ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

アブシンベル--まさに世界遺産の貫禄

2008-01-08 10:26:26 | エジプト旅行
翌朝はゆっくりと朝食をとった後、プールでひと泳ぎ。
さあ、いよいよラムセス2世・最高傑作の神殿が建つアブシンベルへ出発!

現在トップシーズンで飛行機の予約が取れず、陸路で向かうことになった。切りかけのオベリスク外の駐車場には2、30台のツアーの車があちこちから集合。ナイル中・上流域は近年、外国人観光客を狙ったテロが頻発したため、最前・後をエジプト軍の車がエスコートしながら隊列を組んでスタートする。約二時間半、アスワンハイダムの発電所からのびる送電線が一本道に沿って続く以外は、ひたすら砂漠しかない。

暇なのでアブシンベル神殿の解説本や、クリスチャンジャックの小説“太陽王ラムセス4アブシンベルの王妃”を読みながら気分を高める。

午後1時、無事に到着。ここはスーダンとの国境も近い。だいぶ南下してきたので、カイロはもちろん、ルクソールとも日差・気温が違うし、空の色もますます青い。

この岩山をぐるっと回ると


山自体が神殿だった!


神殿正面は横幅、高さともに約30m。
神殿全体がその中にある像を含めて(!)一つの岩塊を切り取って作られている。


生身の人間なんて、まさに足元にも及ばない。


王の足元に、後ろ手に縛られる捕虜のリビア人とヒッタイト人のレリーフ 


反対側にも、捕虜(ヌビア人?)のレリーフ


外観も巨大で立派だけど中身もすごい。内部は撮影禁止のため画像で紹介できないのが残念。とにかくすばらしいレリーフと壁画、彫像でいっぱいで、ここ数日見た中でも最高。特にカデシュの戦いの戦闘場面はすばらしい。これを見るだけのために1日かけてきた甲斐は、十分にある。

隣り合った王妃の小神殿でさえこのスケール。これでも右半分。


すごすぎる。これぞ世界遺産の威容。
前日のわだかまりはどこへやら。やっぱりエジプトに来てよかった!

いろいろなことが後世の人に言われるラムセス2世だけど、こんな場所に、こんなのを作れちゃうのってやっぱり偉大だ。彼のおかげであがってくる現代のエジプト観光の利益って莫大なんだろうな、と荘厳な神殿を後にしつつ、余計なことを考えてしまうのでした。