ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

ボーヌのビオ・レストラン

2010-09-29 00:54:54 | 日記
先週末、ブルゴーニュにブドウ収穫の手伝いに行くついでに美味しい夕食を食べようとレストランをさがしていたら、面白そうなところを見つけた。

有機農法の食材を使ったレストランで、なにせ、メニューが20,28,30、33ユーロという安さに加えて、ウェブサイトによるとワインリストがものすごく充実している。

"ワインリストが充実したレストランに美味しくない店はない"というのが持論の私は、早速電話で予約してみることにした。

「子供のメニューはないので、子供も20ユーロのメニューをとってくれ」という。この店、ワインショップを兼ねたレストランなので子供を客として想定していないようだ。

また、「ジュネーブから車で行くので、到着は夜の8時か8時半くらい」と言ったら、「どっちか教えてほしい」と言う。着いてみてわかったが、30席足らずのキャパシティの店を客の到着時間をばらつかせながら少人数で店を回している。
結局8時過ぎに着いたが、「申し訳ないが食事のサービスは8時半からになる」との説明があった。



また、注文をとる段になり、大人3人がそれぞれちがう前菜を注文したら、「おっとそれは時間がかかってしまうな」という一言がこぼれた。

いちいち想定外のところで引っかかる店だなと思ったが、もしかしたら、”一皿入魂”の料理が出てくるのかもしれないという期待も逆に高まった。




ワインの方も、パリ以外のフランスやジュネーブでなかなかお目にかかれない、ワイン界の革命児達(Vignerons rebelles)という本にも「ソローニュ地方(ロワール)の巨人」として紹介されているClaude Courtois氏の赤ワインRacines(根っこという意味)がある。いわゆるテーブルワインだが、樹齢が100年を超えるというおばけワインである。
レストランで飲めるだけでなく、ワインショップの価格も表示されていたので、出発する前にメールで持ち帰り用に何本か注文しておいた。


子供用に頼んだコーラもビオ。なんとガス水はシャテルドン!

もちろん、ブルゴーニュに来て、ブルゴーニュ以外のワインをレストランで注文するような非礼をするわけにはいかない。レストランで注文したのはPrieure Rochの Nuit-Saint-Georges 1er cru。



実は、これとHenri GougesのNuit Saint Georges Les Pluliers 2007やGeorges Roumierの Chambole Musigny Les Cras 2006との3つをとりあえずの候補にして、店主にお勧めはどれか聞いたら、後者の2つは伝統的なタイプだしまだ早いから、Rochがいいとの即答だった。

Rochはいわゆるビオワインなので、しろみはあまり好きなタイプではないが、ここは敢えてお勧めにしたがってトライしよう。

このワイン、酸化防止剤の使用を避けて微炭酸を残すことで酸化を防ぐ手法のワイン特有の香りがはじめは強かったが、時間とともに急速に変化し、開いてきた。

この種のビオワインは、その土地本来の特徴(テロワール)を覆い隠してしまう場合が多い気がするが、このワインは時間がたつとそのテロワールの特徴がしっかり出てくるように感じた。


さて、食事だが、前菜は次の3つ。

スライスしたパンの上に緑トマトを煮詰めたジャム、その上にイベリコ豚のチョリソーを乗せて軽く焼いたもの。なんでこんなにうまいのかというくらい素晴らしかった。
•Tartines de Pain Brioché de la Gauloise à la Confiture de Tomates Vertes, Chorizo Ibérico et Osso Irati, Bouquet de Pourpier à l'Huile de Noix de Conques



こだわりの材料を使ったトマト・モッツァレーラという感じ?
•Tomates Marmandes Confites à l'Huile d'Olives du Mas de Gréoux à l'Ache des Montagne et Vanille Bourbon, mozzarella di Bufala Campana



豚の三枚肉とインゲン豆サラダ
•Lard Epais de la Ferme des Buis Confit au Raisiné et Vinaigre de Surard,Salade de Flageolets Frais



次にメイン。

ホロホロ鳥の手羽先にその油を使ってキャラメル化したソース。これも素晴らしい。
•Ailerons de Pintades du Louhanais Caramélisés dans leur Jus, Mousseline de Haricots Verts à l'Huile d'Amandes Douces



この鴨の胸肉を食べたらほかのは食べられなくなる、というくらい美味しかった(一切れしか食べてないけど)。
•Magret de Canard Mulard, Jus aux Senteurs de Cèpes ,Cuisines de Belles Carottes



ちなみに、この本日のグラスワインの黒板を見ると...。


Denis MortetのFixinがなんと9ユーロ。


最後にこれも試したくなったので、デザートの代わりに、「もし既にボトルを開けているのであれば、一杯飲みたい」と伝えると「もちろん開いている」ということなので頼んでみた。

そうして戻ってきたおじさんが、「やっぱり開けていないので、別の作り手のFixinを無料でプレゼントする」と言う。
「もし開いていれば・・・」というこちらの配慮への返礼なのか。恐縮していただいたそのワインもすごく美味しかった。



一言で言うと、”久々の発見”といえるレストラン。

今度、ボーヌに行くときもここで食べることにしようと思う。お勧めである。(M)


Le Comptoir des Tontons
tel: 0380241964
http://www.lecomptoirdestontons.com/


キノコの次は、ブドウです。

2010-09-27 22:48:01 | 日記
最近月一ペースとなっているこのブログ・・・。いつものぞいてくださるみなさま、ゴメンナサイ。

さて8月のキノコ狩りに続き、今度は恒例のブドウ収穫!いつものヴォルネイ村・レジスおじさんの畑の収穫に、今年も家族で参加させてもらいました。

今年は9月25日土曜日の朝から収穫を始めると聞いていたのですが、残念ながら土曜日は子供たちの日本語補習校があるので初日のお手伝いには間に合いません。学校終了後そのままピックアップしてブルゴーニュのワインの首都ともいえるボーヌへ。一泊し翌日曜の朝7時半、ヴォルネイのレジスおじさんちに集合です。お天気は大丈夫かな・・・。


この日の午前中はレジスおじさんの所有する畑のうち、サヴィニー・レ・ボーヌとボーヌ・プルミエクリュを収穫します。バケツとはさみを受け取ったら、いざ収穫へ!

朝日に光るブドウ畑。






前日の雨で地面は思っていたよりドロドロでしたが、日が昇ってくると気温は少し上がってきて、暑くも寒くもない絶好の農作業日和!



紅葉がきれいなブドウの葉。


今年のヨーロッパは異常気象で、南仏で5月ごろ雪が降ったり、各地で長雨が続いて日が差さなかったりだったので、ブルゴーニュのブドウも心配していたのですが・・・。

これはサヴィニーのブドウ(拡大可能)。


写真ではわかりにくいけど、予想通り去年と比べると質量ともに落ちる感じ。というか、去年がすばらしすぎたのでしょうね。そんなわけで今年は房を選定するのが難しかった~!去年は量が多くて大変だったけど、端から摘んでいけばよかったもんね。ちなみに同じ畑の去年のブドウ収穫の模様はコチラです。


サヴィニーを摘んだ後は作業に参加しているみんなが畑の脇で、ラベルも付けていないおじさんの自家消費用ワインをごぶごぶとビンで回し飲み。これが美味いんだな~。すっかり元気になって二つ目のボーヌ・プルミエクリュも摘み終え、集めたブドウを選別の入れ物に移します。


と、突然現れたフランス3(TV局)のインタヴューに答える、レジスおじさん。

フランス3地方版夜のニュースで流すためのものだそうです。

さて午前の作業が終了。ジュネーヴから参加した私たちはここまでで帰ります。今年もお世話になりました。
たった半日だけど頑張って摘んだブドウたち、きっとレジスおじさんの手で美味しいワインになることでしょう。楽しみ!