ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

ジュネーブ美味いもの発見(その1)

2009-05-28 23:00:11 | 日記
ジュネーブに来て半年が過ぎ、それなりにここの生活にも慣れてきた。
まだまだ開拓中ではあるものの、ここにもそれなりに美味しいものがあるということがわかってきた。

ジュネーブ美味いもの発見(その1)の今回は、乳製品屋"Au Gruyere"。

スイスのチーズはフランスと比べてなんて単調なんだろう、グリュイエール・チーズとかエメンタール・チーズくらいしかないのかと思っていた(これは今でも思っているが)。

このグリュイエール・チーズ、スーパーに置いてあるものを食べてもまったく美味しくなかったのだが、乳製品を専門に扱う店"Au Gruyere"のグリュイエールを食べてみて、これってこんな美味しいチーズだったのか、とこれまでの自分の浅はかさを恥じた。



このチーズ、表面は硬いのだが中身は弾力性があって、噛むとたまに塩を噛んだようなザリッとした食感がある。味が濃厚で食べ飽きないのでどんどん食べてしまう。晩酌にワインを飲みながらこれをつまんでいると、「もうチーズなんてこれだけあれば十分だ」と思えてくるほどだ。


そして、この店の極めつけはバターである。ラベルには、Fromagerie 1625 Maulesと書いてあるので、グリュイエール村の北西15キロメートルに位置するモールという村のチーズ屋から仕入れているのだろう。



フランスでそれなりに美味しいバターを食べた経験を持つ(と勝手に自負している)私も、ここのに慣れてしまうと他のバターではもう満足できなくなってしまった。
単にそこらのスーパーで売っているバターと比べただけではない。国境を越えてフランスのFernay-Voltaire村で美味しいチーズを売っているチーズ屋で購入したバターと比べても桁違いに美味いのだ。




包みを開くとエーデルワイス柄の木枠で型抜きされたバターが現れ、なかなかかわいらしい。

ジュネーブでは、”あとはオーブンで10分間焼くだけ”の状態に加工してあるフランス・パンがスーパーで売られており、我が家では朝食にこれを焼いて食べることが多い。この焼きたてアツアツのパンにこのバターを厚めに塗ってMyrtille(ブルーベリー)かframboise(木苺)のジャムをつけて食べると、口の中がなんともいえぬ香りと味で満たされる。

このバター、買い置きすると味が落ちてしまうので、毎週土曜日に200グラムを買出しに行っている。ジュネーブの日本語補習学校のすぐ近くなので、子供を送り迎えするついでに購入できるのが嬉しい。

最近、この店のご主人お二人は私のことを覚えてくれたようで、店の冷蔵庫からいつものようにバターを取り出し、グリュイエール・チーズを注文すると「いつもの、中くらい(moyen)だね」と応じてくれるようになった。「中くらい」というのは塩味の加減のことで、これがここのご主人のお勧めで、私のお気に入りでもある。

一度、グリュイエール村にも行かないとね。(M)


Au Gruyere
Produits Laitieres
G.Oberson&F.Roy
Av.du Mail 3
1205 Geneve
Tel: +41 (0)22 328 7518







久々!造り手訪問 Domaine Chandon de Briailles

2009-05-23 00:30:50 | ワイン(M氏より)
パリ在住のO一家がブルゴーニュ旅行をするというので、Beauneの街で合流して一緒にワインの造り手訪問をすることになった。


前日の金曜日が休日の土曜日ということで、どこもお休みだったりしてなかなかアポが取れなかったが、かろうじて一つとることができたのがSavigny-les-Beauneという、ボーヌから程近い村の造り手Domaine Chandon de Briailles。

門から中を覗く次男。

サビニーレボーヌといえば、安いわりに美味しいワインができる村という印象があるが、トロ・ボー、シモン・ビーズなど優れた造り手が多くいる村でもある。その中でも今回のシャンドン・ド・ブリアイユは私にとっては馴染みはないが、その高名ぶりは昔から気になっていた。

この造り手の建物は、村の中心のサビニー・レ・ボーヌ城の並びにある、これまた立派なお屋敷で、火山の溶岩を使って装飾した建物と、広大な庭園が特徴だ。

次男が覗いていた景色はこれ。

玄関を入っていくと子供と犬が出迎えてくれた。

番犬?よく吠えた。

ドイツ人グループと一緒のテースティング。
案内はマダムが担当してくれた。

マダム。

カーブに下りて試飲させていただいたのは以下のワイン。

(1)Savigny-les-Beaune Les Lavieres 2007
色は薄いが、香りと味が若々しく、味はミネラル感があって決して薄くない。サビニーの特徴はあるが、品格のあるワインだ。

(2)Pernand-Vergelesses 1er cru Les Vergelesses 2007
前のサビニーに比べ、力強く、タンニンも充実している。

(3)Corton Bressandes 2007
コルトン山の中腹辺りの石灰岩と粘土質の土壌が混じった畑で、バランスのよいワインができるという。ブレッサンドは通常もっと濃くて果実味があるイメージだが、ここのはワイン自体は意外に強くなく、どちらかというと繊細なワイン。

(4)Corton Clos du Roi 2007
この畑はコルトン山のかなり上の方で、急斜面な上に風も強く、あまり葡萄の実がならないそうだ。1ヘクタール当たり25ヘクトリットルのワインしか取れないというから、通常の半分程度しかワインができない計算だ。そのせいか、ものすごいコンテンツのワイン。ワインの格としては試飲した中で間違いなくこれが一番。おそらくここの看板ワインであろう。




(5)Corton Les Marechaudes 2001
ちょっと熟成したものも飲んでみようということで、開けてくれたのがこれ。
旨い。酒質が厚いというか、バターを口に含んで口の中で溶かした時のような質感がある(フランス人が表現する言葉でいうとgras)。

(6)Corton Les Bressandes 1998
10年経ったワインとしてはちょっと熟成が進んだ、弱い印象。でも、熟成したブルゴーニュのよい特徴が出ていて好感が持てた。



ここでは1995年から有機農法をはじめ、2005年から本格的なビオディナミに移行したそうだ。

ただし、ビオディナミといいつつ、全く亜硫酸(SO2)を使用せずにワインに微炭酸を残す手法を採るのではなく、最小限の亜硫酸を使用して、伝統的なブルゴーニュの造りを守っている。
この選択は個人的には正しいと思う。
やはり微炭酸を残す手法はどうしても香りに単調な印象を残してしまい、その土地の特徴を目隠ししてしまいがちだ。

ビオディナミに移行した2005年前後での特徴の違いをそれほど感じさせてくれるワインの試飲の仕方ではなかったが、やはり2007年のワインから判断するに、ここのやり方は成功しているといえるだろう。
ビオディナミに移行してから、ワインがより充実した味わいになったと言うマダムの言葉は、単なる思い込みではないと思う。

また、サビニー村のワインはもともと色のあまり出ないワインだが、これと合わせてコルトンとペルナンベルジュレスを所有しているあたりが偉大なブルゴーニュの造り手に名を連ねている理由であろう。

残念ながら試飲できなかったが、コルトン・シャルルマーニュもここの売りらしい。ここの白は、柑橘系の香りを損なわないために、発酵時の温度を20度を超えないようにしているらしい(ちなみに、赤ワインは32度までで、いずれにしても平均よりは低い)。


例によって、待ちくたびれたかと思われた子供達は、ボール遊びをしたり、広い庭園でトカゲ探しをしたりして結構楽しんでいた。

整備された広大な庭園

トカゲを探す子供たち


以前であれば、若くてもいいから、試飲した中で最も高いポテンシャルを持つワインを購入するところだが、今回はそんなに偉大な年ではないが古めのワインを購入することにした。
なんといっても、造り手がワインを瓶詰めした後、そのままそこの蔵で熟成させたワイン以上に、保存状態がいいワインなんてあるわけないのだから。


それにしても、何回やっても、造り手訪問は楽しい。(M)

チューリップ祭り

2009-05-06 18:18:22 | 日記
ヨーロッパの多くはそうだけど、スイスの日曜日はスーパーやデパートはもちろん、レストランさえもしまってしまうところが多い。パリのように美術館もあまりないし、春になって週末スキーというイベントがなくなってしまうと何にもやることがない週末ジュネーヴ生活。何か見つけないと!!

ということで色々探した結果、今回は我が家から車で約30分、ジュネーヴ近郊モルジュMorgesという町のチューリップ祭りに出かけてみました。


チューリップ祭りのポスター。

曇っていて肌寒い日だったけど、湖に面した広い公園にはたくさんの人が訪れていました。



ここの特徴はただのお花畑ではなく、毎年行われるコンテストの優秀者のデザインによって約10万本のチューリップが植えられている事だそうです。あんまりそれっぽい写真が撮れていなくてスミマセン(゜ー゜;)







曇り空の下ながらチューリップの赤や黄色が目にまぶしいほど。


こども達の後方の塀の向こうはレマン湖。お天気がよければ更に向こう側にはアルプスの山々が広がる絶好のロケーションなのですが・・・寒々しいね。

と、なにやらハイジやペーターが出てきそうな音楽が聞こえてきた。


近づいてみると、あづまやで民族衣装を着て踊る人たち。衣装もかわいらしく、みんな表情がにこやかでいい感じです。





ほのぼのと心があったまったけど、体は冷えて何か温かいものが欲しくなった・・・。園内にあるテントのテーブルでホカホカの白ブダン(トリュフ祭りにもでてきます)を食べている人たちを見かけて、たまらず買いに行ったらすごい長蛇の列!しばらく順番がまわってきそうに無い。(iДi)ううっ急にお腹がすいてきて死にそうっ。

・・・しかたなくソッコーで町のカフェに入って、家に帰りました。


モルジュの町。

・・・あ~あ、白ブダン喰いたかったなー。チッ。

せっかくすずらん、チューリップと美しく続いたのに、結局食い物ネタに行き着いてしまうしろみでした。

森のすずらん

2009-05-03 19:41:15 | こども達
イタリアで食い倒れている間に、ヴェルソワもすっかり春になっていました。
窓から見える風景も、新緑の木々とレマン湖を行く遊覧船やヨット。


さて、5月1日はフランスではすずらんの日。こどもたちが大人の女性にすずらんの小さなブーケや鉢植えを贈る、ステキな習慣があります。パリにいたころ、お花やさんの店先はもちろん道端に勝手に花売りスタンドを出すのも違法ではないらしく、子供から大人にいたるまでいろんな人がすずらんを売っているのを、4月の終わりくらいになるとよく見かけたし、うちの子たちも学校や習い事の先生に持っていっていました。

ところが、ほんの何キロか先のフランスに入るとどこの店でもすずらんが売っているのに、ここジュネーヴではとんと見かけません。ちょっと寂しいな~、と家で話していたら。


5月1日は学校がお休みで、お友達のお誕生日に招かれた次男。自転車で集合した後は近くの森まで行ってバーベキューという趣向の、いかにもヴェルソワっぽいお誕生会。
コンゴ時代まったく自転車に乗っていなかったし運動神経もイマイチな次男、大丈夫かなあ・・・。でもそんな私の心配をよそに、大好きなお友達バスティアンへのプレゼントを背負い、朝から元気良く出かけました。そして・・・。

夕方、(4時間も走り回って遊んだ森の中で)こんな物を見つけたよ、とヘトヘトながら楽しそうに帰ってきました。


こんなちっちゃくて、しかも手に持って自転車を走らせていたら落として後輪で踏んで折れてしまったらしいヽ(;´Д`)ノ
でも、私の何気ない話を憶えていて森で見つけてくれたなんて・・・ちょっと胸キュン♪の母なのでした。


いままでもらったどんな花束より素敵に見えたよ。ありがとう次男クン。