【俺は好きなんだよ】第171回
『恋する惑星』(1994)
原題は、『重慶森林』。英語題は、『CHUNGKING EXPRESS』
90年代を代表するスタイルをつくった作品。
スタッフ。
監督:ウォン・カーウァイ
製作:ジェフ・ラウ
脚本:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル/ケン・ラーワイ
美術:ウィリアム・チャン
音楽:チャン・ファンカイ/ロエル・A・ガルシア
出演。
トニー・レオン
フェイ・ウォン
ブリジット・リン
金城武
ヴァレリー・チョウ
物語。
〈重慶マンション-CHUNGKING HOUSE-〉:
刑事223号は、雑踏の中で金髪にサングラスの女とすれちがう。
「そのとき、彼女との距離は0.5ミリ-57時間後、僕は彼女に恋をした」
女は無国籍地帯、重慶マンションを拠点に活動するドラッグ・ディーラーで、密入国したインド人に麻薬を運ばせる仕事を請け負っている。
刑事223号はエイプリル・フールに失恋。
恋人が忘れられず、ふられた日からちょうど1か月後の自分の誕生日までパイナップルの缶詰を買い続けてしまう。
金髪の女は啓徳空港へ。しかし、麻薬を渡したインド人の姿はなく、彼女は裏切りを知る。
刑事223号と金髪の女は偶然入ったバーで知り合う。
コールだった。その朝、女は裏切った男を射殺、金髪のかつらとサングラスを投げ捨て、去っていく。
〈ミッドナイト・エクスプレス-Midnight Express-〉:
刑事223号は小食店〈ミッドナイト・エクスプレス〉で、新入りの娘フェイとすれちがう。
「そのとき、彼女との距離は0.1ミリ-6時間後、彼女は別の男に恋をした」
刑事633号は店の常連。
彼にはスチュワーデスの恋人がいたが、二人には別れが待っていた。
ある日、フェイはスチュワーデスが刑事633号にあてた手紙を店主からことづけられる。
手紙には彼の部屋の鍵が入っていた。
フェイは、刑事633号の部屋に忍び込む・・・。
音楽のセスで映画がこうも変わるのかと思い知らせる作品の一つ。
タランティーノとか、『トレインスポッティング』、『天才マックスの世界』とあkですな。
中でも、歌手として活動するフェイ・ウォンがカバー曲『夢中人』の歌は最高。
ある意味で、映画的なミュージカルとも言える。
超大作『楽園の瑕(きず)』の撮影が長引き、その途中で、作られた作品。
ウォン・カーウァイは休止の間に、低予算で、少人数スタッフで、最大限に自由な環境で撮ろうとしたらしい。
映画への愛を取り戻すためになんてことも言っていた。
そう、『楽園の瑕』の愛の渇望は、現代の香港でも続けられたというわけだ。
それは、もう一本の作品にまで続くのだ。
で、『大英雄』は見るには、かなりの愛が必要です・・・。
『恋する惑星』この作品を観たクェンティン・タランティーノが狂喜し、彼の作った全米映画配給新レーベル“Rolling Thunder”の第一回配給作品に選ばれている。
「クールってのは、こういう事をいうのさ」
この映画を観た後の、タランティーノの言葉。
まぁ、好みは分かれるだろう。
でも、そういう作品だからこそ、熱狂を呼ぶってことさ。
90年代の熱をどうぞ。