宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

銀河宇宙線の“影”でさぐる太陽磁場

2013年08月16日 | 宇宙 space
これまで太陽~地球間の磁場構造は、高温・高放射線という過酷な環境のため、
詳しいことが分かっていませんでした。

でも、東京大学宇宙線研究所を中心とする研究チームが、
新たな手法によって世界で初めて、磁場構造の検証を行ったんですねー

標高4300メートルに設置されたチベット空気シャワーアレイ
銀河宇宙線が地球地球大気と衝突してできる粒子を検出する


研究チームでは、中国チベット自治区の観測施設で、太陽系外からの銀河宇宙線のモニターを行いました。
そして、1996年から2009年までのデータをもとに、銀河宇宙線が太陽にさえぎられるようすから太陽磁場構造の変化を探っています。

その結果、11年の太陽活動周期に応じて、“太陽の影”の大きさが変化していることが分かりました。
これは、太陽活動の変化とともに磁場構造も変化している っということを示唆するものなんですねー

1996年、2000年と2008年にチベット空気シャワーアレイで観測した“太陽の影”
色が濃いほど宇宙線のさえぎられる量が多い。 1996年から2006年ごろが太陽活動の1サイクルに相当


太陽近傍の磁場構造については、
近傍を流れる電流が局所的に影響するかしないかで、2つの理論モデルがあります。
今回の“太陽の影”の実験結果と照らし合わせた結果、
電流が磁場構造に反映されるとする理論の方が当てはまりました。

今回の研究は、銀河宇宙線にできる“太陽の影”を利用して、
太陽近傍の磁場構造を検証した世界で初めての成果です。

今後さらに観測精度を上げることで、
太陽の影の大きさだけでなく、位置や形状の変化からも太陽磁場構造の情報を得て、
多様な手法で理論モデルを検証できると期待されているんですねー