ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

やっぱりすごいぞ、コンゴアート

2008-12-23 20:28:21 | コンゴ(M&S)
船荷が届いて、久しぶりにコンゴアートたちと対面したが、やっぱり、いい。
キンシャサにいるときには紹介しきれなかったものを引き続き紹介してみたい。


まずはコンゴ東北部オリエンタル州、スーダン国境近くの置物。高さ1メートルと我がコレクションの中で最大ということもあり、購入したことを妻に言えずにしばらくオフィスに飾っておいたという経緯がある。


この地方ではそのむかし子どもの時に頭を布で縛ってこういう形にする風習があったという。

表情がなんとも柔和だ。



次は、バコンゴ州のコンゴ族の彫り物。

植民地時代の映像に、コンゴ人がこういう帽子をかぶって働いているのを見たことがある。おなかに丸い筒状のものが出ているが、ここには村のお守りとなるもの(薬草だったり、石だったりする。)を入れて、ガラスとか、塗り物で蓋をしてある。
実際にこのお腹の中に何が入っているかはまだ確認していない。



このぬぼぅとした表情で口を開けているのがコンゴ族の彫り物特有のもの。愛嬌があって私は好きだ。


最後は、アンゴラとの国境沿いの村の置物。ボボト文化センターのアンティーク屋の店主に、「これは珍しい。二度とお目にかかれないから買わないと後悔するぞ。」と半分脅迫されて購入したもの。



最初はいまいちかなと思っていたが、何かに似ている気がするのは私だけであろうか。



そう、岡本太郎作、大阪万博の「太陽の塔」。

アフリカ彫刻が若かりし時代のパブロ・ピカソに強い影響を与えたことは有名な話であり、さらにピカソを通じて岡本太郎にも影響を与えたに違いないと強く感じさせる造形だ(ちなみに岡本太郎氏は実際には西アフリカしか訪問していないようだ。)。

背中のところが人の手垢や汗で若干劣化して色落ちしているのは、単なるお土産や工芸品として作られたのではなく、何かの目的に使われていたことを表しているという。


これら暑苦しいコンゴアートたちに囲まれていると、寒いジュネーブでもなんだか暖かく感じる。

大量生産で同じ物があふれているこの時代に、似たものは存在しても手作りであるがゆえにまったく同じものは2つとないものを所有し、鑑賞するというのは楽しいものだ。


キンシャサでの生活はそれなりに大変だったので、こんなものを購入しても辛かった日のことを思い出してしまうだけかと思ったりしたものだが、こうして実際にコンゴを離れてコンゴアートを観ていると、楽しかったこと、良かったことしか思い出せないから不思議である。(M)

ジュネーヴも、お祭り

2008-12-20 23:03:32 | こども達
12月11~14日はジュネーヴのお祭り、エスカラードでした。(ヴェルソワはジュネーヴ州の町です。エスカラードのお祭りについて詳しくはここをクリック!)


次男は長男の通うインターではなく、家から100mのところにあるスイスの公立小学校に通っていますが、前の週にお知らせのお手紙を持って帰って来ました。

”12日金曜日に学校でエスカラードを祝います。11日には野菜を刻んだものとチョコレート代1フランを持ってきてください。12日は朝から仮装してきてください。昼前に校庭でスープが振舞われますのでスープのボールとスプーンに名前を書いて持参してください。スープ(の時間)にはどうぞ家族のみなさんもご参加ください。”

????

違う国の学校に転校するたび、最初の一年は慣れない行事に戸惑うけれど・・・・野菜ってどんな野菜をどんな風に切っていけばいいのさ?!

お手紙をもらった数日後に、ちょうど担任の先生との三者面談があったので質問してみました。

金髪美人の担任いわく

”野菜は何でもいいんですよ~ニンジンとか、玉ねぎとか、適当に切って持ってきてください。仮装も何でも着たいものを着てください。ところでエスカラードの由来をご存知ですか?1602年にジュネーヴがサヴォアの攻撃を跳ね返した記念のお祭りで、市民の一人のおばあさんがおなべに煮ていた野菜スープを城壁を登ってくる敵兵にむかってぶちまけて撃退したので、それにならって現在でもその日はみんなで野菜スープを食べます。その日があるからジュネーヴは今日、フランスではなく、スイスなのですよ!!”

と誇らしげに語ってらっしゃいました。なるほど~。

それにしても、煮えたぎるスープで敵を撃退、ってグリム童話か?!今の国際都市ジュネーヴのイメージとはだいぶ違う、素朴なエピソードですね。


さて当日、本当は中世の騎士の格好でもさせたかったけど間に合わなくて断念。手持ち衣装でハリーポッターに。


鼻が低いのでめがねがずり落ちているやや小太りのハリー、朝ごはんを食べるの図。もうすぐ8時だけど、外はまだ真っ暗です。

ちょっとドキドキしながら昼前には私も学校に行ってみました。前日まで3日間雪が降り続いていた雪は溶けていたけれど、石の床の上は寒い~!!でも前日持ち寄った刻み野菜で作られた熱々のスープが、と~っても美味しかったです。

温まったところで落ち着いて辺りを見回すと、目に入ったのは校長先生。

・・・・中国人の扮装だそうな。


そして担任の先生(向かって右)。

何がテーマなのか聞きそびれたけど、美人は何着ても似合うわねえ。それにしても黒髪のヅラまで・・。

見回すと、子供たちは全員が仮装しているわけではないみたい。先生たちのほうが気合入ってる!?


スイスの学校では生徒はお昼ご飯にいったん家に帰り午後また学校に戻るためか、次男によれば午後から仮装をする子も多かったそうです。


引っ越してきた頃、どのチョコレート屋さんのウィンドウにもジュネーヴ州の紋章の入った変わった形のチョコレートが飾ってあり、横には人参等野菜の形の色鮮やかなマジパン菓子が添えてあった。それがチョコレート製の野菜スープなべだったんですね。学校でもこの日の行事の最後には大きなチョコレートのおなべを割って、みんなで食べたそうです。

夜には同じ校庭で、スープ以外にも食べ物や飲み物のスタンドも出て地域の人が集まり、エスカラードの歌を歌ったり笛や鳴り物で騒いでいました。こうした催し、ジュネーヴ州のそれぞれのコミュニティーでやっているらしいです。日本の町内盆踊り大会みたいなものかな?

ちなみにジュネーヴ中心地の旧市街では毎年12月14日に中世の格好をした人たちのパレードがあり、野菜スープとヴァン・ショ(vin chaud スパイス入りの暖めた赤ワイン)が振舞われ、夜には剣を持ち”勝利宣言”で祭りの幕が閉じられるそうです。

みんみん家もパレードを見に行きたかったんだけど、家から遠いし寒そうだったのと、家の片付けのため行けませんでした・・・・・そうなんです!とうとう着きました!船便!!!





トリュフ祭り

2008-12-19 23:00:49 | 日記
白ワインで有名なシャブリ地方の近くのノワイエ・シュル・スランNoyers-sur-Sereinという中世の風情漂う村でトリュフ祭りがあるというので、行ってみた。

街に入ってすぐの広場の一角に人集りができていたので、近づくとそこがトリュフ市だった。

そこには、綺麗に土が払われて黒々したものと、茶色い土が付いたままのものと二種類のトリュフが売られていた。
ナプキンの上が土が払われたもの、かごの中が土がついたままのもの。

聞いてみると綺麗になっている方は2,3日中に食べなくては香りが落ちてしまい、土が付いている方なら1週間くらいは大丈夫ということだ。トリュフの賞味期限ってそんなに短いものなのかとちょっと驚いた。

とりあえず形のいいものを3つ選んだら、おじさんが一つ形の悪いものを付け足してきて、これで20ユーロでどうだ、という。



まあ、いいか。・・・というか、安い!

その後で、トリュフ入りオムレツを食べ(これは残念ながらあまりトリュフの香りがしなかった。)、広場で作り売りしていたアツアツのブダン(豚の血の入った赤ソーセージ)と白ブダン(血の入っていないソーセージ)を食べた。

この黒と茶色いのはすべてトリュフ。

寒い中、白ブダンを茹でる。当然、人だかりができる。

ブダンの具を腸の袋に入れる。結構多くの血を使うことにビビッた。


ノワイエの町並みは本当に美しい。


一つ一つの家は一見ばらばらなのだが、町全体として絶妙な調和感がある。古くなった家を変に小奇麗に修復していないところが、いい。




帰りに、エスカルゴとクルミ(好物なんです。)を買って、家路に着いた。
帰りの車の中はトリュフの香りが充満して、息子たちからはくさいくさいと不評だった。
・・・まあ、お前たちがトリュフの良さをわかるにはあと20年はかかるだろうな。




ちなみに、トリュフ売りのおじさんが美味しい食べ方を教えてやるといって、教えてくれたのが2つの食べ方。

1.まずは、焼いたパンにバターを塗ってその上に薄切りにしたトリュフをのせて荒塩を振りかけて食べる方法。トリュフの食感を楽しむのだそうだ。

2.もう一つは、薄く切った(刻んだ?)トリュフを生クリームに入れて1日から2日冷蔵庫に置いた後にパスタに和えて食べる方法。生クリームに染み出したトリュフの香りを満喫できる一品。

さらに、一緒に行ったフレンチのシェフのお勧めは、ちょっと厚めにスライスしたトリュフをフライパンでバターと一緒に15秒だけ軽く炒めて塩を振って食べる方法。

家に帰って全部試してみたが、どれも甲乙つけがたかった。

今まで高くて手が出なくてわからなかったが、トリュフがバターと、そして塩味とこんなに相性がいいとは新たな発見だった。
ありがとう、トリュフ祭り。(M)