ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

ヴォルネイ村のオヤジさんちにお呼ばれ

2011-11-23 00:25:47 | ワイン(M氏より)
ジュネーブに来てから毎年ブドウ収穫の手伝いに行っているボルゴーニュのヴォルネイ村のドメーヌ・レジス・ロシニョール・シャンガルニエに、パリのK氏ご家族と一緒に昼食に招いて頂いた。

まず、いつものようにカーブで2008年と2007年のワインをいくつか試飲させて頂いた。



それから、食堂のある地下に降りて食事が始まる。

前菜はマダムお手製のテリーヌ。



胡椒とかはほとんど使わず,とても家庭的な優しい味で美味。私は3切れも頂いた。

これにあわせてレジスおじさんが開けてくれたのが、1999年と1990年のムルソー2本。

1999年は香りも味も控え目。果実味が熟成によって抑えられ,胡桃やハシバミのような木の実の香りがする。
1990年は見事な黄金色。より芳醇なワインで,抜栓から30分間,どんどん香りと味が変化した。



ワインが開いて、香りが出て来たところで、オヤジさんが、「ほら変わっただろう」と教えてくれる。
確かに,それまでも少しずつ変化はしていたが,オヤジさんのタイミングはグッとワインがその底力をだして、豊満な口当たりに変化したときだった。

メインディッシュは、正真正銘ブルゴーニュ風牛肉の赤ワイン煮込み(beuf bourguignon)。




オヤジさんのVolnay, Pommard, Beauneなどで中火でグツグツ煮込んだもの。
これまで食べたbeuf bourguignonで、一番美味しいと言っていいだろう。
マダムのは、タマネギ,タイム,ロリエ(あと何かもう一つ言われたが忘れてしまった)と一緒にしばらくワインに浸けておくのだそうだ。
それと、煮込んだ後、一晩寝かせて、翌日また温めて食べるとグッと美味しくなるという(なんだか、カレーに似ている。)。

意外に肉が柔らかすぎず,肉を少し固めにしていることが,肉を浸けておいた時のワインやハーブが肉に染み込んだ味と香りをより残しているような気がする。
オヤジさん曰く,ワイン煮込みはワインの質が大切で,良質のワインを使うことが美味しい煮込みを作るために重要なのだそうだ。
かつて,食事と一緒に飲むためにオヤジさんが出しておいた1964年のムルソーをマダムが間違えてソースに使ってしまったら,そのソースはそれまでで一番美味しいソースになったと教えてくれた。

本当に、いい味出してるよ、この老夫婦。

さて、この牛のワイン煮込みと一緒に飲んだ赤ワインの1本目が1999年のVolnay 1er cru。
香りからしてオヤジさんのVolnayというのはわかるが,やはり、年を当てるのは難しい。2002年、2003年とはずした後に1999年とわかる。
この造り手のワインは年の割りに若く感じられるのだ。

次に出してくれたのがこの瓶。(すべて3時間前に抜栓してくれていた。)



カーブから出してきたままで、シャンピニョンが瓶にへばりついている。こんなボトルを造り手に飲ませていただくなんて何年ぶりだろう。
ポマールと教えてくれるが、年はなんとか当ててみたい。
香りは熟成し、果実というよりは動物的な香り。味はタンニンが結構残っている。熟成の具合からして80年代ではないか。オヤジさんがうなずいてくれるので,そこまでは当てられたようだ。
オヤジさんによれば非常に難しい年だったようで、おそらくお前達はこの年の特徴を知らないだろうという。

確か80年代は前半が難しい年が続いた記憶があるので84年かと尋ねたら,答えは83年だった。
収穫した際に干しブドウのような状態だったらしく、ワインが、というかタンニンが乾いた(sec)感じが特徴の年らしい。
それでもこれだけの時間を経て飲んでみると、そうしたタンニンがsecであるとはあまり感じない。天候に恵まれなかった年でも約30年もへたれないワインを作っているオヤジさんに、改めて敬意を払う思いで2杯目を頂いた。

そして、さらにこれでもか、と出してくれたのが1971年のPommardだ。



香りは官能的と表現したら良いのだろうか。83年とは香りの量が違う。そして口に含んだ時のとろけんばかりの酒質とその美味しさにはもう脱帽である。
70年代と聞いて、私は78年を思い出したが,はるかに古いビンテージだった。


オヤジさんのワイン作りのポリシーは,その時代その時代の流行り廃りに右顧左眄されず,自分が美味しいと思うワイン、自分が納得できるワインを作り続けることだ。
自分のワインは熟成させて飲むワインであり,最近流行りの4、5年で美味しく飲めて(だから売れる),ある時点で急にへたってしまうようなワインを作るつもりは毛頭ないという。

「自分のワインを嫌いならそれで結構、好きならまた飲んでくれ。」カーブを訪れる人に平気でこういうことを言う。

そして、一本一本試飲しながらこう我々に聞いてくる。
「お前はこのワインが好きか。」
好きだと答えると,嬉しそうにこういう。
「自分もこのワインが好きなんだ。」と。



最近はブルゴーニュのいくつかの造り手のワインも、国際的に著名になったせいで値段がうなぎ上りになっているものが多い。
それはそれで、市場原理なのだからよしとしよう。ただ、それに翻弄されて我を忘れた造り手がいるようにみえるのは残念だ。

他方で,国際的な名声とは縁がなくとも,いや、むしろないからこそ、良心的な値段で良いものを作り続けている造り手達がいる。
私は、こうした愚直な職人気質の造り手が好きだ。

こうした造り手こそが、ブルゴーニュ・ワインの偉大さを支え、それを奥深いものにしていると思う。
そして、私がフランスでワインに惚れ込んだ理由も、これらの職人気質の造り手の気概と誇りに触れることができたからなのだ。(M)

正統派シラー Alain VogeのCornas

2011-11-01 22:21:03 | ワイン(M氏より)
北ローヌのいくつかの赤ワインを、ワイン好きの仲間たちとブラインドで比べ飲みしてみた。

いつトライしてみてもブラインドは難しいもので,それぞれのワインの特徴を自分なりに表現することはできても、それぞれがどのワインかを当てることは至難の技だ。


それはさておき、最も正統派のシラーだと思ったワインが、コート・ロティでもエルミタージュでもなく、コルナスと知った時はさすがに驚いた。


テースティングの際のコメントを見ながら思い返してみると次の通り。

色は濃い赤紫。まだ若いワインの色。

開けた瞬間から複雑な香り。
黒いフルーツ,甘草、白胡椒などが感じとれる。
それと、内側をあまり強く焦がしていない新樽を使用したらしい木の香りが感じられる。
ミントやハーブのような典型的なシラーの香りが前面に出てくるスタイルではない。

口に含むと、まずは充実したきめ細かなタンニンが素晴らしい。
渋みに加えて、ミネラル感,果実味、スパイス(白と黒の両方か)が感じられるが、うまく言葉で表現しきれない何かが残る。


時間が経って,一緒に飲んだその他のワインが開いていき、その特徴を次第に現して行く中で,このワインもそれなりには変化して行くのだが,むしろ、じっとその本格派の威厳を保ったような風格が感じられた。

自分はてっきり名のある造り手のCote Rotieだと信じて疑わなかった。

しかし、それはAlain Vogeという聞いたこともない造り手の、Cornas Les Vieilles Fontainesというワインで、購入した知人がジュネーブ郊外のフェルネイという仏領のワイン屋のおじさんから勧められたものだった。




そういえば、同じフェルネイのワイン屋で、個人所有のワインが時折売りに出される際に、たまたまJean-Luc Colomboという造り手のCornas Les Ruchets1990年を見つけて飲んだことがあるが、そのコルナスも、繊細かつ複雑な、飲み応えのあるワインだった。コルナスは,きっとものすごく過小評価されているワインなのではないか。




ともあれ、ブラインド・テースティングは,知らず知らずのうちにワイン愛好家の中に出来上がってしまう先入観を正すために、この上なく有効なワインの楽しみ方だと思う。

そして、何より、それは、いつまでも子供のように無邪気にワインに向き合えるための処方箋のようなものかもしれない。(M)

ラングドックは白も素晴らしい Mas Jullien

2011-10-27 00:02:16 | ワイン(M氏より)
フランスのワイン屋には、最近2009年ものが出回り始めている。

2009年はボルドーでは稀にみる偉大な年ということで、まだ市場に出回る前の先物買いのワインに対して気違いじみた値段がついて話題になった。
2009年は、ボルドーに限らず、フランス中で偉大か、またはそれに次ぐ優良なワインが出来た年である。

そのため、年の出来不出来によって値段の高騰下落の少ない地域の2009年ワインはお勧めといえる。
ラングドック地方の2009年のワインもそうしたお勧めの一つだろう。


暑さも和らぎ,朝は冷え込むが、昼には穏やかで暖かな日差しに恵まれるこの時期の休日の昼下がりには,少しどっしりした重ための南の白ワインが飲みたくなる。

今回選んだのは,ラングドック地方の傑出した造り手のひとつであるMas Jullienの白ワイン。




色は薄めの黄色から黄緑色。

香りは白いフルーツ。
パイナップル、パッションフルーツ、マンゴスチンのようなトロピカル・フルーツに、グレープフルーツのような柑橘系の香りも感じられる。

はじめは控え目な感じで,時間とともにどんどん香り立ってくる繊細さもあるが、その香りの強さは際立っている。
ブルゴーニュにたとえると、マコンの濃厚なスタイルのワインであるGuffens Heynensのワインと共通点が多い気がする。

口に含むと、香りから想像されるままのトロピカル・フルーツの甘みと濃厚さがまず感じられる。

でも、香りから得られる印象より,よりグレープフルーツのフレッシュさが感じられて心地よい。
かすかな柑橘系の苦み,心地よい酸、しっかりした糖分。
まだ若いせいかアルコールが強く感じられるが,それが全体のバランスを損なっていない。




翌日,残った分を試してみる。

前日に開けた瞬間から30分程度の間の微妙なニュアンスの変化はない。
しかし,より開いた大柄なスタイルになっている。
香りも、トロピカル・フルーツと柑橘系の2つの要素がより顕在化した感じだ。



ラングドックのワインの中には、こうした人を飽きさせない逸品があるように思うし、そうしたワインを発見する醍醐味はこれまた格別である。(M)

古道具市で、古いコルク抜きを買った

2011-08-24 21:35:30 | ワイン(M氏より)
週末,お世話になった職場の上司ご家族をジュネーブ空港で見送った後,しろみが冷たいものを食べたいというので,高速に乗ったついでにニヨン(Nyon)の街のアイスクリーム屋まで行ってみた。
すると、ちょうど骨董・古道具市をやっているところだったので,アイスを食べながらぶらぶら見て行くことにした。

スイスの骨董古道具市では、なるほど骨董品といえる立派なものから、「こんなの買う人いるのかね」というような正真正銘のガラクタまで、玉石混合、雑多なものが売られている。

やっぱり今回もひやかしで終わったかな、という頃合いになって、しろみが「ワインのコルク抜きをいろいろ置いた古道具屋があるからこっちに来い」という。
行ってみると、たしかにガラスケースに所狭しと古いコルク抜きが並べられていた。

これまでいろんな古道具市をみてきたが、ブルゴーニュのボーヌ(Beaune)の古道具市でも見たことも無いようなものがいくつもある。

おじさんに、「ここまで揃えるのにどれくらいの年月がかかったのか」と尋ねると、収集を始めて30年くらいという。
その間に売られたものも相当あるだろうから彼の30年のコレクションの全貌を知る術はない。しかし,30年間のこだわりがあったればこそ、今ここに並んでいるようなものが揃うのだろうと思った。


気になるものをいくつか手に取って見せてもらう。
値段を見ると、これまでの古道具屋と比べると高めの値段設定で、購入意欲が一気にひるんだ(最近スイスフランも高くなっているし。)。

しかし、取っ手が葡萄の木を模した彫刻になっているもの(しろみは真っ先にこれに目を付けたが、お目が高すぎて桁が違った。)、小さな四角柱状(細長いマッチ箱のよう)になる携帯型のもの、ハサミのような形をしたものなど次から次へと手に取ってみる。
イタリアのバローロというワインで有名な街に、コルク抜き博物館があり、そこでもいろんなコルク抜きを見たが,その博物館にも恐らく置いていないようなものまであるのではないか。

コルク抜き以外にも,瓶中に落ちたコルクを3本の針金で取り除く器具、シャンパンのコルクの上から管を突き刺し栓を抜かずに注げる器具(蛇口に開閉用の弁があり、瓶内の炭酸の圧力を利用して必要な分だけグラスに注ぐことが出来る仕組み)、シャンパンの針金を切るペンチ(手で開けられない場合に使用する)など、次々と説明してくれた。造り手が樽に栓をするための金槌と樽に穴をあけるスクリューが一緒になったものもあった。

こんなものを次々と見せられてしまうと、今買わなければきっと一生お目にかかれないような気がして,あれもこれも欲しくなってしまい、結局衝動買いしてしまった。


ということで、今回購入したのはこの2つ。

1.鑞封した鑞を落とす箇所のついた、4本の指で無理なく引っ張れるもの。



自分はコルク抜きで最も重要な箇所はスクリューであると思っているので,やはりこの部分にはこだわって選んだものだ。



2.もう一つは,おじさんのお勧めのこれ。
この取っ手の部分に造った人の職人気質が感じられる。



そして、このスクリューを見てほしい。



今市販されているコルク抜きの中に,こんな美しいフォルムのスクリューがあるのだろうか。



最も高価とされるフランスのライヨール村のソムリエナイフでも、この部分についてはこの逸品に遠く及ばないのではないか。


・・・と、ここまで書きながら,さすがに我ながら「馬鹿は死ななきゃ直らない」という言葉が脳裏に浮かぶ。

コルク抜きなんて、コルクが抜ければ何でもいいじゃないか、日本の酒屋でワインを買った時におまけでもらえるあのコルク抜きでなんでいけないんだ、と。

でも、こんなに楽しいこと,とてもじゃないがやめられない。



そう、ワイン馬鹿のタチの悪いところは(世の中のバカと言われる人は総じてそうなのだろうが、)、自分でもどうかしてると思いながらも,それを正そうとはしない点なのである。(M)

旅行先のコルシカでも造り手訪問 Domaine Antoine ARENA

2011-07-29 22:14:23 | ワイン(M氏より)
夏休みにコルシカに滞在することになった。

コルシカになんてなかなかくる機会はないから,できれば気になるワインの造り手を訪問したい。
あまり訪問客を受け付けないとガイドブックには書いてあったが、コルシカ・ワインの大本命ともいうべき北部Patrimonio村のDomaine Antoine ARENAに事前にアポを申し入れてみると、すぐにOKという回答が返ってきた。
ここのワインは赤白ともに力強く濃いワインで,とりわけその白ワインに何度か感銘を受けていたのだ。






造り手に到着するとアントワヌ・アレナ氏の奥さんが我々を迎えてくれた。

14ヘクタールの畑を所有し,4世紀に及ぶ歴史を持つという。



コルシカの伝統でもある自然志向のワイン造りが信条ということで、殺虫剤,除草剤などいっさい使わず、醸造の過程で酸化を防ぐためにごく少量の亜硫酸(1ヘクタール当たり2~3グラムのSO2)を使うだけという。
あまりに少ないように思うが、天候が悪くて収穫した葡萄の状態が良くない時にはリスクがあるのではないかと聞くと,確かに2002年は雨が多くで大変だったので,若干多めの亜硫酸を入れたが、基本的に葡萄の木が丈夫で健康であれば,酸化防止剤はごく少量でいいという。

確かに,マダムが案内してくれたMorta Maioの畑の葡萄の葉の状態からして、葡萄の木の健康状態は非常に良いものに思われた。



畑から戻ったら,早速試飲に取りかかった。

(1)Patrimonio Bianco gentile 2010
bianco gentileは100%コルシカの葡萄ということで、他の地域ではこの葡萄でワインは作っていないという。パイナップル、グレープフルーツといった白い果実や白い花の香りがする。

(2)次はPatrimonio Vermentino Carco 2010
より芳醇で力強い感じ。
ここは白ワインもすべて乳酸発酵をさせているという。
乳酸発酵とは,ワイン中のフレッシュなリンゴ酸をよりまろやかな乳酸に変化させる醗酵のこと。
フレッシュ感を売りにする白ワインは酸味が命なので、それを犠牲にする乳酸醗酵をあえて行うには、フレッシュ感以外のワインのポテンシャルが要求される。さもないと緊張感の欠けたダレたワインになってしまうわけだ。

この造り手でVermentino種の葡萄で造る白ワインには、Carco, Grotto de Sole, Hauts de Carco(Carcoの上の畑)の3つの畑があるが、残念ながらHauts de Carcoは試飲させてもらえなかった。このHauts de Carcoは最近急速にその評価を高めているワインのようだ。

(3)赤ワインはステンレス桶に入っているPatrimonio Morta Maio2010から始める。
土壌は赤土で、赤いフルーツの果実味と強めのタンニンが特徴。

(4)赤の2つめは2010 Grotto de sol。より酸味が強い。熟した赤い果実やそのジャムのような感じ。
ただ、香りについてはこの2つは共通性があるように思う。

(5)赤3つ目は、Carco 2009。濃くて、ミネラル感があり、バランスの取れたワイン。
CarcoとHauts de Carcoの畑は2003年にアレナ氏が固い石灰岩を削って切り開いた新しい畑で2005年から収穫が始まった新しい畑のようだ。
その岩からは化石がいっぱい出たようで,カーブの玄関に化石の固まりが一つ置いてあった。


これです。

このミネラル感はこの化石を含む石灰岩の土壌から生まれるのだ。

(6)この後,2004年のGrotte de Soleという4年間も醗酵を続けたというdemi sec(ちょっと甘口の白ワイン)を頂く,どんなに強いワインかと思ったら、繊細で、ほんのりと甘めの白ワインだ。

(7)最後に,muscat(vin doux naturel)をいただく。甘ったるいワインを想像していたら,ミントなどのハーブの香りがするワインで,甘ったるくない。
マダムによれば醗酵アルコールの添加を最小限にしてできるだけ葡萄本来のアルコールと甘みを大切にしているという。


15時半に試飲を始めたのだが、16時を過ぎると蔵のドアが開いているのを見て、ひっきりなしにアポ無しの客が、「飲ませてくれるか、買わせてくれるか」とやってきた。マダムははじめはきっぱりと断っていたが,途中からたまりかねて受け付けていたら、あっという間に蔵の中が客でいっぱいになってきた。

マダムも慌ただしくなってきたし、この辺りで失礼することにした。


もちろん、試飲させて頂いたワインと、暑いコルシカ滞在中に飲むためのロゼワインをいくらか購入して。(M)

またまたすごいスイスワインを見つけた!Histoire d'Enfer

2011-06-30 21:27:41 | ワイン(M氏より)
近所の造り手にいいワインがあるのを見つけたおかげで、最近,スイスワインに対する関心が急速に高まっている。

ジュネーブ近郊のフランス領のフェルネイ・ヴォルテールという街に、2001年にmeilleur caviste du monde(世界一のワイン屋)に選ばれたワイン屋がある。

パリに住んでいる時、ワイン屋でワインを選んでいると「ちょっとお前、こっちにこい」と言われ、「こんなのもあるぞ」と奥に隠してある秘蔵ワインを見せてもらうことが何度となくあったが、そういう類いの希少ワインが、その辺にごろごろと、ぞんざいに転がっているようなワイン屋である。
この手のワインは造り手と特別なコネがなければ集められない代物だ。

職場の友人が、「日本に帰る前に何本か美味しいワインを買って帰りたい」というので、久しぶりにそのワイン屋に行ってワインを物色していると、なんとスイスワインが数本だけ置いてあるのが目に入った。
店のおじさんに「これはなんなんだ」というと、お前知らないのかと言わんばかりに、説明してくれた。
フランスでも知る人ぞ知る、有名なスイスワインのようだ。おじさんの説明にも力がこもっている。
ということで、一本試しに買って帰ることにした。

しばらく置いておこうと思ったが、待ちきれない性分で、時間をおかずに開けてみることにした。

ワインの名はHistoire d'Enfer Blanc Reserve 2008。「地獄の歴史」(地獄の物語かも)という名の造り手である。





開けた瞬間から,その凝縮したコンテンツに驚く。
香りは、以前紹介した南仏のMas Champart(赤ワインだったが。ここです)の白ワインのように力強い。
栗、くるみ、ハシバミのような木の実の香り。
口に含んでみても、その香りから期待されるとおりの味だ。
その充実した質感は、これまで飲んだスイスの白ワインとは明らかに異なるものだ。そう、格が違うのだ。

ワインの変化を知るために,少しずつグラスに注ぎ、コンスタントに飲み続ける。
香りと味の変化は、フランスの偉大なワインのそれと共通するものだ。






時間とともに、柑橘系のフルーツの香り,新樽を使ったらしい新鮮なバニラの香り、そして最初に感じた木の実の香りが、交代交代に、微妙なニュアンスとなって浮き出てくる。
そして、口の中で広がる味も,それと軌を一にするように、微妙に、微妙に変化していく。
これは間違いなく,世界的に見ても偉大なワインと言えるであろう。

結局,ほとんど一人で一本開けてしまった。





フェルネイのワイン屋のおじさんが、このワインを購入して車に運ぶ段になって,「もしこのワインが気に入ったら、次はこの造り手のCornalin種のワインを是非飲んでみてほしい。Valais州土着の葡萄品種で作ったワインの中で最も偉大な赤ワインはこの葡萄から出来ると思う。」と教えてくれた。
自分もCornalinの葡萄で作ったワインはいくつか試しているが,あまり感心しなかったことを伝えると,結局葡萄の偉大さは優良な造り手のものを選んで試してみる以外ない、と言う。

こんな素晴らしいワインを教えてくれたおじさんの言葉を疑う術を、私は知らない。

次は,是非ともその赤ワインに挑戦させて頂こうと思う。(M)

驚くべきスイスワインが近所の村にあった! Domaine de La Treille

2011-06-01 07:40:17 | ワイン(M氏より)
意外や意外、すごいワインがうちから車で10分とかからないところにあった。

その造り手とは、サザエさんのお母さんと同じフネ(Founex)という名の小さな村にある、デュトルイ兄弟(Les Freres Dutruy)である(サイトはこちら)。





この造り手はフネ村とコペ(Coppet)村とに畑を持ち、それぞれDomaine de La TreilleとDomaine de La Doyeという名前を付けて、その中の出来の良い葡萄から醸すワインに、この辺りの中心都市ニヨン市のローマ遺跡の円柱を意味するレ・ロメイヌ(Les Romaines)という名を付けている。


そもそもここのワインとの出会いは、コペ村にあるレストランで、店の人に勧められるがままにDomaine de la Treille Pinot Noir "cuvee speciale"を飲んだのがきっかけだった。
香りが華やかで軽やかな感じで、これまで飲んだスイスのピノ・ノワールの中でもなかなかの出来で、アルザス地方のピノ・ノワールを想起させるワインだった。


ジュネーブ州の多くのワインの造り手がカーブを客に開放する日、フネ村はジュネーブ州ではないけれどもジュネーブ州に近いのでもしかしたら開いているかもと思って寄ってみたら、幸運にも大勢の客が試飲しているところだった。


造り手のデュトルイ兄弟のうち、おそらく弟さんからグラスを渡されて、まずは白から試飲。
シャスラcuvee speciale、ピノ・ブラン、ピノ・グリの順で2010年を飲ませて頂いたが、いずれもフルーティでちょっととろっとした感じ。

その後に、赤の(1)ガメイ2010年、(2)ガメイ・レ・ロメイヌ2009、(3)ピノ・ノワール・レ・ロメイヌ2009、(4)ガマレ・レ・ロメイヌ2009と立て続けに飲ませて頂いた。




(1)のガメイ2010年は心地よい苦みがあってフルーティで、ネクターのようだ。

(2)~(4)のレ・ロメイヌにはすべて8ヶ月間の樽熟成を行っていて、ガメイ25%、ピノ・ノワール20%、ガマレ45%の割合で新樽を使っている。
そのせいでこの3つのワインには結構な樽香がするのだが、それがいい具合にワインのアクセントになっている。つまり、葡萄の果実味がしっかりして酒質が厚いので、樽香が鼻につかないのだ。

(3)のピノ・ノワールにはブルゴーニュの珠玉のワインがあるのでそれらとは比べるべくもないが、アルザスのピノ・ノワールであれば相当程度対抗できる。むしろ、それよりも上に行くか。

(2)のガメイについてはボジョレの最高レベルに匹敵するものと思われる。このミネラル感というか旨みは、ボジョレというよりはブルゴーニュのそれだ。

(4)のガマレという葡萄はジュネーブの辺りでしかお目にかかれない種類であるが、このガマレはこれまで自分が飲んだものの中で圧倒的によい。新樽45%と高めの割にはコンテンツが充実しているためバランスが崩れていない。


これまでスイスのワインに対して、住んでいるよしみで贔屓目にトライしてきた感があるが、このワインならそういう必要はない。これであれば世界のどのワイン品評会に出しても恥ずかしくないと本気で思えるのだ。


土曜日の10時から13時までであれば、アポなしで試飲・購入できるようなので、ジュネーブ在住の方は是非一度訪問して試して頂きたいと思う。



以下は余談になるが、試飲の際、偶然隣になった人と次々と出てくるワインについて意見交換した。

彼はこのフネ村に住むワイン愛好家で、ジュネーブ近辺の美味しいワインについて教えてもらったところ、ジュネーブ近辺のヴォー州では次の造り手もいいらしい。

Domaine La Capitaine, M. Reynold Parmelin
このワインは自分も知っているBegnins村で1994年から有機農法を続ける造り手で、coopというスイス最大級スーパーでも置いているところがある(サイトはこちら)。とろとろ感のある白を造る作り手だ。

Domaine le Satyre, Madame Noemie Graff
同じくBegnins村の造り手。ガメイとピノ・ノワールがいいらしい(サイトはないが、関連の記事)。


ちなみに、この3つの造り手が同時に賞を取った際の記事はこちら。彼は試飲の際にそこにあったこの記事を見ながら説明してくれた。


この偶然会ったお兄さん、我々が日本人だと知ると、ジュネーブにある和食レストランでどこが美味しいか聞いてきた。
我々なりの感想を伝えるが、このお兄さんは、この辺りの和食レストランについてきちんとした自分の考えを持っていて、そのコメントは我々を納得させた。
この人物、相当の美味しいもの好きではないかと直感したので、今度はこちらから、この辺りの美味しいレストランはどこかと聞いてみた。
すると、でてくるわ、でてくるわ。

・・・ということで、このお兄さんのお勧めレストラン情報については、これから実際に食べに行ってから報告させていただくこととしたい。(M)

「根っこ」という名のワイン Les Cailloux du Paradis "Racines"

2011-01-20 21:04:15 | ワイン(M氏より)
「根っこ(Racines)」という名のワインをブルゴーニュのビオレストランで購入した話は以前紹介した(ここです)。


ロワール地方の中でもソローニュというワインの産地としてはあまり有名でない地域の造り手だが、ビオワイン愛好家の中では有名なワインである。

造り手であるクロード・クルトワという人物には私は実際には会ったことがないが、写真で見る限りでは風変わりな人物だ。

造り手が自分で描いたのだろうか。


パリにいるときにビオワインを売りにする11区のレストランで初めてこのワインを飲んだ時のことは今も覚えている。

100年を超える樹齢の木から造られるビオワインだと何かで読んだが人から聞いていた(その真偽は定かでない。むしろ、同じLes Cailloux du Paradisの白ワインQuartz用のsauvignonのぶどうが相当古いようだ。)このワインがリストに載っているのを見つけて注文したら、店の人が「あなたはこのワインを飲んだことがあるか。」と聞いてきた。
正直に「ない」と答えると「ちょっと独特のワインだから驚かないでください。」との忠告である。

もしそのときビビって注文するのをやめていたら、ビオワインの魅力に気付くのはもう少し遅れていたかもしれない。

そのときのワインの記憶は、「色は薄いが味が濃く、抜栓後ものすごい勢いで香りと味が変化した」ということである。

今にして思うと、そのワインがほどよく熟成していたからかもしれない。しかし、普通の熟成したワインとは明らかに異なる変化の仕方だった。

それからというもの、ワイン屋やレストランでこのワインを探してきたが、なかなか見つけることができなかった。


先日ブルゴーニュで購入した6本のうちすでに4本を飲んでしまっているが、何回飲んでも面白い。




酸化防止剤の亜硫酸を使わない代わりに発酵時の微炭酸を瓶中に残す手法をとっているために、はじめはすりリンゴのような香りがするし、微炭酸からくると思われる酸味が感じられるので、グラスをまわして微炭酸を飛ばし、さらにゆっくり空気に触れさせてみる。

次第に、ワインが変化するのと、口の方がワインに慣れてくるために、酸味がほとんど気にならなくなり、その代わりにタンニンと渋みと収斂性の方をより感じるようになる。

そして、長い年月をかけてしっかり地面に張りめぐらさせた根っこで様々な地層のミネラルを吸い上げたからこそ得られると思われる複雑な味と繊細な香りが少しずつ感じられるようになる。

そう、これがこの「根っこ」ワインの底力だ。

この2007年はまだ若いために、抜栓後どんどん変化はするのだが、どこまでいっても硬く閉じた感じが残る。

翌日に飲んだ方が、こなれた落ち着いた感じになり、飲みやすく感じられるくらいだ。

AOCを名乗らないテーブルワインなので収穫年は表記できない代わりに、裏のラベルのLt 07-3という数字で収穫年を確認することができる。


こうしたワインが日本円にして約2千円足らずで手に入ることが、フランスワインの裾野の広さと底力を証明していると思うし、このワインがしばらく前から日本でも入手できるということが、日本のワイン愛好家の好奇心の強さを物語っているように思う。(M)

ボジョレに酔う

2010-12-11 23:06:36 | ワイン(M氏より)
ボジョレ・ヌーボーが解禁になったニュースを見て、久々に美味しいボジョレが飲みたくなった。

ジュネーブ近郊のフランスの街にあるワイン屋でルイ・ジャドのムーランナヴァン(Moulin-a-Vent.「風車」という意味。)、Chateau des Jacques, Clos du Grand Carquelin 2006年を見つけたので試してみることにする。

これは元々ムーランナヴァンでは有名だったシャトーを1996年にブルゴーニュの大ネゴシアンであるルイ・ジャド社が畑ごと買い取り、赤ワイン造りが得意な(と私は勝手に思っている。)同社によって立て直されたと言われるワインである。



普通のボジョレにしばしば感じられるストロベリーや甘味料を含む飴(bonbon englais)よりは、プラムのような黒い果実系の香り。

自分は、ボジョレのガメイの特徴はその独特の酸味ではないかと常々思っているが、このワインはそれを基本的には維持しつつも、どちらかといえば充実したミネラル感がその特徴となっている。

良質のボジョレはしばしばブルゴーニュワインにたとえられるが、それは多分にこのミネラル感によるところが大きいのではないか。

また、ミネラル感とともにこの上品なタンニンも特筆すべきであろう。口に含んだときの心地よい収斂性はこのワインが相当程度長持ちするであろうポテンシャルがあることを示している。

収穫年から4年が経過し、それなりに飲み頃になっているのではないかと予想したが、飲むにはまだ若すぎたようだ。

今後、年を重ねることでどのように香りと味が発展するのか楽しみなワインである。


「長熟なボジョレ」といえば、かつてパリからキンシャサに赴任することが決まった時、当時の上司が、私の生まれ年のワインをマルシェで偶然見つけたからといって、私のために催して頂いた上司宅での歓送会が終わった後、客が帰り内輪だけになった時間に開けてくれたのが、ムーランナヴァンだった。

40年前のボジョレだからさすがにもうだめになっているに違いないと、購入した上司夫妻も自分も覚悟したが、開けてみると、嬉しいことに大方の予想を裏切り、そのワインは依然としてその活力を失っておらず、そこにいた皆を驚かせた。

考えてみると、今回飲んだこの2006年のワインは、ちょうどその歓送会の頃に芽吹いた木の葡萄の実から出来たワインということになる。


期せずして、いろんな方にお世話になりながら生きてきたのだということに思いを馳せ、お世話になった方々に感謝しながら、このワインに酔いしれた。(M)

ピエモンテの自然の恵み G.D.Vajra

2010-06-03 23:02:29 | ワイン(M氏より)
5月中旬の3連休にイタリア・ピエモンテ州のBaroloに家族で小旅行に行ってきた。

バローロの村

事前に旅行計画を練っている時に、ミシュラン・ガイドに良さげな民宿Ca' San Ponzioがあったので、メールで予約可能か照会すると、OKとの連絡とともに、「滞在が楽しいものになるように近くのレストランやワイン造り手訪問のアポ取りもお手伝いしますから遠慮なく言ってください」との返事がきた。

そこで、アポ取りが可能な例として挙げられていた2つの造り手のどちらか1つをとお願いすると、間を置かずG.D.Vajraとのアポを取ったとの連絡があった。



到着してみるとそこは歩いていける距離(200メートルくらい)の、民宿から一番近所のワインの造り手だった。

民宿の部屋からG.D.Vajraの建物と畑が一望できる

自分が持っているイタリアワイン・ガイドには名前こそ載っていたものの、その民宿に置いてあった何冊ものワイン・ガイドを見てはじめて、この造り手がものすごく評価されている造り手であることを知った。
日本にも輸入されており、造り手自身も5年ほど前に日本に行っているようだ。

宿泊した民宿に話を戻すと、地下にちょっとしたワイン・カーブがあり、数種類の造り手のワインを宿泊客がグラス単位やボトルで飲めるようになっている。
グラスやボトル単位で飲んだら自分で手帳にその旨を書き込んでおいて、チェックアウトの際にまとめて清算するシステムだ。
もちろんお土産として購入して持ち帰ることも出来る。


宿泊客はみな思い思いにワインをグラスに注いで、庭に出てリクライニング・チェアでくつろいでいる。
夕方、ワインを楽しんでいる人にチーズ、オリーブとパンを切った皿を民宿のお兄さんが気を利かせてサービスしてくれた。

庭でちょっと会話を交わしたフランス人家族や、男ばかり10人のフランス人グループの旅行の目当てはやはり造り手訪問のようで、「どこの造り手のワインが好きか」、「どこを訪問するのか」なんてことを聞きあって、「それは正解だ」、「おれもあそこが好きだ」、「ところでこの造り手は知っているか」なんてことを言い合っている。そうした会話の中でも、幸いこのG.D.Vajraの訪問はなかなかの選択だったらしい。(とってくれた民宿のお兄さんに感謝!)


さて、そのG.D.Vajraに到着すると、造り手の奥さんらしき女性が我々を出迎えてくれた。

まずは、収穫した葡萄を発酵させるステンレス桶やワインを熟成させる樽貯蔵庫を案内してもらいながら、ワイン造りの方針について説明してもらう。

G.D.Vajraのカーヴ

興味深いのは、ここでは樽熟成の目的は樽香をつけることではなく、木の樽でゆっくり酸化させることということだ。

バローロは3年近く樽の中で熟成させるが、そのためにフランスで使う小樽でなく大きな樽(5000リットルや2500リットルの大樽)、しかも何年も使用している樽を使用する。



小樽も置いてはいるが、これは大樽のワインが蒸発によって液面が下がる(1割は蒸発してしまうらしい。)際の補填用のワインを入れておくものらしい。
小樽を使用しない理由は、バローロワインの葡萄ネッビオーロ種はそれ自体ものすごくタンニン等が強いので、これ以上樽の力を借りる必要はなく、むしろ木の樽の中でゆっくり熟成(酸化)させて葡萄本来の味と香りを維持することが偉大なワインを造る道ということだ。


一通りの説明が終わった後、テースティング・ルームでいくつか試飲させていただいた。



1.まずは白のLanghe Bianco 2008。
このあたりでは珍しいアルザスの葡萄Riesling100%のワインで、結構有名なワインのようだ。
たくさん日光を浴びたリースリングという感じ。フルボディでアルコール度も高い。

2.Dolcetto d'Alba 2009
新鮮な黒い果実の香り。若くして飲めるワインとして地元でも人気の葡萄だそうだ。

3.Dolcetto d'Alba Coste&fossati 2008 
一つ前のワインとは一味違った、しっかりとした品のあるワイン。 

4.Langhe Freisa Kye 2006
本当はバローロを名乗れるが、葡萄の木が若いために、3年近くも樽熟成するよりも格下の呼称にすることで樽熟成の期間を短縮し、フレッシュさを打ち出した方がこのワインが生きる、との判断の下でこの名称になったワイン。
その意図は成功しているのではないかと思わせる、ネッビオーロらしい重量感があると同時に新鮮さがあるワイン。





5.Barolo Albe 2005 
偉大なワインは地域・国を超えて似てくる傾向があると思うが、ネッビオーロの特徴である細かなタンニンと独特の風味を維持しつつ、ブルゴーニュの優良なワインと全体の印象が似たワイン。

香りが非常に繊細で、口に含んだときのタンニンの収斂性が非常に心地よい。これは実に美味しかった。





6.Moscato d'Alba 2009 
強い赤ワインでテースティングを終えるよりもこれで締めた方が心地よいのでといって、最後にお口直しとして飲ませてくれた微発泡甘口白ワイン。
アルコール度数はビールとほぼ同じ5.5%で、マスカットの美味しい香りと味が満喫できる。デザートの生苺にそのままかけても美味しいと思う。
強い赤ワインのあとにほっと一息つける感じがした。


ここでは残念ながら飲ませていただけなかったが、ここの看板ワインであるBarolo Bricco delle Viole 2005をせっかくなので購入して帰った。


失礼する際に、ご主人が出てきて挨拶してくれた。
まだ30代と思われる若手の当主だ。



あなたのワインは素晴らしいというと、次の答えが返ってきた。

「ワイン造りは醸造庫の中でなく畑で決まります。
ワインの出来を左右するのは、このピエモンテの自然の恵みとその年の気候であり、人間が介在する部分は必要最小限であるべきです。」

そう、これがこの造り手の哲学なのだ。(M)




民宿:Ca'San Ponzio
via Rittane 7 Vergne, Barolo
sanponzio@areacom.it

造り手:G.D.Vajra
via delle Viole 25 Vergne, Barolo
www.gdvajra.it