ひねもすのしのし。

オタクおばさんの太平楽な日々

それは、流れ寄せられる椰子のように…

2011-10-29 01:05:01 | 

やっと10月開始のアニメを、一通り観ました。

当然、感想を…と行きたいところなんですが。

ところが、そういう気分じゃないんだな~~~。
今、私の頭の中は、季節外れの「パームシリーズ」ブームが沸き立っちゃっているから!
ふと、久々に書棚から引っ張り出し読み始めたら、もう夢中!

いや、昔から大好きでしたよ。
でも、大人になって読み返すとこれまた、いろいろとね~~。
深いわーー。

「パームシリーズ」。
獣木野生(伸たまき・改め)著の、知る人ぞ知る大長編漫画であります。
第1巻の発売は1984年!
今年、34巻が発売された大河ドラマ的作品で、忘れた頃に新刊が出るので非常に慌てたりします。
この作品を、人に説明するのは非常に難しい。
サスペンス?オカルト?社会派?そのどれもあてはまり、でもそのどれにも収まらない。
その全部の魅力を備えつつ、登場人物達の会話は常に機知とウィットに富み、ドライな作風を保つくせに、クライマックスには息が詰まるほど叙情的で詩的な描写で読む者を圧倒してしまうのだ。

うーん。あえて端的にこの作品のテーマを表わすなら、主人公の一人カーター・オーガスの義父レイフが、死の間際カーターに語った言葉を借りるのが一番かもしれない。
「カーター。人生は、しっちゃかめっちゃかな壁掛け(タペストリー)みたいだな…
神様はとてもまともな織物師じゃない…
けれどそのタペストリーはとても美しい…
蜘蛛の巣が美しい図形を描くのと、同じ理由で…そうは思わんか?カーター…」

まさに、複雑な紋様のタペストリーのように、魅力的なキャラクターがサスペンスフルで摩訶不思議で、ちょっと笑えて、でも胸の熱くなる物語を織り成していく…それが「パーム」なんですよね~~。

そ!魅力的なキャラクター!
おお、やっとその話ができるぞ・
日系アメリカ人、長い黒髪と悩めるキャラが売りの、元医者で今は探偵のカーターもいいけど、やっぱジェームス・ブライアン!
彼が最強~~!!
ドイツ系アメリカ人。白っぽいブロンドと灰色の瞳。6フィート超の長身。常人なら2,30回は死んでるようなハードすぎる過去を持つ天才でカーターの助手。

彼にはアンディという、アラブ系アメリカ人で褐色の肌に青い瞳のキラキラ天然美少年な魂の片割れがいて、24時間以上離れていると体に変調をきたしてしまうという、難儀な体質もあったりして。
なんかこう書くと安いBLみたいだけど、そうじゃない。
その証拠に、ジェームスは後にカーターの妹とちゃんと結婚することになる。
だから、そんな軽い言葉じゃ語れない、ほんとに「魂の番」ともいうべき関係なんだなー。

ただ、確かに二人はそういうこともあって、他人の目も気にせず結構ベタベタくっついてる。
いい男二人の密着がいっぱい見られて、いやーこれも確かに「パーム」の楽しみ方の一つであるには違いないかな。

このジェームス、大事な人間を守ること意外に、一切のこだわりというものがない。
何物にも執着しない。
とてつもなく器がでかく、全てを許容してしまう。
自分を付け狙う殺人鬼をも、戦い倒した後にその魂を結局彼は受け入れてしまう。
その懐の深さは、まさに底なし。ブラックホール級だ。

彼の魅力はねー、ぜひ読んでその目で確かめていただきたい!
ある意味、こんな罪な男もいないぜ!って思うね。

この物語やキャラクターの骨子は、作者が14歳の頃から出来上がっていたというから、驚かされる。
作中の時系列はけっこう頻繁に飛ぶけれど、伏線やキャラクターに一切の破綻やブレが見えないのも、それだけ長い時間をかけて練られた結果なんだろうなー。

悲しいことに、ジェームスの死も決定している。結婚後まもなく、自分の娘の顔も見ないまま28歳で死亡するらしい。
物語の本線は、カーターの妹ジョイと婚約した23歳時点で止まっていて、今展開中の「蜘蛛の紋様」では、カーターと出会う前の壮絶な少年時代が語られているところだ。

作者は自身のホームページで、物語の後書きを公開している。
ジェームスの死に直面するのは辛いけど、「グイン」みたいに途中で終わられるのはもっとイヤだよ。

限られた物語であるからこそ、その終末へ向かう1ページ毎が愛おしい。
稀有なキャラクターであるジェームスを、その最期をしっかり見届けたいと思っている。

それにしても…なんで、この作品がもっと世間に評価されなのか、不思議でならんぞ!!
初期のシリーズは、もう文庫版しか発行されてないらしいとかっ。ありえんっ。

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オススメコミックス

2011-06-19 02:40:04 | 

さて、今日はコミックスのお話。

ちょっと前、楽しみにしてた新巻が出て速攻買ってきたのが
「乙嫁語り」の3巻。
あの「エマ」の作者・森薫が紡ぐ、19世紀中央アジアの人々の命と恋の物語。
まあ絵が素晴らしい!
「エマ」の時もその丁寧な描写に心惹かれたけれど、今作はそれをまた遙かに上回る力の入ったデッサンと描き込み!
民族衣装一つとっても、本当にため息が出るほど美しい。
そして、力強く生命力溢れる描線で表されるキャラクター。

ほんっとに丁寧に描かれた物語だから、おのずと読む方も力が入る。
「仇やおろそかには読めんぞっっ」と、じっくり味わう気概で読み始めるんだけども、今度はストーリーに引き込まれちゃってついつい一気に…。
そして何度も何度も読み返す。
そんな本です。

1、2巻の“乙嫁”アミルも可愛くて健気だったけど、3巻登場のタラスのしっとりとした薄幸の未亡人っぷりがこれまたっっ。
あのまま終わっちゃうのかな…スミスとタラス…。切ないです…。

次は、杉本亜未著・「ファンタジウム」
某密林のオススメに引っかかり、読んでみたらハマってしまった…。

マジシャンとして天性の才をもつ少年・長見良は、難読症というハンデを抱えていた。平凡なサラリーマン・北條は、良の才能に魅入られ、彼とともに人生を歩む決意をする。

少々淡泊すぎるくらいの、すっきりとした画面。
そのちょっと突っ放したような雰囲気が、この強く優しい少年、良くんの魅力をより一層引き立てているような気がする。

いやー、いいんです。良くんが!
生きる困難や様々な屈託をさらりと受け止め、真摯に星空を見つめるようなその真っ直ぐな眼差しが、どうかどうか曇ったりしませんように!
祈るような思いで、ページを繰る感じ。

また、彼が繰り広げるマジックの描写が、とてもロマンチックで綺麗
「みんなの驚く笑顔が見たい」。
きっとそれが、良くんの素直な思いのみから生まれるものなのだろうなー。


ただ最近は、いろんな思惑を抱えた大人達が彼を取り巻きだし、ちょっと心配だ~~。
なにしろ北條さんは、人が良すぎな素人さんだからなー。
彼がしっかりと、良くんを守ってくれることを願うばかり!

もうすぐ7巻が発売だ~~。楽しみ!

尾崎かおり著・「メテオ・メトセラ」
どこかのネットでその存在を知り、興味本位で古本屋で買ったらハマってしまった…。

殺し屋だった祖父の遺志を継ぎ、不老不死の賞金首〈メトセラ〉ことレインを狙う少女マチカ。
だがレインの周りには、彼を決して人間扱いせず、私欲で不死身の身体を狙う輩ばかり。
孤立無援のレインと関わるうちに、彼の宿命を見届けようと決意したマチカは、彼と一緒に旅をする……。

一言で言えば、少年漫画と少女漫画のいいとこ取り!
絵柄もちょうどそんな感じ。
アクションあり、恋あり、笑いあり、涙あり。

レインもマチカもその他の敵、味方ともそれぞれが自分の「ピュア」を抱えてる。
それは誰かを傷つけてしまうかもしれない…でも、譲れない…。

そして、メトセラの孤独を痛いほど押し隠すレイン。
マチカは、彼を救えるか?

これ、まさにアニメ向きな作品なんだけどな~~。
誰か、気がついてくれんかな~~~。

そういえば、最近最終巻が出たんだっけ。
買わなきゃ!

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行田発、国立経由、ニュージャージー行き

2011-06-03 23:17:04 | 

今日はちょっと、本の話を。

3月末に「グイン」の世界を旅立った後に読んだのは、主に3冊。
2ヶ月で3冊は…ありゃりゃ、いかにも少ないですね~~。反省。

まずは和田竜著「のぼうの城」
オノ・ナツメの表紙に惹かれて衝動買いしてから、ずっとほったらかしになってまして。
この秋映画公開だそうで、原作読み終わった今となってはキャストについて言いたいことは死ぬっほどあるけど、まあそれはまた別の機会に。

さて、本作ですが。
金色の帯に仰々しく並ぶ、称賛の言葉。
うーーん、まあこの七掛けくらいでいいんじゃない?というのが正直な感想です。
ライトで読みやすい歴史読みもの。
石田三成の忍攻めなんてマイナーなエピソードだけど、この頃これくらいの小競り合いは日本中で行われていたんだろうなーなどと、ちょっと冷めた感想を述べてみたり。
読後感は、良いです。
そしてキャラ立ちしてます!これ重要。
好きになれる武将が、絶対います。
確かに、派手なキャラと見た目にわかりやすい水攻めの攻防…映画向きな作品だなー!

ただ…かつて、司馬遼太郎、山本周五郎、池波正太郎を読み漁っていた目には、なんとも食い足りない。
「関ヶ原」を、また読みたくなっちゃいました。


お次はも一つライトな東川篤哉著「謎解きはディナーのあとで」
娘の本を借りて読んだんですが…。
こっちは、キャラ立ちならぬ「キャラのみ」!本でした。あはは…。
いやはや、ミステリーっていうほどの謎もないし。
謎解きってほどのトリックもないし。
こまりましたね~~。
じゃ面白くなかったのか?っていうと、それなりに楽しめたりもしたんだな、実は。

だからそこはそれ、「キャラ」で!
TVCM の櫻井孝宏ボイスがあまりにハマってたもんで、そのまんまの声で脳内再生されるツンツン執事・影山にちょっと萌えた。
主人公のお嬢様刑事は(名前すら忘れた)、デカワンコ並みの破綻キャラだったけどね。
あんな使えない刑事、ありえねーっつーのっっっ。
この本が受け入れられるか否かは、まんまキャラとその会話を楽しめるかどうかってことに罹ってるんじゃないか。
そんな作品です。
しっかし、これも映像化されそうだな~。
映画は無理だな、あまりにスケールがちっちぇーー。
深夜ドラマあたりで。
主人公は戸田恵理香推奨。あり得ないキャラを彼女のナチュラルな存在感でなんとか押さえ込んでくれっっ。
もう一人の使えないボンボン上司は、阿部サダヲで。
おおっと、これじゃ深夜ドラマの予算オーバーしちゃうって!
肝心の影山…これは…長身イケメン、知的クールで銀縁眼鏡が絶対条件って…誰?


さて、問題は三冊目ジャック・ケッチャム著「隣の家の少女」
これも私の積みゲーならぬ、積み本の中からのチョイス。
買ったのは…2003年。どれだけ寝かせてたんだか…。
この頃、結構この手の翻訳物のダーク・サスペンスみたいなのよく読んでたんだっけ。

1958年のアメリカ・ニュージャージーのとある田舎町。12歳の少年デヴィットの隣の家のルースのもとに、両親を亡くしたという美少女のメグとその妹のスーザンが引っ越してくる。デヴィットはすぐにメグに心を奪われるのだが、同時期、彼女らがルースによって虐待を受けていることを知る。

帯の文言は「これはヤバい!!最悪なことが起こります!あなたは最後まで読めますか?」
…読めました。読めましたが…ほんとに、最悪でした。
極悪、凶悪と言っても何か足りないくらい。
陰惨で残酷。
読後のやり切れなさといったら…自分の心までどす黒く染まった気分。

多分、この本のことは生涯忘れられないかもしれない、とさえ思う。

ただ暴力的な描写といえば、綾辻行人「殺人鬼」なんてのがあって、これのスプラッタっぷりは頭がおかしくなって逆に笑えて来そうだったんだけれども。
そういうのとは、全然違う残酷と恐怖。

終始デヴィッドの目線で語られる物語は、スティーブン・キング自身が評すとおりまさに「ダークサイド・スタンバイ・ミー」。
「メグを助けたい」という気持ちと共に、けして否定できない「共に嬲りたい」という衝動。
これが本当に怖い。身体の奥がゾワゾワしてくるほどの焦燥感。
「このページを繰ったらどんな恐ろしいことが…!」
そう思いながらも、読むのを止められない。


そして読者はデヴィッドと同化し、自分の中の裏黒い部分に直面し、遂に共犯者と化してしまう…。

「ヒーローはけして、間に合わない」

キツい物語です。軽い気持ちで手に取らない方がいいかも。
でも、覚悟があるなら読んで損はない。
なっかなか、本でここまでヤられる経験もね、得難いですぜ!
しかし実話を元にしてると聞いて、また凹んだ~~。

で、次に引っ張り出したのは、阿刀田高著「楽しい古事記」
いやもう、ここはテンション変えていかないと。
「楽しい」とか付いてるタイトルを迷わず手に取らずにはいられないくらい、やっぱ相当ダメージ受けてるんだなー。

恐るべし、「隣の家の少女」!

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ネバー・エンディング・ストーリー

2011-04-19 22:25:29 | 

だいぶ前の話になっちゃいますけれども。

「グイン・サーガ」の正伝130巻、読了いたしました~~~。

ああー、終わっちゃったかーー。
この日が来るのが怖かったです、ほんと。

思い返せば、人生で初めて「グイン」を読み始めたのは28の時、腸閉塞で入院中の病室でした。
そして奇しくも、130巻目を読み終わったのがこれまた先月の、入院中の病室。
なんだか不思議な巡り合わせですね~。

閉鎖的で無機質な白い病室から飛躍するには、あのくらい広大無辺な物語がぴったりくるのかもしれません。
ほんとにね、あの無味乾燥なベッドの上で読む「グイン」は、やたらと魅力的で心躍るんだよな~~~。

それにしても…なんて所で終わってしまったことだろう!!

ラスト数巻で一気に物語が動き出し、「おお、これは!?」という伏線があっちにもこっちにも新たに張り巡らされ、いったいこれらがどう絡んでいくのだろう…とハラハラしながらページを繰ったところで…(未完)!

ヨナとフロリーは無事か? イシュトの思惑はどこに?
スカールはどう出る? グインの子はどんな王子なの?
幽閉中のレムス、シルヴィアもあのままではいまい。
リンダの予言の“光の王子”“闇の王子”はそれぞれ誰なのか?
ヴァレリウスに平安は来るか?
グインはミロクとどう対峙していくのか?

くあああああっっ。

奇しくも最終巻のタイトルは「見知らぬ明日」
まさに、まさに、この壮大な終わりを見ない読み物を象徴するタイトルとなってしまいました…!

いや、今から思えばですよ。
途中、中だるみは確かにあった。「あーー、くどいっっ」という言い回しや、簡潔に表現すれば数行で済むような内容を、これでもかと延々と書き連ねることもしばしばだった。

「ああ、あの余剰な表現や回りくどい描写を、この先の一章、一段落にまわしてくれれば…!」と思わないではないけれど、それもこれもひっくるめてやっぱり「グイン・サーガ」なんだよね…。

今はただ、この素晴らしいストーリースリップをさせてくれた栗本さんに、「ありがとう」を言うしか無いでしょう。
多分、というかもう絶対、一番悔しかったのは彼女自身に違い無いんだから。
名残惜しく、本当にそれは名残惜しく、私もこの物語を閉じることとします。

そして名残惜しいといえばもう一方、惜しい方が逝ってしまわれました。

17日、出崎統さん、逝去。

ああーーーー、これも衝撃だった~~~~~。
だってだって、私の好きなアニメ10本並べろと言われたら、間違いなく半分以上は出崎作品ですよ!!

そりゃまあ、ここ数年はさすがにその作風にも往年の輝きは…という感じがしなくもなかったけど。
遺作は「源氏物語千年紀Genji」になるんでしょうか…2009年作品の。
私、結構な酷評してた気がする…あれ。
ま、元ネタがあまりにデカ過ぎて誰がどう挑んでも、アニメという媒体の中ではちょっと難しかったよな、なんてフォローしても後の祭りですわっっ。

しかも…出崎統「おさむ」さんと読むんですね…ずっと「とおる」だと思い込んでた…もう、ろくなファンじゃねーわっっ。
でも、でも、ほんっとーに好きだったんだよぉぉぉ!

「ガンバ」も「家なき子」も「宝島」「コブラ」「ベルばら」も永遠に色あせることはありません!!

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100巻の感慨

2010-11-07 21:17:55 | 

どんなに需要がなかろうと、やっぱり書かずにはおられませんっっ。

「グイン・サーガ」第100巻「豹頭王の試練」、読破~~!!

まあ、これから読む人もいないだろうとは思いますが、一応ネタバレ警告。
派手にぶっちゃけそうなんで、悪しからず。

とはいいつつ、私も実はだいたいの筋は知ってて読んでます…。
それでも十分に面白い作品ってことです。

正確には、もうすでに102巻目に突入してたりして…も~~~、ここ数巻の怒濤の展開ときたら、全く目が離せなくてやめられないんですよ!
ああ~~、この楽しさがあと30巻で終わってしまうのか~~~。
わかっていても、辛いっっ。

魔王子アモンを壮絶な戦いによって、宇宙の彼方に退けたグイン…しかし、長距離ワープの影響で全ての記憶を失ってノスフェラスへの帰還を果たす…。

おお~~~。
知ってはいたけどいやいや、やってくれるなー、と。
「グイン」の物語っていうのは、謎の豹頭戦士・グインの自分探しストーリーですよね、詰まるところ。
アモンを滅する直前、彼はその苦悩から確かに解放されたはずだった。
全ての桎梏を超えて、全てを受け入れ、たとえ自分が何者であろうと待ってくれている人のいる中原こそが自分の生きる場所である!と。
であるにもかかわらず!ですよ。
どんな危険をも顧みずに帰ることを渇望した場所に戻ったとたんに、また全ての記憶を喪失、そして「俺は、何者だ?」…。
ひえ~~~~、また振り出しーーー!!
どうですか、これ。

ただ、最初と違って、彼はすでに中原では「英雄」で「王様」で、大メジャーな存在ですから。
そーりゃ、周りがほっとかんわけですよ、
そうなると、より一層彼の混乱の度は深くなり…。
うわわー、このもどかしさったら!

とにもかくにも、今グインは初めて記憶に引っかかってきた「リンダ」を探してパロに向かって歩き出したわけで。
そっか、ここで「リンダ」か。
物語の始まった段階で作者が示した最終巻(このときは100巻のはずだった)のタイトル「豹頭王の花嫁」。
それがリンダを指すものであろうとは、ほぼ確かのことと思われ。
しかし、グインが最初出会ったリンダは14歳、ほんの子供だった。
あくまで保護者として接していて、そういう対象で見たことはなかったはず。
でも今度、一度記憶がリセットされた状態でグインが出会うリンダは、22歳の美しい未亡人!
これはこれは~~~。
これってつまり、ひかわきょうこ「荒野の天使ども」から「時をとめて待っていて」のダグラス&ミリアム状態!?
きゃ~~~。
って…「グイン」をこういう読み方する奴、私ぐらいかもしれんけど…。

先に挙げた私の大好きな「好漢・三人組」も健在です!
トールは、王となったグインの後を継いで黒竜将軍に出世。まあ本人はそんな大それた地位は望んでなかったけど。
ハゾスはあいかわらず。グインが失踪してしまい、宮廷で死ぬほど気をもむ日々。
パロの女王となったリンダと会見し、メロメロに…(飽くまで人間として。でもちょっとは異性の魅力も感じてるか)。
そして一番立場が危ういのが、苦労人・マルコ。
彼の苦労は、いや増すばかりですな~~。イシュトの性格のゆがみ方は尋常ではないレベルになりつつあるし。
昔は好きだったんだけどなー、イシュトヴァーン。
ザ・安定要素なグインに比べて、陽気で自信過剰で、危なっかしい魅力に溢れた若い狼だったのに…。
いつも何かに飢えていて、でも何かを手に入れるとそれを壊さずにいられない。
どうしてこんな不幸な男になってしまったんだろう~~。

そういえばこの100巻の後書き、作者亡き今読むと、やたらドキッとするフレーズが多いんだよねー。

「もうこうなったら腐れ縁で、死ぬまでつきあってやって下さいね。私も死ぬまでこの物語につき合います。」
「ネバー・エンディング・ストーリイ、終わらない物語を書きたいと願った一人の若い娘がいました。(中略)この物語はそのように終わるべきなのだと私は思います。そうとしか終わりようがない。なぜなら。ひとの世もひとの思いも、誰かひとりが死んでいったとて、結局どこまでも続いてゆくものだから。」
「本当にありがとう、そしてこれからも一緒にいて下さい。いられる限りのあいだだけ。」

いくらでもつきあいたかったよ!
そっちの方がいなくなっちゃったんじゃないか!


なーんてね、ちょっとばかし恨み言も言いたくなったりしてね。
まるで遺言のような、そんな作者の想いやら覚悟やらを示されてしまうと残り30巻、1巻1巻慈しむようになるべくゆっくり楽しまなければと思います…。

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好漢3人組!

2010-08-10 23:56:32 | 

この間、「グイン」の話ができてちょっと満足…と思ってたんだけど!
うーん、なにか足りない。
おお、そうだ。彼らのことに触れてなかった!

さて、「グイン・サーガ」にはまさに綺羅星のごとく、華麗なキャラクターがズラリと揃うわけなんですが、彼らはあまりにもスーパースペシャルであり過ぎる。
主人公・グインは言うに及ばず、絶世の美貴公子・アルド・ナリス然り、パロの真珠こと予知姫リンダ然り、野望の使途・イシュトヴァーン然り…。

もうちっと、こう手の届く感じの良い男は…。
そこで、私のお気に入りがこの3人!

まずはアトキアのトール。
17巻から登場の、ケイロニアの黒竜将軍ダルシウスの傭兵。
グインが傭兵志願でダルシウスの下を訪れたとき、何かと面倒を見てすっかりグインに惚れ込む。
30代半ば。金髪、青い目で長身、がっしりとした体格。後にグインの副官となる。
とにかく気のいい奴!
グインが大好きでたまらん、ワンコ第一号!って感じ。
とてもクレバーでいながら単純明快で健康的な思考回路の持ち主なので、そのポジションはまさに読者の代弁者。
とっても楽ちんに彼にシンクロしていける自分がおります。
声のイメージは、高木渉さん。
長年のお気楽な傭兵家業に見切りをつけ、グインという主君に剣を捧げる件は何度も読み返すほど大好き!
シルヴィア奪還の旅から戻ったグインを、喜び勇んで迎えた彼の言葉がすべてを物語ってるかも。
「ケイロニアは素晴らしいところだよ!そこにあんたが帰ってくる。もう何一つ、いうことはありゃあしないね。 グイン___おいらの、豹頭将軍閣下!」

お次は、ランゴバルド候ハゾス・アンタイオス。
18巻から登場の彼は打って変わって超セレブ。尚武の大国ケイロニアにおける智の要、宰相を務める大貴族あります。
30代半ばの、灰色の目が印象的な気品高く聡明な男前。
グインの終生の友であり彼が王となった後は、股肱の忠臣となる存在。
声のイメージは、松本保典さんか、千葉進歩さん。

彼こそ、グインのワンコ第二号!
もう、完全な一目惚れ。
初対面でいきなり「初めてあった気がしない」だの、「何ともいえぬ慕わしさを感じる」だの、ちょっと引くぐらいの猛アプローチを見せてくれます。
そう、彼のグイン好きっぷりには少々そっちの香りがする…ここがミソ!
いや全くそういうんじゃないんだけどね、実際は。
超がつくくらい優秀で、有能な政治家であり外交官でもあるハゾスが、ことグインのこととなると、妙にテンションが上がってしまうのが、なんとも魅力的なんですわ。
うん、彼もいい奴!

最後は54巻登場、イシュトヴァーンの腹心・マルコ。
元々カメロンの部下だったが、イシュトの下へ派遣され気に入られ剣の誓いをする間柄に。
30歳くらい。ヴァラキア人特有の黒髪、黒い目浅黒い肌。
鍛え上げた長身で、精悍な風貌。鋭い目つきだが、その物腰は穏やか。
彼を一言でいうなら、ザ・苦労人!
なにしろ主君があのイシュトですから~。
彼がイシュトにあれだけ信頼されてる最大の理由は、よけいな差し出口や忠告をしないためなんだよね。
その落ち着きと誠実さは、非常に好感度高し!
あれだけコロコロと態度が変わられたら、そりゃついてく方は大変だわ。
なのに、しっかり面倒見てあげる彼は、ほんとーっにいい奴!!
声のイメージは、小山力也さん。
まさに、ナルトやカカシに振り回されるヤマト隊長のイメージなので。

ああー、書いた書いた。
書いてて楽しくてしかたなかったけど…これって…一切の共感は得られんのだろうな~~~。

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ふるさとは緑なりき

2010-08-03 00:03:01 | 

もうここんとこの暑さに負け負けで…。
いい加減7月開始のアニメ感想、といきたいんだけど、なーんていうかな~~。
「これは書かねばっっ!」という作品が無いんですわ-。
いくつか思うところはあるけれど、まあそのうちに。
おまけに、例のエアコン無い部屋での鑑賞が正直キツくて…。
もう観る物たまってしゃーないです!

さてそんな中で、読書が楽しい。
相変わらず「グイン・サーガ」をちまちまと読み続けております。
現在、70巻読了。
その昔投了した46巻を、遙かに超えました~。

44巻でケイロニア皇女シルヴィア探索のため旅立ったグイン、実に22巻分の不在を超えてついに67巻で本編復帰!
いやー、長かった。
そりゃ外伝5巻にわたってその冒険譚は語られていたけど、それはそれで非常に血湧き肉躍る一大ファンタジーではあったけど。
やっぱ本編に我らがタイトルロール復活っていうのはね、感慨深いです。

そしてこの67巻「風の挽歌」というのが、とても感動的で!
なんといっても1巻で登場し、その短い活躍とは相反する鮮烈な印象を読者に与えた忘れがたき脇役「トーラスのオロ」
その彼のエピソードが、実に実に66巻の長きを経てここで完結したのですよ!
遙かな辺境・ノスフェラスの砦でグイン一行を助け、グインの腕の中で力尽きた若き戦士・オロ。
その彼の最後の言葉を、遠い道のりを経て家族の元へ届けるグイン。
この件は、ほんとに爽やかで暖かく感動的。
ずっと泣きながら読んじゃいましたよ、もう。

おまけにその場へ元ヴァラキア提督・カメロン登場。
グインとカメロンの、「英雄、英雄を知る」的出会い。
格好良すぎる“漢”同士の「君と握手!」まで見られて、ぽわ~~~ん。

68巻「豹頭将軍の帰還」
おお~~~、そのものズバリ!
ここではね、なんたってガラス・ハートで精神不安定な皇女シルヴィアと、惚れた弱みで彼女に振り回されるグインが…!

「姫」
二人だけになると、グインはこの無骨な大男のどこからこんな優しい声が出るのかと思うような、優しい声音でそっとシルヴィアに声をかけた。
**************************
「どうした」
グインは優しい声でいう。
**************************
「姫。シルヴィア姫」
グインはあやすようにやさしく云った。
**************************
「ほら。危なかっただろう」
グインは目を細めて、優しくささやいた。
**************************
「姫のとがではない」
グインはおそろしくやさしく、心から誠意をこめて云った。


って、全く、優しいにもほどがあるぞっっ、グイン!!!
いやいやいや、そしてなんたってこの声が賢雄さんなんだってことが肝心なんだよっっ。

こ、これは…この脳内変換は…幸せすぎて危険だー!
それやってる時の私の顔…もっと危険だー!!

そして70巻「豹頭王の誕生」において、二人はついに結婚そして新婚初夜を…きゃーーー。
ああ、いろいろ問題はあるにしても(完全にシルヴィア側に)、この時の二人はちゃんと夫婦だったのにね…。
それが後に「売国妃シルヴィア」と呼ばれ、グインを苦しめることになるなんて…。

ああーもう、どんどん読みたい。時間ないけど。
ただねー、面白ければ面白いほど、この物語が完結しないのだという切なさもジワジワと…。

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夏の読書週間…感想文は書かないけど

2009-07-30 00:47:59 | 

ここんとこ、以前にも増して文庫本が手放せません。
まー昔から本は好きで、本さえ与えときゃ大人しくしてるタイプだったんですが。

最近は、もっぱら「グイン・サーガ」ですよ。
なんかもう、久々です、ここまで本にのめりこむのも。
常に何処へ行くにも「グイン」を持ち歩いてます。
どんな僅かな空き時間も、隙さえあればページを繰ってますね~。
逆に、グインさんさえ居てくれれば、どんな長時間の待ち時間だって一向苦になりません~。
バイトの昼休み、お腹を満たしながら読む「グイン」はまた格別
悪いけど、誰も話しかけてくれるな、なんて思っちゃったりして。
最近は、スーパーのレジの列でも本を開いてしまう始末です…バカ。

まーね、今いいとこなんですよ~。
「ケイロニア篇」の佳境でして。もうグインさん、八面六臂の大活躍!
もう少しであの屈指の名場面、「ケイロニア・ワルツ」のとこ。
あ~~ん、楽しみ~~。
この「ケイロニア篇」と、その前にあたる外伝の「三人放浪篇」
これ、アニメで観たいの最高レベルですよ!
この後はね~、イシュトとアリとか、パロの内乱とか、ちょっと雲行きがね、怪しくなってきちゃうんでね~。
スカッと楽しい、冒険活劇たるこのあたりまではね、なんとかアニメにして頂きたい!!
切望!

この流れで、「今週のグインさん」と思ったけど、前回初めてグインさん、出番無し。
それでも十分、面白かったですけどね。
マリウスとミアイルとか、ヴァレリウスとアストリアスとか。
ヴァレの藤原さん、う~ま~い~。
ちょっとカッコよ過ぎなんだけどね、あのヴァレさん。
原作ではもっと、小男の風采の上がらない感じに描かれてるんだけど。

あ、原作と違うと言えば。
ぶっ飛んじゃったよ、リーナス伯!
だ、誰?何の冗談?的レベルで、老成しちゃってもうびっくり。
しかも声が中田譲治さんって!
も、もったいない~~~。そんな重要な役じゃないよ~。
彼はもっと頼りない、育ちのよいボンボンでなきゃ~。
でもって、ヴァレさんにたしなめられたりするんだよ、いつも。
逆だったし!
こういう、明らかなキャラの解釈の違いって、何らかの意図があってのことなんだよね~。
ああ~、読めんわ~~、それ。

あとアニメ独自展開として、新たな敵キャラ登場みたいですねー。
なんだか「ベルセルク」の「バーキラカ」っぽいシルエットで。
原作では今後、ほとんど活躍の機会がなくなってしまうグインさんの、見せ場造りのためらしい。
ま、そういうのはいいんじゃないの?なーんて思っちゃうあたり、現金なヤツだよね、私も。

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読書で、ジェットコースター

2008-12-04 00:55:40 | 

久々に、長編小説を読破いたしました。
最近は、ガッツリ本に向かい合う時間もほとんどとれず。
読むのは専ら、乗り物での移動中と、バイト先での昼食時間くらい。
昔は、もっといっぱい読んだんですがねー。

というわけで、ディーン・クーンツ作「心の昏き川」(1994年)。
海外作家のサスペンス、そんなにたくさん読んでるわけじゃないけど、けっこう好きです。
他にはスティーブン・キング、ウイリアム・カッツ、メアリー・H・クラーク、V・C・アンドリュース、J・ケラーマン等々…。

中でも好きでよく読むのが、クーンツとクラーク。
何がいいって、読んでる間のハラハラ感と読後のすっきり感。
まず間違いなく、ハッピーエンドに落ち着いてくれます。そこが安心。
恥ずかしいくらい、割とベタな展開って好きなもんで、魅力的な主人公達にすぐ感情移入しちゃうんです~。
そうすっとね~~、不幸に終わるのとか、ほんとイヤなんですわー。
キングやカッツだとね、そこんとこがね、安心できんのですよ。
カッツの作品とか、最後の最後、ラスト数行で「ぎゃーーーー!」みたいなのあったもんな~。
ま、それはそれで気が抜けなくてね、面白いんですけど。

さて今回読んだ「心の昏き川」もほんと、まさにハリウッド映画って感じ。
ただ、クーンツの映画化っていうと、私が知ってるのは彼の最高傑作「ウォッチャーズ」だけなんだけどーー!
これがもーーーっ、どーにもこーにもならん超駄作映画にされちゃったんだよなー!全くの別物!
「アウトサイダー」の哀しみは、どこに行ったんだよぉぉ。
私はあそこで、号泣したんだからぁ…もう~~!(地団駄)
ってわけで、さっきちょっとググってみたら、なんとなんと、いっぱい映像化されてました~。しかも全部超不作だそうで…。
どうりで、知らんはずだわー。

もう脱線しまくりですね。
肝心の内容ですが、これがねー、なかなか言葉では説明しにくい…ていうか、説明したら「おいおい、なんじゃそりゃ?」な、それこそB級ムービー…って、ちょい待てよ、墓穴掘ってないか?自分。

心と顔に深い傷を持つ元警官、哀しみを乗り越え一人戦う女…。
苦み走ったちょっといい男と、彼に愛されるに値する魅力的なヒロインですよ!
しかもそこに絡むのが一頭の、実に愛すべき雑種犬!
もちろん彼は主人公・スペンサーの相棒!もう、犬好きにはたまらんです!
そして、この犬ロッキーもまた、辛い過去を乗り越えてスペンサーに出会ったわけで。
そんなロッキーから全幅の信頼を置かれている、というその一点のみでスペンサーの魅力がいや増すというもの。
もう、相変わらず、犬の描写や使い方がうまいんだってば!クーンツは!
始まってしまえば、後は相変わらずの、ジェットコースター展開。
アクションシーンなんかはもう、まるで目の前で起こったことをそのまま記してるんじゃないの?この人、ぐらいリアル。
ぐいぐい引き込まれて、一段落ごとに「は~~っ」。
そしてラスト、いよいよ「敵」との対決…これがまた「志村、後ろーーっ」的な歯がゆさとスリルの展開。
「大丈夫、大丈夫。彼らは助かる。最後は勝つはず。」と自分に言い聞かせながらページを繰るあの感じ、あのクーンツの醍醐味を久々にたっぷりと味わえました~。

ラストの、ぼやや~んとした感じはちょっとな、と思ったけど、ま、面白かったです。
この後も何冊か出てるんで、また読んでみたいですねー、時間の許す限り。


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