サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

融資条件(借入期間および金利)の違いによる収益性への影響

2016-11-19 15:27:02 | 不動産賃貸業

融資を受ける際に、借入期間や金利が最終的に収益性に影響を与えるわけですが、それぞれどういった場合にはどの程度の影響を与えるのか、定量的に比較した結果がなかったので、自分で計算してみました。

  • 目的
    融資条件(融資期間、金利等)は、同じ物件に対する融資でも、金融機関によってまちまちです。そこで、その条件の優劣を判断するために、各条件に対してどれほど収益性があるのかを定量的に評価するためのシミュレーションを事前に行いました。この結果を使うことで、複数の金融機関から提示された融資条件を選ぶ基準の一つとして利用することができます。
  • 計算内容
    物件価格と同額の融資を受け、それをすべて期待利回りで運用します。1年後には、運用後の元本および配当金から、元利金の支払いを行い、残った資金を再度期待利回りで運用します。これを20年間継続し、最終的な資金を求め、元の融資額に対してどれほどの割合が資産として増えたかを計算します。なお、20年間は物件の売却は考えず、20年後に購入額と同額で売却できるとします。 なお、計算上は、物件価格を100万円としていますが、最終結果である収益性の結果は物件価格に対する比なので、その結果は物件価格にはよらないことになります。また、実際にはローンの支払いは毎月行われますが、ここでは便宜上1年末にまとめて支払うことにしています。
  • 前提条件
    • 期間:20年
    • 固定金利
    • 元利均等払い
    • 税引後の期待利回り:5%
    • 抵当権設定費用や司法書士報酬などの必要な費用はすべて考慮しない。

税引後の期待利回りの根拠ですが、かなりリスクの低いRCトラスト社債の利回りは税引後で 5.6% です。これよりももっと利回りの高い商品もありますが、ここでは過小評価として5%を採用しました。

  • シミュレーションの例
    • 金利 2.0%
    • 借入期間14年
 借入金元利金借入金元金借入金利息資金運用益
        ¥1,000,000 ¥50,000
1年 ¥82,602 ¥74,602 ¥8,000 ¥967,398 ¥48,370
2年 ¥82,602 ¥75,144 ¥7,458 ¥933,166 ¥46,658
3年 ¥82,602 ¥75,691 ¥6,911 ¥897,222 ¥44,861
4 ¥82,602 ¥76,242 ¥6,360 ¥859,481 ¥42,974
5 ¥82,602 ¥76,797 ¥5,805 ¥819,854 ¥40,993
6 ¥82,602 ¥77,357 ¥5,245 ¥778,244 ¥38,912
7 ¥82,602 ¥77,922 ¥4,680 ¥734,554 ¥36,728
8 ¥82,602 ¥78,490 ¥4,112 ¥688,680 ¥34,434
9 ¥82,602 ¥79,064 ¥3,538 ¥640,512 ¥32,026
10 ¥82,602 ¥79,642 ¥2,960 ¥589,936 ¥29,497
11 ¥82,602 ¥80,224 ¥2,377 ¥536,831 ¥26,842
12 ¥82,602 ¥80,812 ¥1,790 ¥481,070 ¥24,054
13 ¥82,602 ¥81,404 ¥1,198 ¥422,522 ¥21,126
14 ¥82,602 ¥82,000 ¥601 ¥361,046 ¥18,052
15  返済完了     ¥379,098 ¥18,955
16  返済完了     ¥398,053 ¥19,903
17  返済完了     ¥417,956 ¥20,898
18  返済完了     ¥438,854 ¥21,943
19  返済完了     ¥460,796 ¥23,040
 20  返済完了     ¥483,836  
 
上記では、100万円の融資を受け、それをもとに期待利回りで運用します。
1年間、期待利回り5%で運用するため、運用益は5万円。1年後に、元利金返済82,602円を支払うため、1年後の資金は
1,000,000 + 50,000 - 82,602 = 967,398
翌年、この 967,398 を期待利回り 5% で運用するため、運用益は 48,370。同じく2年後に、元利金返済82,602円を支払うため、2年後の資金(つまり運用額)は
967,398 + 48,370 - 82,602 = 933,166
さらに、翌年、この 933,166 を... と、返済が終わる14年後まで継続します。
返済が終わった15年後は、14年後の資金 361,046 を期待利回り5% で運用するため、運用益は 18,052。元利金返済は不要なため、この運用益がそのまま資金増加となるため、15年後の資金は
361,046 + 18,052 = 379,098
翌年、この 379,098 を期待利回り5% で運用し、その運用益がそのまま資金増加となり、ということを20年後まで繰り返します。
その結果、20年後には 483,836円となります。
したがって、この場合の収益性は 48% (= 483,836 ÷ 1,000,000 ) となります。
  • 結果 

 上記のシミュレーションを、借入期間 8年、10年、...、20年とし、金利は 0.8%, 1.2%, ... , 5.2% とした場合の最終的な収益性を表にしたのが以下です。

 借入期間 8年 10年 12年 14年 16年 18年 20年
0.8% 43% 51% 59% 66% 73% 80% 86%
1.2% 39% 47% 54% 60% 67% 73% 78%
1.6% 35% 42% 48% 54% 60% 66% 71%
2.0% 31% 37% 43% 48% 54% 58% 63%
2.4% 27% 32% 37% 42% 47% 51% 55%
2.8% 23% 28% 32% 36% 40% 44% 47%
3.2% 19% 23% 26% 30% 33% 36% 39%
3.6% 15% 18% 21% 23% 26% 28% 31%
4.0% 11% 13% 15% 17% 19% 20% 22%
4.4% 6% 8% 9% 10% 11% 12% 13%
4.8% 2% 3% 3% 3% 4% 4% 4%
5.2% -2% -3% -3% -3% -4% -4% -5%

運用時の利回り5%よりも借入金利が高ければ、当然ながら収益はマイナスになってしまいます。
また、借入時に支払う費用(抵当権設定費用など)を考えると、収益性が10%を超えないと、ほとんど意味がないでしょうね。 

上記の表から、10年1.6%と14年2.4%と18年2.9%は、20年後に手元に残る資金はほぼ同じになることがわかります。

今後はこの表で求まる収益性を、複数の金融機関での融資条件の良しあしを比較する判断材料の1つにしたいと思います。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする