前回、音楽ファンドについての分析を行いましたが、今回は関連ファンドの分析です。
償還済みファンドは以下に掲載されています。
http://www.musicsecurities.com/fund/refund.php
2013年5月1日時点では、関連ファンドは19件でした。
利用した情報は次の通りです。
会計期間: いわゆる運用期間のことです。
実績年利回り: ファンドでは、トータルの実績利回りが掲載されていますが、それを会計期間をもとに年利換算を行った利回りを実績年利回りとしました。
目標年利回り: 5件の関連ファンドでは目標利回りが掲載されていましたので、その値をもとに、年利換算を行った利回りを目標年利回りとしました。
以下、結果です。
■関連ファンド
ファンド件数:19件
実績年利回り:-0.2% (標準偏差:5.5%)
中央値:0.8%
最小値:-18.4%
最大値:7.2%
以下が関連ファンドのヒストグラムです。
これは、横軸の年利回り±1%の範囲にあるファンド件数を縦軸としたヒストグラムです。つまり、上記では、0-2%の間にあるファンド件数が7件でした。全体の3.7割が、この利回りの範囲に入っています。平均値が-0.2%と、マイナスになってしまっていますが、2件のファンドが足を引っ張ってしまっているのでしょう。
音楽ファンドと比べると散らばりは少なく、それほど当たり外れはないものの、平均が -0.2% ですから投資対象としては面白みがありません。
音楽ファンドと違って、まだ件数が多くないため、プラスとなるファンドの傾向を見つけることはやめます。
■関連ファンドの戦略
次に、関連ファンドの戦略を考えてみます。
出資を判断する指標として、目標利回りを考えます。
現在募集中の関連ファンドでは事業計画としての目標利回りが掲載されているファンドが多いのですが、償還済みファンドには目標利回りがないファンドの方が多かったです。しかし、以下の5つについては掲載されていました。
・TRF1/(TheMadoyGrill)
・TRF2/軍鶏郭 茶寮(横浜)
・TRF3/m.m(横浜)
・my pandaファンド
・mai mai 雑穀おにぎりファンド
そこで、これらファンドの目標年利回りと実績年利回りとの違いを見てみます。
以下は、5つのファンドに対して横軸に目標年利回り、縦軸に実績年利回りをプロットしたグラフです。
サンプルが少ないものの、なかなか目標通りにはいかないようです。目標が5%もあるファンドだから、多少悪くても実績がマイナスになることはないだろうという甘い考えで投資をすると、痛い目にあうかもしれない、という教訓ですね。
少なくとも現状は、目標と実績の年利回りの相関関係が負なので、残念ながら目標年利回りは出資の判断には使えそうもありません。
そこで、関連ファンドでよく出資者特典というものがあり、これを考慮したいと思います。
関連ファンドの標準偏差は 5.5% で平均はほぼ 0% です。したがって、関連ファンドの実績年利回りの件数が正規分布に従うなら、-5.5% 以上のファンドの割合は、84%(=34%+50%) です。
実際、-5.5% よりも実績年利回りが高いファンドは17件であり、全体の89%でした。
多少のリスクはあるものの、出資者特典が 5.5%以上の価値があれば、”償還された出資金+特典”が”出資金”以下となるリスクはかなり少ないといえます。
地域密着型のファンドも多いようですので、必ずしもその恩恵を受けられないこともある(そのお店でしか使えない商品券やそのお店で受け取ることが条件のプレゼントなど)でしょうし、自分には興味のない特典だったりすることもあるでしょう。
関連ファンドに対する戦略としては、目標利回りはあてにせず、利回り0%の運用と考え、出資者特典で選ぶべき。運が悪ければ、5%程度の目減りがあることを想定し、出資者特典の価値が5%以上であれば投資の検討価値ありと判断する。