時差ぼけの睡眠不足と帰りの機内が寒かったこともあり風邪をひき、自宅近くのクリニックに行き薬を貰ってきた。旅行前にYouTubeで、5月のパリの気候に合った服装はオニオンスタイルで、というのを見ていた。緯度が札幌より上のパリは寒暖差があるので、玉葱を剥くように脱いたり着たりする事を勧めていた。旅行中はその方法で特に問題は無かったが、睡眠時間は時差ボケで常に3,4時間という状態だった。クリニックの医師からはとにかく睡眠をとるように言われ、薬の効用か時間に関係なく、11日間の睡眠不足をとり戻すようによく眠れる。
さて話を16日(木)に戻すと、一旦搭乗した飛行機から機体トラブルで空港へ戻されたのは10:30。それから一階搭乗口待合所で延々と待たされ、この頃には外国人乗客からの怒声も聞こえてくる。そして欠航の発表があったのが17:00。三階にあるチェックインカウンターでキャンセル処理するので20人ずつのグループになり時間差をつけて、出入国審査所→手荷物安全検査所と逆方向に動いてスーツケースを引き取る。我々が最後のグループで、三階ロビーに着き並んで待っていたが、案内した日本人グランドホステスがチェックインカウンターの状況確認の為か列を離れたら、若い日本人の男が来て、皆さん何でここに並んでいるのですか、一階に移動して下さいと。それも案内するという感じはなく、自分だけ先にスタスタと先を急ぐ。そして一階で説明されたのは、明日9:00発北京行きの別便を仕立てます、北京からの乗換え便については北京で対応します、今日のホテル代は出ませんと言い放つ、信じられない対応と説明だった!今、思い出しても腹が立ち、殴ってやりたくなるような態度だった!
色々質問しても、エアチャイナからそれ以上のことは聞いてないと!この言い方からするとエアチャイナの社員ではないのだろう。
この頃になると長い待ち時間に、言葉を交わすようになった人が何人かおり、これからどうするかという話になり、地方から来た人は穴守稲荷のドミトリーに泊まるとか、情報交換をする。我々は18:30発のバスがあるので一旦家に戻るか、蒲田辺りのビジネスホテルに泊まろうかと話していると、案内してきたグランドホステスが戻ってきて、三階のチェックインカウンターに案内すると言う。
先の若い男の情報は、何だったのだろう?
チェックインカウンターは大勢の乗客で混乱しており、エアチャイナが呼んだのか、警察官2人がずうっと立ち会っていた。
チェックインカウンターの周りに集まっている人達と話すと、世の中には色々な人がいるものだと思った。四国八十八箇所巡礼の遍路600kmを、1日30km歩き20日で半分ほど廻ったと言う若いブラジル人男性、スウェーデンに永住する為にストックホルムに向かう若い日本人女性、布生地を買い求める為にパリ、ロンドン、リスボンと3週間の旅をする若い日本人女性、この女性は同じパリまでなのでよく話をした。パリは3度目でお兄さんが我々と同じ市内に住んでいるとの事だった。パリで何かあったらとカミさんとはLineアドレスを交換していた。そして同じパリ行きで私と同じ歳の男性2人連れ。このお二人はパリ5日間の旅だがリュック一つの軽装だった。飾ることない気さくな人柄で、自分達のことを色々話して下さり、我々は聴き役に回っていた。
それぞれ北海道恵庭市と新潟県上越市に住んでおり、この遠距離を取り持つのが、お互いが盲目の女旅芸人瞽女(ごぜ)への強い関心だったらしい。油絵を趣味とする上越市の方は瞽女文化の発信をしていて、恵庭市の方は瞽女の絵を描いた画家斎藤真一のコレクターで、その140点のコレクションを上越市の瞽女ミュージアムに寄贈したことのお礼のパリ旅行だと言う。パリでは斎藤真一と親交が深かった藤田嗣治の絵やモネの「睡蓮」が8枚あるオランジュリー美術館を観に行くとのことだった。カミさんがお二人の名前を聞いていたので、帰国してネット検索したら瞽女と斎藤真一の絵画コレクションに関する記事が多数載っていた。同じ歳で趣味の範囲を大きく超える知識の深さと、その活動の打ち込み様に感銘を受け、カミさんも感心しきりだった。
そんな話をしている内に21:00頃になり、行き先別か紙に名前を書かされ、他航空会社への振替が始まった。丸々12時間以上同じ体験を共有したせいか仲間意識が芽生え、名前を呼ばれ振替便を案内される度に拍手と喝采が湧き起こった。話をしていた若い日本人女性1人旅の面々も、それぞれストックホルム、マドリード、チェンマイへと旅立って行った。そして21:30パリ行き組が呼び出され、22:50発ANAミュンヘン行き、エールフランスに乗換え翌日12:00パリ着への振替が案内され、全員手を叩いて喜ぶ。ANAに乗れて、パリ着が6時間早いのであれば願ったり叶ったりだ。ただそれが束の間の糠喜びとなってしまった。ANAへの手続きが22:00で時間切れとなってしまったのだ。代替え案が大韓航空2:00発、仁川空港6時間の乗換でパリ着18:00という、到着時間が変わらないものだったので全員断った。
ここで最終的に羽田空港内のロイヤルパークホテルとホテル ヴィラフォンテーヌに宿泊となった。どちらも一泊35,000円〜なので、普通であればお得感もあったかもしれないが、深夜23:00を過ぎ、疲れていたので全くそんな感じはなかった。チェックインした時に特別対応として、レストランで食事一品、飲み物一品の提供を言われたので、スーツケースを持って遅い夕食を取りに行った。レストランは我々だけで、しばらくしたら前述の男性2人連れが合流した。サンドウィッチ一個だけのこの日の食事だったが、特に空腹を感じなかったが鶏重と生ビール一杯を取った。ホテルの部屋でシャワーを浴びてベッドに入ったのが0:30、朝4:15に家を出てから長い長い一日だった。
(ホテル ヴィラフォンテーヌ)
(バイキング朝食)

(6:30チェックインカウンター)

1日遅れの出発となった5/17(金)は5:00に起き、朝食券を貰っていたので6:00オープンの朝食バイキングをスーツケースを持って行きながら取った。そのバイキング内容は過去に見たことがない品数と種類の豪華なものだったが、時間もなく、食欲もなかったのでパン、野菜、豆乳と簡単に済ませた。
6:30頃にチェックインカウンターに行くと既に長蛇の列だった。前日からチェックインの様子を見ていて感じたのは他航空会社と比べて効率が悪いのだ。Webチェックインをしてスーツケースだけ預けるという事も出来ないので時間がかかる。ようやくチェックインカウンターで手続きを始めたら、途中からグランドホステスの様子がおかしくなり、上司と思える女性を呼びに行き、2人で端末に向かい何やら難しい顔をして話合っていた。
そしてオーバーブッキングでカミさんの北京からパリまでのチケットが発券出来ないと!
北京に伝えておくので、空港で日本語を話せるスタッフを捕まえて話して下さい、との信じられないトラブル! とにかく時間が迫っていたので指示に従い搭乗する。さすがに(何とかなるさ)の楽観主義の私も、今までのエアチャイナの対応を見てきて、2時間の乗換時間の中で対応できるのか不安になった。そして現在の日中間の人の行き来からすると、日本人スタッフはいないだろうと思った。
(北京空港 出入国審査所)

そんな不安を抱きながら30分遅れで北京空港に着き、急ぎ足で乗換え口に向かうが、とにかくこの空港は無駄に広い!イメージしてたのは乗り換えなので、エアチャイナの出発カウンターに行けば、カミさんのパリ行きのチケットが用意されているだろうと思っていた。それが羽田で済ませてきた入出国審査、手荷物検査を再度やるシステムになっていた。出入国審査はパスポートだけかと思ったら、搭乗券も必要という事でチェックインカウンターに行くよう指示される。
そこには羽田で見かけた外国人のカップルが2組いて、フランクフルトへの搭乗手続きをしていた。このカップルも相方だけ発券されてなかったようで、発券済みのチケットを出しながら、隣り合わせの席に変えて貰っているようで、時間がかかっていた。あまりの遅さにイライラしながら見ていると、発券したチケット破ったりと典型的なお役所仕事ぶりだった。
我々の番になったら、預けたスーツケースのタグの控えをと。今、なんでそんな物がいるのかと思ったが、羽田を出る時に急いで貰っていないと言ったら、渋々という感じでカミさんのパリ行きチケットを発券してくれた。エアチャイナは民間会社なのだろが、ことごとくJALなどとの対応が違っていた。急ぎ足で入出国審査ゲートに向かって歩きながらチケットを見ていたカミさん、隣合わせの席でないと気づき、戻ろうとするが時間ないので止めた。もし隣り合わせ席がないとしても、それを依頼しているのだから、その旨伝えるべきだと思うが、手抜き仕事なのかそれとも反日家なのか?手荷物保安ゲートまで行ったら長い列で、近くにいた係員にチケットを見せ時間が無い事告げたら、ワッペンを貼ってくれて先に行けとのジェスチャー。
保安検査をパスする許可ワッペンかと思ったが、そんなことはなく入念な手荷物検査とボディチェックだった。焦りながらそれを済ませ、1番端にある搭乗ゲートまで走り何とか間に合った。こうして前日からの度重なるトラブルを乗り越えて、何とかパリへ向け飛び立てた。
帰国してからもしカミさんのチケットが同じ便で発券されなかったら、どうなっていただろうとよく考える。別の便でチケットは発券してくれるだろうが、その場合はスーツケース2個を持って到着フロアーでカミさんを待つしかない。それも何時到着か知る術がない。帰りの北京空港でWifiの設定にトライしたが、中国語の画面で設定が難しく断念した。他航空会社の便だと何番ゲートに何時に着くとの連絡がつかないのでお手上げだ。
やはり国際ローミングは今回のようなトラブル時には絶対必要だ。
一昨日にエアチャイナに今回の欠航に関する補償はどうなるかと電話したら、メールで上の社内規定を送ってくれ、パスポートのコピー、振込先、住所、電話番号を書いて送って下さいとの事だった。
1人400元は8000円相当だが、金額の問題ではなくエアチャイナは補償すべき立場だという事が明確になればそれで良しとする。
今回のトラブルは欠航の決断の遅さなど、色々な言いたいことがあるが、お客様の声として、初日の若い男の対応とミスインフォメーションに関してだけは苦情を伝えた。
あそこでその情報を元に、一旦家に帰り翌日出直したら、もっと旅行日程が狂っていただろう。
帰ってきてからエアチャイナのサイトを調べたら、オーバーブッキングの可能性についての記載があった。いづれにしてもこれに懲りてエアチャイナは2度と使わない。