おいらの顔は、真顔が少し、口角が上がっており、微笑んでいるように見える。
微笑んでいると書くと少し和らぐが、知り合いに聞いたら、ニヤけている、となる。自分の顔のことゆえ、少し和ませてしまうくらいは許していただく。
この少しニヤけた真顔は一見人当たりが良さそうで好まれそうだが、これが案外そうではない。
真剣な時にも、怒られて殊勝にしている時でも、ニヤけてみえるので、真面目にとられないのである。
しかも、眼鏡の一重の細めとくれば、小バカにしているようにさえとられるのである。
かの真顔笑顔は母譲りで、母は丸顔のお多福顔ゆえ、この真顔笑顔が熊手に収まるほどに、しっくりくる。人当たりもよく、まさに柔和を似顔絵にしたような印象なのである。
同じ真顔笑顔でも、丸いか細いか性別か違いで、まるで相手の印象が変わるのである。
下手すれば、ニヤニヤしていると、エロいことでも考えているんじゃないか、と思われかねない。
なので、そういう状況になると、ことさら、口角を下げて、ヒゲオヤジばりに、への字口にしているので、よく頬がこる。
顔のマッサージというのは、マッサージ屋でもなかなか頼みにくいので、あったかい風呂で顔を洗う時に丹念に揉んでいる。
その時の顔は口を開いて、両頬に手を当てており、たぶんきっと、ムンクの『叫び』のようであろうと推測されるのだが、そこは真顔笑顔なので、きっとムンクも、もっと恐ろしくせよと叫んでくることであろう。
実際、ムンクの叫びは耳を塞いでいるので、『ホーム・アローン』のケビン顔になっていたら、いいなぁ。