ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

ジュネーブ美味いもの発見(その2)

2009-12-25 18:09:44 | 日記
私はくるみ(胡桃)が好きだ。

いつからだろう。
子どものとき、かっこよくて好きだった叔父さんが、くるみの缶詰をお土産でくれて食べて以来かもしれない。そのくるみは、殻を割って塩をまぶしたもので、その塩味がとても強かったので、たくさん食べて口の中が塩でしびれてしまったのを覚えている。

以前パリにいるときもマルシェや旅行先で美味そうなくるみを見つけては買って食べていた。
ヨーロッパでは、通常、殻に入ったまま売られている。

そのまんま

とはいえ、収穫したくるみにまったく手を加えないものと、一応乾燥させて売っているものとがあるようだ。
乾燥してあるのは香ばしくておいしいが、生のものは時期によって湿り気具合が若干異なる。
初秋の頃の収穫したばかりのくるみは、湿気ているというか濡れていて、寒くなるにつれてだんだん乾燥してくる。
初秋の頃の湿気ているくるみは、買った後テーブルに置いたままにして少しずつ乾燥させながら、その味の変化を楽しむのがよい。
なんだかワインと似た楽しみ方があるのが興味深い。
個人的には、乾燥してしまう少し前のしっとりしつつも香ばしさが出てきた頃合いのものが好きだ。

くるみは場所によっても味が異なるようだ。フランスでは、ペリゴール地方グルノーブル、アルザス地方(原産地呼称(AOC)の関係でストラスブール産と表記されることが多い。)のくるみが有名である。

かつてアルザスの有機農法ワインの造り手ピエール・フリック(ウェブサイトはこちら)に行ったときにワインと一緒に有機農法くるみが売っていて、「くるみの木の有機農法ってどうするのかな。美味しいのかな。」と半信半疑で購入したものが、パリに帰って食べてみると衝撃的な美味しさだったことが、その後の私のくるみ好きを決定付けたといっていい。

また、以前紹介したノワイエのトリュフ祭りに行ったときにもくるみを買ったが、売っていたおばさんが、「ここではなかなか良いくるみが取れるので、原産地呼称の取得を申請中。」と言っていた。


・・・と、このままでは「フランス美味しいもの発見」になってしまうので、ここからはジュネーブの話。


スイスのスーパーで売っているくるみは、フランス産が多いのだが、先日しろみが紹介したクルトワ農園ではスイス産のくるみが売られている。

スーパーで売られているものが粒がそろっているのに対して、ここのはばらばらだが概して小粒で、地面に落ちた際のものなのか泥が付いたりしている。
でも、食べるとフランス産に負けず劣らず香ばしく、心地よい苦味があり味が濃くて美味い。味にばらつきがあるのだが、食べ飽きしない。それに湿気ていて、季節感を楽しめるのもよい。


我が家ではくるみの殻は昔ライオール村のナイフ屋さんで購入したくるみ割りで割っている。
この型のくるみ割りの使い易さが気に入ったため、この前カルージュ(ジュネーブにある中世の町並みが残る一角)の古道具屋で、似たような古びたくるみ割りを購入してしまった。

上がナイフ屋、下が古道具屋で購入したくるみ割り

リスさんのくるみ割りはだいぶ前に購入したもので、我が家にお客さんが来たときに子どもたちにせっせと割ってもらうためのものだ。



まわりにくるみの殻が飛び散るのが難点なのだが、お客さん、特に子供連れのときはむしろそれがゆえに楽しめたりするのだ。(M)

雪の華のケーキ

2009-12-21 20:54:58 | 日記
エスカラードくらいから気温がぐっと下がった、ジュネーヴ地方。この週末は昼間でも氷点下で、雪が降ったりやんだりでした。



肉眼でも雪の結晶がはっきりと。

ところで、我が家から10kmほどのフランスの町ディヴォンヌ・レバンdivonne les bainsはカジノもあるような、ちょっと豊かな国境の町です。このカジノの前に位置していて、とてもこんな田舎とは思えない洗練された店構えがいつも気になっていた一件のケーキ屋さん、セバスティアン・ブロカールSébastien Brocard

先月開かれたディヴォンヌのサロンドショコラにも出店しており、ますます気になってサイトを調べると、ケーキの名前がKONBANWAやYUZU、チョコレートはALIGATO、HAKONE、GINZAなどと、かなり日本市場を意識した?ネーミング。フランス国内でも以前から数々の賞を受賞しているらしい。これはジュネーヴ在住日本人として知っておかねばなるまい!何よりあまりにもおいしそうでたまらなくなり、ちょっと晴れ間が出たので出かけてみました。

途中のブドウ畑も雪景色。


ディヴォンヌ・レバン入り口。右に曲がるとスケート場、と赤いスケート靴が示しています。

車に乗っているときは良かったけど、降りて歩いたら服から出ている部分が凍りつきそうな寒さ。水溜りも凍っています。目的のものだけ購入して、そそくさと家路に着きました。



こどもにはもったいない気もするけれど、色々食べたいし♪チョコレート屋でもあるので、チョコレート関連の4つを選択。白いのもホワイトチョコレートのムースなのですよ。

ここで次男、右端のケーキを見て

”あ、落ちてきた看板で死んだ人!”



へ?


ヒィ~~~た、確かに・・・。
垂れているチョコレートも凄惨な感じに見えてくる。次男クン、名探偵コナンの見すぎですか?
でもそう言われてみるとそうとしか見えなくなってくるんですけど、皆さんはいかがでしょう。こういうのも、パラダイム転換て言うのかな。

あ、肝心のケーキ達は、久々のヒット!繊細な、軽やかな、都会的な、洗練されたお味でした。どれも美味しかったけど、ホワイトチョコレートの美味しさを再確認した、白いケーキfleur des neiges(雪の華)が特に良かったです。今の季節にぴったりなネーミングですね。

エスカラード2009 その2

2009-12-17 18:00:00 | 日記
ジュネーヴ旧市街では今年は12月11日~13日にエスカラードのイベントが開催されましたが、なんといってもメインは最終日の800人と60頭の馬で構成される、中世を再現した行列。17時に宗教改革記念碑のある公園から出発し、旧市街を練り歩く、というもの。

朝から小雪のちらつく、久々に冷え込んだ13日の日曜日。寒さのニガテなみんみん家一同の腰はとても重かったのですが、なんとかスタート前の公園にたどり着きました。

ちょうどこれから出発する人たちが、行進の準備をし始めたところ。




とってもたくさんの人が、普通に談笑しながら準備しているその場は、まるで中世にタイムスリップしてしまったようです。







槍を持つ人達や


よく揃っている笛の人たちも、着々とスタンバってます。

そうこうしている間に日が暮れてきて、かがり火や松明に火が灯されると、行進がスタート。準備風景を見ていたら、肝心の出発シーンは人だかりの後ろになってしまいました・・・。気を取り直して、こんどは旧市街の中心の広場へと、追っかけ~♪

途中、市庁舎のクリスマスの飾り付けなど眺めながら。


丘の上の教会尖塔にはスイス国旗とジュネーヴ紋章の旗がライトアップされていました。風が強いのでちょうど良くひるがえっています。


すっかり日も暮れて、雪がちらついて寒くなってきました。
ジャン・ジャック・ルソー生家もあるこの辺りは、ジュネーヴで最も古い地域。

15~16世紀の建物も残っていて、中世気分が盛り上がります。

ただあまりに寒いのでスープやヴァン・ショを買って飲みましたが、焦げ臭かったり、まだ温まっていなかったりで、両方ともハズレ!金曜日の体育館の、無料のスープとヴァン・ショのほうが何倍も美味しかったなー。残念。


広場に着くと間も無く勝利宣言が始まりました。


かがり火の下では、どこまでが観光客か中世の仮装の人か見分けがつかない。雪とかがり火のすすが降る中、エスカラードの歌が始まる。わかんないけど金曜日に憶えたサヴォアイヤール!のところだけ一緒に合唱♪しました。
人ごみでもみくちゃ、でもあったかくていいな。

この後行列は何箇所かでこの勝利宣言と歌を繰り返し、20時にさっきの旗の教会前広場で最後の勝ちどきを上げるそうですが、もう十分に中世気分を満喫したので、我が家はそろそろヴェルソワに帰ります。

家に帰って鼻をかんだら、全員鼻の穴の中が真っ黒でした。暗くてわからなかったけど、きっとすごい量の煙とすすだったんですね。

そんな2009年エスカラード祭り体験記、でした。

エスカラード2009 その1

2009-12-15 22:19:47 | 日記
12月といえばヨーロッパはクリスマス一色、と思いきや、ジュネーヴにはその前にとても大事な行事があります。ジュネーヴ独立記念とも言える、エスカラードのお祭りです。(エスカラードとは→コチラ
11月くらいから、ジュネーヴ州のチョコレート屋さんやケーキ屋さんの店先にはこんな風に、あるモノが並びます。



今年は忘れないように、我が家でも一番小さいのを購入しておきました。
 
ジュネーヴの城壁から熱いスープの鍋を落としてサヴォア軍を撃退したという逸話から、ジュネーヴの紋章の入ったマルミットmarmitte(お鍋)形のチョコレート。中には野菜スープの代りにパットダマンドpate d'amande(マジパン)でできたお野菜が入っています。


昨年のエスカラードは船荷到着直後であまり参加できなかったので(詳しくは去年の記事→コチラ)、今年はその雪辱!まずは11日金曜日に行われた、次男の通う現地校でのお祭り。午前中は仮装をした子供たちと一緒に、学校の校庭でスープをご馳走になりました。


このスープは、前日に各家庭から供出した野菜を学校のコンシエルジュ(管理人?)のおじさんが一晩かかって大きなお鍋で煮てくれたもの。すべてとけてポタージュ状態になった、素朴なやさしいお味です。今年は各学年ごとに供出するお野菜の種類が決まっていて、次男の五年生は長ネギでした。

今年の仮装、次男はデパートで調達した中世の兵士。仲良しのお友達はタンタンやカウボーイ、バグパイプを吹く人?、ハリネズミなど。手作りのものも多く、”仮装”に対する気合を感じます。

 



写さなかったけど、今年はMジャクソンが何人もいました。

17時からは学校の体育館で、地域の有志によるイベントが行われました。次男のクラスメイト、ハリネズミのリリーちゃんの両親が携わっていてお誘いを受けたので、初めて参加。


まずは例のチョコレートで出来たマルミットを割ります。飛び散らないように敷いた布の端をみんなで持ち上げて、その場にいる中で一番の年少者&年長者で割るのが決まり。この時言わなければいけないセリフがあります。

“Ainsi périssent les ennemis de la République!”
(「こうやって共和国の敵を滅ぼしてやる!」)


割れたチョコのかけらやマジパンのお野菜を食べた後、17時半からは松明を持って笛を鳴らしたりエスカラードの歌を歌いながら、地域を練り歩きます。うちでこの歌を知っているのは、現地校に通う次男だけ。たのむよ!!

初めての松明にビビる次男。


途中いくつかの広場で止まってエスカラードの歌を歌うと、周りの家の窓が開いて顔を出した大人もみんなも歌っている。なんだかとってもいい感じ。日本のお神輿や山車みたいなものかな~。

体育館に戻って、ヴァン・ショ(温かい赤ワイン)や野菜スープをいただく。ワインは甘みを加えただけでかなり強いので、紅茶で割ってくれた。冷えた体にはありがたいです。

その他にもヴェルソワに本店・工場のあるFAVARGERのチョコレートや、おつまみ用にチーズとパンもふるまわれましたが、すべて無料。すばらしい。今日二杯目のスープはまた昼とは違って、野菜の形が残っているタイプ。これがまたすっごくおいしかった!!ありがとう、リリーちゃんのパパとママ♪

エスカラード、続きます。

ジュネーブの古道具市

2009-12-09 22:00:39 | コンゴ(M&S)
(ひさびさの、コンゴネタです。)

毎週水曜日と土曜日、ジュネーブのプランパレ広場に蚤の市が立つ(こちら)。

土曜日はこの広場の近くにある日本語補習学校に子供が通うので、その送り迎えのため、なにかとこの蚤の市の前を通り過ぎることが多い。
先日、といってもずいぶん前だが、ちょっとした時間つぶしに一回りしてみるとアフリカ人らしき男が細々とアフリカのマスクや彫刻を十数点売っているところに通りかかった。
すべてではないが、いくつかコンゴのものらしきマスクが売られているので、冷やかしてみることにした。

「これはコンゴのだろう?」
「そうだ。」 (やっぱり。)
「このマスクはカサイ地方のクバ族のだろう。」
「そのとおり。」 (どうだ!)
「少し前までキンシャサに住んでいて、彫刻もいくつか持っているからわかる。」
「珍しいね。」 (余計なお世話だ。)
「ちなみにこれはいくらだ。」
「本来ならAフランというところだが、あんたはキンシャサでの相場を知っているだろうから、Bフランでどうだ。これ以上はまけられない。」 (もう少し安くなるだろ。)
「じゃあ、Cフラン(当然Bフランより安い値段)でどうだ。」
「うーん。これ以上安くすると商売にならないんだよ。じゃあ、真ん中を取ってDフランでどうだ。」 (やっぱり。)
「それで決まりだ。」

考えてみると、物を買うときに値段を交渉するのはずいぶんと久しぶりだ。
最初は冷やかしのつもりだったが値切った上にまとまった以上は購入するのがルールである。ということで、結局買ってしまったのだが、値段はキンシャサの相場と比べても高くない。それになかなかの出来栄えのマスクである。



ちなみに売っていた彼自身はガボン人で、ガボンのマスクも売っていた。ガボンのマスクもアフリカ全体の中でも見事な部類に入るが、今回はひとつだけにしておこう。

かくしてジュネーブで購入したマスクが、我が家のコンゴアートコレクションに加わったわけだが、今回はちょっと機能性を追求して間接照明ランプを作ってみることにした。以前からやってみたかったのだが、ちょうどいい大きさのものがなかったのだ。

IKEAでランプ立てを調達して作ってみたが、いかがだろうか。



それにしても、アパートのあちこちにこんなものが置いてあるので、我が家を訪れる人はこのコレクションにどうコメントしていいか悩むようだ。



確かに、ちょっと濃すぎるというか、ドギツイのかもしれない。(M)

小さなお城のマルシェドノエル

2009-12-05 23:18:08 | 日記
12月に入り、急に寒くなったジュネーヴ地方。


今朝お弁当を作りながら外を見たらとてもきれいな朝焼けで、しばし見とれました。

こんなふうに窓から見える山々もすっかり白くなり、どの街でもマルシェドノエルMARCHÉ DE NOËL(クリスマス市)の看板を見かけるようになりました。

今週は近所に住むお友達といっしょに、ヴェルソワの先のコペCOPPETという小さな町の小さなお城で開催される、コペ城のマルシェドノエルに行ってみました。

開催初日の開場時間直後、結構人が出ています。
まずは通う現地校が休みで一緒に行っていた次男を連れて、クリスマスのクッキー作りのアトリエへ。

一番乗りで、教えてくれるマダムと記念撮影。


次男がクッキーを作っている間に、お友達とマルシェを回りました。
 






スイス名物デクパージュDécoupage(切り紙)が素敵でした。
デクパージュがどれだかブレていてわかりにくいですが、こんなヤツです。


パンデピスPain d'épicesはスパイスの入ったケーキ。試食したオレンジとシナモン風味の物が美味しかったので大き目の一切れ(量り売りです)を買ったらものすごく高くて、一気に手持ちの(少ない)現金を使い切る羽目に・・・・。


金太郎飴??も、ちょっとおしゃれな感じ。


すてきな天井の広間ではキャンドルとお花のアレンジメント講座。


露天で行われる事も多い、マルシェドノエル。ここはお城の中なので寒くないのがイイです。その代わり暗くて写真がぶれてしまって上手に紹介できないのが残念ですがやはり古い建物は趣があって、クリスマス気分を盛り上げてくれます。

ツリーが置いてあったのは、1882年と彫られた泉の跡。



お城のお庭には小さなスケートリンクもつくられ、貸し靴もちゃんとあります。クッキーやフラワーアレンジのアトリエ、キャランダッシュによる水彩画のコンクールもあるし、大人も子供も楽しめる素敵なイベントでした。

おまけ。
パンデピスを買う前に買っておいた天然素材のオーナメントの、ペンギンとリス。

ペンギンのカワイさにしびれて買ったんだけど、こうやって見るとリスの手がなんかヘンね・・・。