『贈られ物』
買い物中にみかけた道具。
あ、これ、あなたが好きそう、と思ったら、それをあなたに贈るシーンが浮かんだ。
そしたら、頭の中のあなたが喜んでたので、嬉しくなって、それをレジの人に贈り物で、と告げて、包んでもらった。
イメージは続いて、あなたがそれを使っている姿まで浮かんできた。
タイミングを見計らって、あなたにそれを贈ったら、あなたは、私の頭の中のあなたより、喜ばなかったので、がっかりした。
だから、私、あの後、少し無口だったの。
そう、むくれてたの。
でも、夜寝る前、考えたら、勝手に嬉しくなったのは、私なのよね。
その贈り物を買ったときに私はもう、すでに嬉しいをもらっていた。
なのに、あげた時にも欲しがったのね。
勝手にあなたの気持ちまで決めていたのね。
なんだか、ごめんなさい。
明日、起きたら、あやまらくちゃ。
うーん、まいった。
きみは、まだ、むくれている。
なんで、贈られた時、そっけなくしてしまったんだろう。
あの贈り物は、少し前、自分でも見つけていた道具だった。
だけど、あれにはちょっとしたことだけど、個人的にどうしても気に入らないポイントがあった。
全体的にはいいのだけど、たった一か所どうしても気にいらないところがあるものというのは、憎しみさえ浮かんでしまうものなのだ。
そのせいで、購入を見送っていた物。
でも、確かにそれ以外は、私が好きそうな物なのは、間違いない。
購入する前に、一言相談してくれれば、なんてとも思う。
思うけど、贈り物に、びっくりも添えて、喜びを倍増させたかったんだろうね。
なのに、開けたときに、あのちょっとした怒りであまり喜ぶことができなかった。
贈り物は、その物だけでなく、君がわたしのことを考えてくれた時間が一緒に入っているんだよね。
なのに、わたしはその物としか向き合えなかった。
明日起きたら、あやまろう。
そして、朝、二人の挨拶は、おはようではなく、ごめんなさい、になった。
二人は謝ることでもなかったね、と仲直り。
その道具を返品せずに飾ることにした。
解説:
携帯電話のメモを整理をしてたら、出てきた去年書いた短編。
たしかクリスマス頃に、O・ヘンリの『賢者の贈り物』を意識して書いたんだな。
推敲sしてないから、ちょっと雑ね。
ま、オーディオ・ブックでの小説家デビューの記念に載せてみました。
『HAPPY DAY3』
http://www.febe.jp/content/content_59863.html