ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

ボージョレは世界で一番美しい

2008-01-29 10:59:09 | ワイン(M氏より)
先週末、キンシャサの街に新しくできたワイン屋の中を覗いてみたら、フランスワインがいくつか置いてあったので、早速数本購入してみた。
今晩はそのうちの1本、ボージョレのBrouilly 2006 Selection Patrick Chabot。


ボージョレといえば、日本人の方であれば通常ボージョレ・ヌーボーを想起されると思うが、私にとってはボージョレといえば、Moulin-à-Ventであり、Morgonであり、Côte-de-Brouillyだ。
すばらしい造り手の醸したMoulin-à-Ventを飲んで、ボージョレ・ヌーボーの味を思い出す人はおそらくいないであろう。
また、普通のボージョレを飲む心構えでMorgonを口にしたら、そのあまりの力強さに思わずむせてしまう人も多いのではないか。
この二つはボージョレの格付けワインの中でもある意味、別格の「双璧」といえる畑である。

それでは、どうしてこの二つと並んでCôte-de-Brouillyを挙げるのか。
私にとってCôte-de-Brouillyが特別な理由は、10数年前、最初にボージョレを訪れた時、ボージョレ在住の友人が連れて行ってくれた造り手のCôte-de-Brouillyが、あまりに大人びた、風格のあるワインであったことに感銘を受けたから。
そして、その旅の最後にCôte-de-Brouillyの丘に登って見渡した風景があまりに美しかったからだ。
その友人のご主人(当時はまだ彼氏だった)は、ボージョレでワインを造っている生粋のボージョレっ子なのだが、そのとき彼から、“ボージョレは世界で一番美しい。”とお国自慢されたのを受けて、彼の家からの帰り道、見晴らしの良いところを探しながら一人でドライブして、たどり着いたのがCôte-de-Brouillyの丘だったのだ。

 
Côte-de-Brouillyの丘から見下ろした景色

と、過去の回想はここまでにして、目の前のBrouilly。
午後、暑い中テニスをやった後、体のクールダウンのためにプールに浸かったせいで、夜はよく眠れそうだが、さらに駄目押しをするために、開けることにしたもの。

最初は硬くてあまり興味をそそられなかったが、時間とともに、ストロベリーと木イチゴの香りがはっきりでてきて、味も次第に開いてきた。
妻との会話も弾み、ワインを二人で味わう時間もいつもより長くなった。
いつの間にか、軽く焼いたトーストの香りが出てきた。
味の方も、まろやかな、軽快な感じになった。
遠い道程を運ばれてきたにもかかわらず、この香りと味の変化の具合はフランスで飲む時のそれと変わらないものだ。

かつて味わったCôte-de-Brouillyの風格には遠く及ばないものの、その隣に位置する畑のワインがここキンシャサで手に入ったこと、そして昔訪れたボージョレの記憶を呼び起こすに十分な味わいだったことに、感謝。(M)