている。
子供にこそ、見てもらいたい懐古趣味だけにとどまらない一本。
ややネタバレ、
最後に、オリジナルの監督で本作の製作の逝去したアイヴァン・ライトマンへの謝辞があります。
メインキャラだけで、新チーム4人(スペングラー一家)、旧チーム4人(イゴンはセリフにだけなので)+2人(ラースとラッキー)、前作キャラ1人(ポッドキャスト)、ゲストキャラ2人(メロディとナディーム)の13人出てきます。
これにガラッカとポゼッサーとマシュマロマンと大喰らいと市長も入れて(人格はないけど)、重要なのは18キャラ。
最近、アメリカ映画は、この登場人物多めという作劇を使うようになってきました。
ネタバレ。
ゲイリーは、映画鑑賞会用に『Cannibal Girls (1973)』の VHS コピーを出す。
アイヴァン・ライトマンの2作目の長編映画。
これは、『ゴーストバスターズ II』 (1989)と『ゴーストバスターズ: アフターライフ』 (2021)でも映画館の看板に出ていた。
ミニマシュマロマンが機能してない。
切ったはずのファイヤーポールが、ナディームが降りるときには、元に戻っている。
周囲のリアクションの見せ方があまりうまくないのが残念。
すごい博士なのに認められないのがみんなを掬うという良さが、薄い。
今回のフィービーやラディームが落ちこぼれなのに世界を救うなのに、そこが見えない。
訓練も雑だし。
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追記。
今作が忘れたのが、『ゴーストバスターズ』は町の映画、住民の映画だということ。
そこに住んでいる者のための映画であり、町の物語だということ。
『1』の住民のために活動する彼らこそ生活の中にいるヒーローなのであって、敵はそれを蹂躙する。
だから、住民が操られ、敵になるが、それを救おうとする。
『2』は町から見捨てられても、街を見捨てない彼らが、kつての独裁者から町を守る物語で、「この街を信じる」というセリフさえある。
ゴーストバスターズは町の駆除屋さんがたまたま世界を掬う羽目になることが大事なのだ。
この誰のためにの視点が欠けていることが登場人物を増やす作劇で失われてしまうことがあることに気をつけなければならない。
アイバン・ライトマンは庶民の入れるのがうまい作家だった。
ジェイソン・ライトマンとの差はそこにあり、彼は家族の関係に目を向ける作家である。
『アフターライフ』は田舎の町で新しい住民となった家族が古い住民と世界のためにゴーストバスターズになる映画だった。
今作の監督は、ギル・キーナンは立ち向かう特別な人を描くタイプで、ヒーローに目を向けがちな作家で、住民視点が弱い。それは最初のカーチェイスでの人々の反応の薄さにも如実に現れている。
ヒーローものの大事な方向の一つは、住民とヒーローの関係。
スパイダーマンはまさにその視点での最大のヒーローで、映画『アイアンマン』はヒーローが住民に気づく話。
ノーランの『ダークナイト』は庶民に気付いたヒーローが苦難の中で住民か英雄かを問われ続ける。
最後、『ダークナイト・ライジング』の最後は、住民になる。