菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

感情÷理屈=割り切れない。   『ジェーン・エア』

2012年06月24日 00時00分41秒 | 映画(公開映画)
で、ロードショーでは、どうでしょう? 第315回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」







『ジェーン・エア』







『ジェーン・エア』は、シャーロット・ブロンテ原作の英文学屈指の古典。
映画化は18回ほど。映像化をいれれば、30回ほどになる。
日本題だと『ジェイン・エア』とも。

で、そんなにされた作品を、今度はどのように映画化したのか?


今回は、日系で南米出身のキャリー・ジョージ・フクナガが手がけた。
イギリス系でも古典派でもない彼がとったアプローチとは、古典にある感情を拡大すること。
音楽劇化がミュージカルなら、これは古典を映画化で、感情劇化している。すなわちエモーショナルとも言えるものだった。

この方法論は、バズ・ラーマンの『ロミオ+ジュリエット』も試みていたし、だが、あれは現代化もしていたが、今作は、そのまま。
最近では、ジョー・ライトも『高慢と偏見』で狙っていた節がある。
古典に新しい息吹を吹き込もうという意気を感じさせる。


そして、エモーショナルには、キャスティングが命。
美人過ぎないミア・ワシコウスカのリアリティに旬の演技派マイケル・ファスビンダー、ジェイミー・ベル、ジュディ・デンチ、サリー・ホーキンス、イモージェン・プーツといった名のある方々に加え、実力派をずらりと揃えて、脇も万全。


中世を描く古典は、映画の王道。
美術、撮影、音楽すべてが重要だから。

撮影は、監督の盟友アドリアーノ・ゴールドマン。
編集は若手のメラニー・オリヴァー。
美術も新鋭ウィル・ヒューズ=ジョーンズ。
衣裳はこの手の作品で名をなしているマイケル・オコナー。
音楽は、傑作『つぐない』を手がけたた中堅ダリオ・マリアネッリ。


セリフも少なめに、映像の力を信じて、自然の音を聴かせていく。
回想や時間軸をずらした編集で、古典をまっすぐ語らずに、エモーショナルに紡いでいく。


そう、この作品は、古典の映像化の方法のハイブリッドを試みている。
被写体、世界観はそのままに、映画技法における現代的手法を用いたのだ。
21世紀初めに、アメリカ映画は新古典時代に入ったが、2010年代を迎えて、そのアプローチは進化しつあるようだ。

重厚さと情報の加速による現代的軽さの両面を味わえますぜ。














おまけ。
この作品、米アカデミー賞で、衣装賞にノミネートされてます。




にしても、なぜ、それほどまでにこの作品は好まれるのか?
そりゃ、きっと読まないとわからんんですが。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6月22日(金)のつぶやき | トップ | 6月23日(土)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(公開映画)」カテゴリの最新記事