宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

星の形成に重要な役割を果たす“スノーライン”を初めて直接観測

2013年08月05日 | 宇宙 space
アルマ望遠鏡の観測により、175光年彼方の“うみへび座TW星”のまわりで、
一酸化炭素が凍る境界線“スノーライン”が初めてとらえられました。





“うみへび座TW星”のまわりの
“N2H+”分子の分布
内縁が一酸化炭素のスノーライン
海王星の軌道(青い円)くらいの
距離になる



一酸化炭素が凍りつく場所にしか存在しない“N2H+”という分子が出す電波を観測し、その分布をとらえることで一酸化炭素の存在をつきとめています。
これは、“N2H+”が一酸化炭素と化学反応を起こしやすいので、
一酸化炭素が凍りついて化学反応を起こさない場所にしか存在しないからなんですねー

太陽が生まれて数百万年後の姿に近いと考えられている“TW星”の周囲には、
惑星の材料になり得る多種多様な分子を含んだガスや固体微粒子が、円盤状に広がっています。

こうした円盤の中では、中心星からの距離に応じて、
水や二酸化炭素などが、それぞれの“スノーライン”を境に凍りはじめ、材料に応じて異なるタイプの惑星が作られると考えられています。

たとえば、水が凍らない場所では、固体微粒子だけが合体成長して地球のような岩石惑星ができ、
一酸化炭素が凍る場所では、様々な物質の氷が大量に取り込まれるので、天王星や海王星のような巨大な惑星が作られることになります。
なので、“スノーライン”は惑星の形成に、とても重要な役割を果たしているんですねー

また、一酸化炭素の氷は、生命の素になる複雑な有機分子の材料となる、メタノールの合成に欠かせない物質です。
なので一酸化炭素の“スノーライン”は、生命の起源を考えるうえでも重要なものになります。

今後、アルマ望遠鏡を用いて色々な物質の“スノーライン”を明らかにすることで、
惑星の形成と進化をさらに詳しく調べることができ、太陽系の若かりし頃を知る大きな手掛かりにもなるようですよ。