(前回からの続きです)
旅行3日目、徳島での取材を無事に終えた僕たちはうどんを食べる為に急いで香川に戻って来ました。
向かったお店は『山田家』。
ここは水曜どうでしょうの企画『四国八十八ヶ所巡りシリーズ』では必ず立ち寄り
シリーズ2作目では山田家のうどんの為に本来の目的であった寺巡りの予定が大幅に狂ってしまい
結果的に88番目の寺には行かず道端の看板でごまかして終了という荒業まで出る始末。
そんな、「うどん>>>>寺巡り」となるまでどうでしょう軍団を魅了した店が山田家。
どうでしょうファンにとって一度は行ってみたい讃岐うどん屋です。
徳島から急いで香川に戻ってきて山田家に到着したのは日もとっぷり暮れた午後6時過ぎ。
基本的に讃岐うどん屋は昼のみ営業が多く、しかも有名店になるほど売切れ次第終了してしまいますが
山田家は午後8時まで営業してくれいていて売切れ終了がなく、さらに年中無休とのことなので
うどん巡りのどの日どの時間にも組み込めるサッカーのリベロ的存在なので大変助かります。
武家屋敷のような大きな門をくぐり中庭を抜けた先にある立派な和風建物が山田家の本館。
テーブル席と座敷席が選べますが、どうでしょう軍団と同じ座敷席を選択。
香川に来る前から『どうでしょう軍団と同じ「ざるぶっかけ」を注文する』と決めていたけど
メニューの写真を見てみると「釜ぶっかけ」の方が番組で食べてたうどんの見た目に近い。
僕の下調べミスなのかと思い、2人共「釜ぶっかけ」を注文。
注文も済ませ、うどんを待ちながら今回の取材の成果などの雑談をしていると
店員さんが「水曜どうでしょうのファンの方ですか?」と声をかけてきてビックリ。
なぜ分ったんだ!?と動揺しながら聞いてみると
1日に必ず1人か2人は男性だけでやってきてメニューを見る前にぶっかけを注文する人達がいて
その人たちに同じように聞いてみると100%水曜どうでしょうのファンの人達とのことで
それで、もしやと思って僕達にも話しかけてみたっていう事らしい。
水曜どうでしょうロケ地巡りしていてこんな事は初めてだったので焦ってしまいましたが
「水曜どうでしょうのファンなので来ました」と答えると
『でしたら、今は店内が空いてますので番組で座られた席はいかがでしょうか?』と
わざわざどうでしょう軍団が使った席に移動させてもらい
しかも、やはりどうでしょうで食べてたのは「ざるぶっかけ」だったとの事で
僕の方の釜ぶっかけの注文を急遽ざるぶっかけに変更までしてくれる大サービスっぷり。
なんて、水曜どうでしょうファンに優しいお店なんだ。ありがたいなぁ。
どうでしょう軍団が「これ食わないと四国に来た意味無いから」とまで言っていた
山田家のざるぶっかけうどんが運ばれてきた。
天かすや薬味をのせ、つゆをぶっかけて酢橘をふりかけたら大泉さんのように豪快にいただきます。
「!!!」
何回目だ讃岐うどん!これまた衝撃的過ぎるうどんのコシにビックリ!
他の店でもうどんの強いコシがすごいと思ったが、この山田家のうどんのコシの強さはスゴ過ぎる!
これこれ!これこそが僕が想像していた讃岐うどんの特徴のコシの強さそのものだよ!!
美味さに感動して「これはまたコシが強くて美味いね!」とN君に言ったら、何かそうでもない返答。
僕のメニューを変更してもらった時に店員さんに
「せっかくですからお取り分け用の小鉢も用意しますので食べ比べてはいかがですか?」と言われ
小鉢を2つ用意してもらっていたので、僕のざるぶっかけとN君の釜ぶっかけを取り分けて
それぞれをお互いが食べ比べてみると、なるほどコシがぜんぜん違う。
釜ぶっかけも温かくて上品で非常に美味しいけど
僕ら2人は山田家のざるぶっかけのコシの強さに完全にやられてしまいました。
あの時店員さんに水曜どうでしょうファンであることを見抜かれなかったら
2人して、この「ざるぶっかけ」に出会う事無く山田家から帰ってしまうところでしたよ。
実に素晴らしいコシのうどんに感動ですし、店の雰囲気もサービスも最高に良かったです。
-------
山田家を出た時には夜8時になろうかという時間。
この時点でうどんを食べているから、普段なら晩飯終了となるんだけど
すっかり讃岐うどんに魅了されてしまった僕達は今日中にもう一軒うどん屋を攻めておこうと
宿泊先のビジネスホテルの近くで営業中だった「川福」にはしご。
N君の調べた情報によれば川福は「ざるうどん」の宗家とのこと。
ざるうどんは関東でも普通にあるメニューですが、その宗家を名乗るお店となれば自然と期待が膨らみます。
山田家でさっぱり系を食べたので名物のざるうどんだけではさっぱり系が続いちゃうので
今回は天ざるうどんを注文。
細めのつやつやうどんとカラッと揚がった天ぷら。THE ざるうどん。
宗家の味とはいかがなものかとまずは一口。
・・・えっと、普通? 続けて食べてみてもやっぱり普通な感じ。
N君とアイコンタクトで会話をしてみてもやはり同じような反応っぽい。
いや、決して川福がマズイとかじゃないし、家の近くにあれば普通に行くと思うお店だけど
今回、讃岐うどん屋を何軒も巡っているなかで何度も美味さに衝撃を受けていて
直前に行った山田家では目をカッと見開いちゃう程のコシの強さに完全にやられた後だったから
僕らの讃岐うどんに対するハードルがガンガンに上がりまくっていたこともあり
美味いけどビックリするほどでも無かったと言うか、チョット拍子抜けした感じ。
巡った順番の運の悪さもあったと思うけど、僕らの中ではヒットが出せず内野ゴロでした。
---
こんな感じで旅行3日目のうどん屋巡りは終了。
うどん屋巡りと言っておきながら、またまた2軒しか巡れなかったけど
水曜どうでしょうファンとしてどうしても行きたかった山田家に行けて良かったです。
どうでしょう軍団が山田家のうどんを食べるために四国企画を何度もやったというのも納得でした。
----------
いよいよ旅行最終日。
讃岐うどんのあまりの美味さに、この3日間ですっかり
「うどん脳」へと洗脳された僕達は
この日もビジネスホテルの朝食バイキングをガン無視して朝からうどん屋巡りに出発ツル。
最初に向かったのは「なかむら」。
讃岐うどんを検索すると漢字の「中村」と、ひらがなの「なかむら」があるけど (姉妹店らしい)
今回はどうでしょう軍団が四国八十八ヶ所完全巡拝のご褒美で行った川の近くの「なかむら」の方。
讃岐うどんに期待を膨らませた僕ら2人が開店待ちで店前に並んでいると
スウェットでサンダル履きのラフな格好をした地元のおじさんが歩いてきて僕らの後ろに並びました。
それを見て、「あ、やっぱり讃岐の人って朝から普通にうどん食べるんだ!」と
ネットの中の讃岐ネタと半信半疑だった話が実話だったと確認できて内心嬉しかったです(^ω^)
そんなホッコリした時間を過ごしつつ、朝9時いよいよ「なかむら」開店。
こちらのお店は「かまたま」が美味いとのことだったので迷わず注文。
3日も続けてうどんばかり食べてきて、4日目も朝からうどんにもかかわらず
写真を撮るのももどかしいくらい早く食べたくて仕方ない。完全にうどん中毒です。
写真の確認もそこそこに早速うどんをいただくと、これまた朝から衝撃が体を突きぬけました。
やや細めながらちゃんとコシがあり適度な弾力を感じさせつつプチっと心地よく歯切れの良いうどん。
そこに香り高いダシ醤油と溶き卵の甘みがからまって『美味い』以外言葉が見つからないです。
今回もあまりの美味さにうどんを運ぶ手が止まることなく、あっという間に完食。
まだ店も空いていたので2杯目をお代わりしようか本気で悩んだけど
本日のうどん屋巡りがまだ始まったばかりだったので断腸の思いで次の店に向かいました。
-----
讃岐うどん巡り最終日2軒目はしょうゆうどんの元祖「小縣家(おがたや)」
元祖と付くなら行かないわけにはいきません。
店には開店少し前に到着しましたが、お店でかっ!駐車場広っ!
ナビが裏の駐車場に誘導してくれたおかげで、最初どこが入り口なのか迷っちゃいました。
まさかこんな平日の開店直後からお客が来るとは思っていなかったのか
店内はまだ照明も点いておらず、お店の人もバックヤードでバタバタと準備で忙しそう。
「意気込み過ぎてちょっと来るのが早過ぎたか」と反省しつつ
何とか店員さんに気付いてもらって席に案内してもらい、元祖しょうゆうどんを注文。
しばらくして最初に持ってこられたのがこの店名物の巨大な大根と大根おろし器。
全部おろしたらさすがに多過ぎるのは分るけど
大根おろすのなんて久しぶりだったから面白くなっちゃってついつい多めに大根おろしを量産。
それでも出てきた大根の半分もおろしてないけどね。
で、手が疲れて大根おろしも飽きたタイミング(たまたま)でうどん到着。
自分達でおろした大根おろしを乗せ、スダチをギュッと搾ったところに
すりゴマをかけてネギを散らして、しょうゆをクルッとまわしかけたら元祖しょうゆうどんの完成。
全体をざっくりと混ぜて大根おろしが程よくからんだところでいただきます。
非常にシンプルな味で大根の辛味がビシッと効いた超サッパリ系のうどんです。
讃岐うどんのコシと、うどん本来の小麦の香りを楽しむ食べ方ってのがよく分ります。
大根の辛さに巾があるので自分の好みと合うかは当たり外れあるみたいですが
今回はチョット辛いかなってくらいで美味しく頂くことが出来ました。
でも、今回食べてN君と同じく思ったのは「夏の暑い時に食べたいうどんだね。」っていうこと。
夏場に食べてたら評価激上がりだったかもしれないけど、今回はちょっとサッパリ過ぎたかな。
もしくは冬場の辛味の少ない大根だったらまた違う評価だったかもしれないね。
何回か通ってその時期にベストな大根おろしの量とかが分ればクセになりそうなうどんでした。
---
次に向かったうどん屋は「讃岐で一番美味いうどんのお店」として様々なメディアで紹介され
キング オブ 讃岐うどんとの呼び声も高い「谷川米穀店」。
しかしながら、このキング オブ 讃岐うどん
今まで巡ったうどん屋がわりと市街地周辺にあるため短時間で巡れたのに対し
この1軒だけ市街地から遠く離れた香川の山中にあるので
1時間以上かかる移動時間はロスタイムが大きすぎると判断し当初は行かない予定だったが
2日目に長時間の行列を覚悟していた「がもう」「山越」の2ヶ所をサクッと巡れた事や
何軒か巡っている内に完全に覚醒してしまった僕らの讃岐うどんへの愛の結果
やはり、キング オブ 讃岐うどんは外してはダメだろうという結論に達し
予定していたうどん屋巡りを大幅に変更してキングが出す1杯のうどんを食べる為に向かいました。
ある程度の下調べはしていたものの実際に行ってみると想像以上の山の中にありました。
まさかこんな小さな集落の、しかも「米穀店」のうどんが讃岐で一番美味いとは
讃岐うどんはなんて奥が深すぎるんだ...
とはいえ、これはあくまでも総合評価として美味いと評判なのであって
自分にとって美味しいのかどうかは実際に食べてみないと分りません。
運よく行列待ちの人は数名しか居なかったため、ほとんど待たずに席に着く事ができました。
メニューはうどんの大小と温かいか冷たいかと、卵を付けるかどうかしか無くて非常にシンプル。
今回はうどん小で冷たいのを注文。
注文とほぼ同時に渡されたうどんに青刻みネギを乗せ醤油をクルッと軽く1周かけたら
この店名物の激辛青唐辛子をBB弾1~2個分のせて完成。
非常に簡素な見た目からは讃岐一美味しいって理由が分らない。
讃岐一って言葉に釣られ過ぎたかな?と思いつつ食べてみると
今まで巡ってきたうどんをアッサリぶっちぎって感動。美味いを通り越して感動。
なんだ、この研ぎ澄まされた食感やのど越し、味のバランスは!
舌で感じる味覚と言うより口の中全体から伝わってくる心地よさがハンパ無いです。
半分ほど食べ進めたところで、うどんの説明書きにお好みでお酢を入れてくださいとあったので
半信半疑でお酢をチョット入れてみると
味がガラッと変わって全体的に丸みがある優しい味になってこれもまた感動。
ここで出されたうどんは僕の知っているうどんとは全く別の食べ物です。
これほど心震えるような感動をした食べ物は今まで食べたことが無いです。
これは来て良かった。ここのうどんを食べる為に香川に来る価値は大アリです。
店からの帰りの車の中でN君と谷川米穀店のうどんの凄さについての話が尽きませんでしたよ。
---
谷川米穀店で大満足のあとは
食後の運動も兼ねて金比羅山にお参りしたり銭形砂絵を見に行ったりして香川観光を満喫。
夕方近くになり、ほどほどにお腹も空かせたところで
この旅最後のうどん屋「山下」に向かいました。
水曜どうでしょうの放送内では紹介されていないけど
公式HPの
「番組スタッフのウラ話」でオススメの讃岐うどん屋として紹介されてたお店。
このお店は「ぶっかけ」の元祖として有名なので、もちろん「ぶっかけ」を注文
セルフ方式にもすっかり慣れてパパッと完成。
うどんのコシの強い店との前情報どおりしっかりとした力強いうどん。
レモンの酸味もスッと爽やかに効いてくれて安心できる美味しさ。
ただね、谷川米穀店を食べて衝撃を受けたあとだったから
どうしても谷川と比較しちゃって感動が薄めというか
美味しかった気はするけど正直それほど記憶に残ってなかったり...
これは山下に行った順番の運が悪かったとしか言いようがないです。
でも、これはこれで美味しいとN君と話をしていたし
讃岐うどんを食べるにあたり基本を知るためにもここは外せないお店だと思います。
-----
こんな感じでいろいろと衝撃的だった讃岐うどん屋を10軒巡ってきました。
それぞれのお店に特徴があって、讃岐うどんと言っても様々な美味しさがあるんだなぁと
いい勉強になったし、香川県がよく水不足になる理由も理解できました。
途中で徳島の取材があったりしたので行ってた日数の割には巡れた店の数が少ないのは残念だけど
今回は非常に有意義な讃岐うどん屋巡りになりました。
同じ種類、同じトッピングなどで食べ比べていないし
たかだか10軒巡った程度だからまだまだ研究不足だけど
とりあえず、今回のうどん屋巡りでの個人的な総括としては
・かまたまなら、山越よりもなかむら
・うどんのコシなら、山田家のざるぶっかけ
・トッピングのあげはメチャクチャ美味い
・慣れてしまえばセルフ方式の方が早いし自分好みに調節出来てイイ
・なんだかんだ言っても総合的に谷川米穀店がずば抜けて感動した。
こんな感じです。
今回は水曜どうでしょうで出てきたり紹介されていた店をうどん屋巡りの軸にして
元祖とか本家と言われる店や評判の良い店をいくつか追加して巡ったけど
たとえば食べログなんかの評価では今回行った店よりも評判のいい店はたくさんあるし
カレーうどんや釜バターなど、気になる特徴的なお店もまだまだいっぱい讃岐にはあるから
今度はうどん屋巡りのためだけに時間を作って讃岐にリベンジしに絶対いきたいです。
----------
『恐るべし、うどん県 その1。』 竹清
『恐るべし、うどん県 その2。』 おか泉・山越・がもう
『恐るべし、うどん県 その3。』 山田家・川福・なかむら・小縣家・谷川米穀店・山下(いまココ)
【参考】
「うどん本陣 山田家」
「讃岐うどんの老舗 川福」
「なかむら」・(食べログ)
「小縣家へようこそいらっしゃいました」
「谷川米穀店 本場讃岐の手打ちうどん」
「山下うどん」・(食べログ)
----------
【おまけ】
金比羅山の参道はソフトクリーム屋が数多く並んでいてソフトクリーム街道とも言われるほど。
そんなソフトクリーム街道の中で一番有名なネタ系ソフトクリームを食べに
「しょうゆ豆本舗×浪花堂餅店」に行ってきましたよ。
わりと新しい雰囲気の店構え。
で、その名物ソフトクリームがこれ(↓)
「かまたまソフト」
また、「うどん」かーい!
香川県民のうどん愛が強すぎて辛いです。
とはいえ、さぬきうどんバーガーのように本物のうどんを使っているわけじゃなくて
店のオーナーがソフトクリームを出す機械を改良して
うどん風に見えるソフトクリームが出てくるようにしたものなので味は普通のバニラです。
ですが、トッピングされた緑色の刻みネギに見えるものは本物のネギだし
写真では分らないけど、全体的に生姜風味の醤油もかかってます。
香川県民の讃岐うどんへの執念がよく分るソフトクリーム。ネタとしてナイスでした。