ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

一本のワインと向き合う

2009-07-23 22:33:41 | ワイン(M氏より)
久しぶりにいいワインが飲みたくなった。


最近、イタリア旅行のときに仕入れた安ワインを試したり、いいワインでも大人数で飲んだりと、一本のワインにじっくり腰をすえて向かい合う機会がなかったので、久しぶりにこれをというワインを開けてみることにした。

今回選んだのは、ギュッファン・ゼナンのマコン・ピエールクロ・シャビーニュ2004年(Domaine Guffens-Heynen Macon Pierreclos Le Chavigne 2004)。

これです。


ボトルを開けた瞬間から全開。

強烈な甘い香り。
完熟葡萄、ミラベル、黄桃、パッションフルーツ、蜂蜜...。

いや、それらを並べても十分表現しきれない渾然一体となった強烈なこの香りは何なのか。


口に含むと、その芳醇な香りが口の中いっぱいに広がり、その余韻はいつまで続くか見当もつかないくらいだ。
そしてその十分な酸味のために、両頬の内側の唾液を出すところが刺激されっぱなしだ。


この悦びをどう表現したら良いのだろう。
どうして偉大なワインはこれほど人を魅了してやまないのか。

時間が経つにつれて、香りも味も微妙に変化していくが、その全体的な特徴は変わらない。


ボトルを3分の2くらい飲んだところで、いい気持ちになって居眠りしてしまった。

気がつくともう深夜になっていた。
飲みすぎるとよく頭痛がするものだが、まったく問題ない。


翌日、仕事から帰ってから余った3分の1をベランダに出て飲んだ。
力強さと濃厚なワインのスタイルはそのままだが、酸味が若干おとなしくなっている。
でも、相変わらず魅力的なワインだ。

2005年に訪れたピエールクロの畑


”ワインを理解するためには、テーマを決めて何本かを同時に比べ飲みすることが一番”

ワインに関心のある知人にはそう勧めているし、それ自体は間違っていないと確信してもいる。

しかし、このマコンは、”一本のワインを心行くまで堪能することも、ワインの魅力を理解する上ではずしてはいけないことなのだ”と改めて感じさせてくれる、そんなワインだった。(M)

真夏のラクレット

2009-07-18 10:07:39 | 日記
ラクレット大好き!”というBさんの希望で、真夏ではありますが夜ご飯はジュラ山麓にあるレストランへ。スキー場に向かう途中にあるこのレストランは内装もとてもキュートで、窓際に座ればレマン湖を見下ろしながら、暮れゆく夕焼けのモンブランとアルプスの山々が堪能できます。な~んて人づてに聞いてはいたものの、いつもは前を通るだけで実際にお食事するのはみんみん家も今回が初めてです。朝、お出かけ前に予約をしておきました。

ところでこのお店、お出かけしていた場所からは我家を通り越して、ジュラの山に行くコース。結構遠い。いつもはガラガラの高速道路も、スイスのトップシーズンの日曜日はそれなりに混んでいたようで(というのは助手席で爆睡していたので気づきませんでした。ごめん、運転のM氏)、予約していた時間はまだ高速道路を走行中・・・。

ジュネーヴ州の手前、ヴォーVAUD州走行中。西に傾くお日様がひまわり畑に横から当たって、とってもキレイ。後ろはブドウ畑です。

着いたころにはすでに予約時間を1時間も過ぎた、夜9時近く。料理が出るころにはだいぶ暗くなっており、店内の写真もうまく撮れません。今回は以前友人が行った時に撮って送ってくれた美しい写真を使わせていただきます^^;


山小屋の雰囲気あふれる、かわいらしい店内。

ラクレットは、家庭でも手軽にできるホットプレートのような機械も普及しているのですが、この店のものはなんと炭火式!

溶けてきたチーズをナイフで削り取って、肉(生ハム?)や茹でたジャガイモに乗せて食べるという素朴なもので、気分はハイジです。ヨ~ロレイヒ~♪


ジャガイモの入った木製の入れ物も、雰囲気がありますね。この他に、チーズやジャガイモでこってりしたお口にうれしい自家製ピクルスと新鮮生野菜のサラダがどっさり添えられて、2人分からの注文です。

曇り空で肌寒いとはいえ、真夏の夜のラクレットは遠赤外線で人間も温まって、汗ばむほど・・。ワインは開けてからどんどん味の変わる楽しいBIOの赤ワインで、楽しくスイスの夜を締めくくるのでした。

・・・って実はこの店は、国境を越えてフランス側に位置していて。だからなんとなく小洒落た雰囲気なのね~。スイスじゃないけど・・・ま、いっか!


ル・コルビジェをたずねる 

2009-07-16 19:29:12 | 日記
Bさんを迎えて二日目の日曜は、残念ながらお天気がいまひとつ。そこで当初予定していたモンブラン方面ハイキングではなく、10スイスフラン札にもなっているスイス出身の建築家ル・コルビジェ(ちゃんとカタカナ表記するとル・コルビュズイェなんだけど面倒なので、これでいきます)の生まれた街を訪ねることにしました。

ジュネーヴから車で1時間半ほど。ヌイシャテル州のラ・ショドフォンという街に着き、インフォメーションで”ル・コルビジェ”という小さな冊子をもらいました。そこに出ている地図で確認して、まずは生家へ。現在は仮装用貸衣装屋になっています。
↑クリックするとプレートの部分だけ拡大します。


街から高台に向かうと、まずは彼がパリに行く直前の1917年に建てられた作品(と言っていいのかな)、ヴィラ・トュルクVilla turqueが。

黄色っぽいレンガで建てられた、オリエンタルな印象のヴィラです。
ここは第1・3土曜日だけ内部の見学ができるそうですが、日曜は閉館なので入れませんでした。

さらに高台を上って行き、ヴィラ・トュルクより以前の、彼の建築家としての独立後最初の作品”白い家”に到着。

建築家がイタリア・東欧・トルコへの旅行を終え、そこから得たインスピレーションを元に1912年に建てられた、実験的な作品だそうです。


当初は両親のために建てられたものの寒さの厳しい土地のため、一年ほどで両親は湖畔へ移りました。その後近年まで他の人が住んでいたため屋根や内装など、建築時とは違ったものになっていたのを、2004年までに丁寧に修復し、一般にも開放されるようになったそうです。金土日の週末のみ開館です。


バラのテラスを通ってトカゲの取っ手のドアから入ります。
   
設計ミスだという内部の、ドアの上の階段の出っ張りもご愛嬌。

館内の撮影は公にしないことを約束に撮らせてもらったので、残念ながらここまでにしておきますね。詳細はコチラの公式サイトをご覧ください。


館内では係りのムッシュがゆっくりとやさしく説明をしてくれて、こども達用にも、”これはどこの場所にあるか”クイズの紙が渡されるので、楽しく見学できます。さらに帰りがけに「庭の果物が熟しているから摘んでいいですよ」と言ってくれたので早速行ってみると、熟しきったカシス、グロゼイユがたわわに実っています。




そして何とこれは・・・!

フレーズデボワfraise des bois、つまり野イチゴです!!市場でもほんの少しの期間だけしか出なくて、しかも痛むのが早い上に値段も高い、あのフレーズデボワですよ~。摘んで食べるなんて初めて!しかも・・・超ウマイ!!!
館内見学よりも熱心に熟した実を捜しちゃいました。



後から冊子を良く見たら、他にもいくつもの現存するコルビジェ設計の家があったのですが、あまり他の家と変わりがなかったので、車に乗っていた私達は通り過ぎてしまったのでした。残念。次回リベンジしたいです。

レマン湖を渡って、花の村に

2009-07-13 22:05:08 | 日記
この週末、キンシャサから友人のBさんが我が家に泊まりに来てくれました。キンシャサで一緒にすごしたのは1年余りでしたが、場所が場所だけに”同じ釜の飯を食った””戦友”のような感覚。ヴァカンス客でにぎわうジュネーヴ空港でも一際大きな声で抱き合いながら再会を喜び、大騒ぎの私達。積もる話をしながら、レマン湖の夏を楽しみに出かけました。

我が家からローザンヌ方面へ車で10分ほどの所にある、ニヨンNYONという湖畔の古い街のカフェでお昼をとり、ここの港から船で対岸に渡ることに。
ヴェルソワからも船は出ているけれどニヨンからのほうが便数も多く、短時間でフランス領イヴォワールYVOIRに行く事ができます。ただし船の運航は4月~10月限定です。


ニヨンの紋章は赤と青の地にお魚模様。


家の窓からいつも眺めていた船に、初めて乗ります。船の先頭にはフランス国旗、後尾にはスイス国旗をはためかせて。

20分あまりで、中世の町イヴォワール到着。レマン湖沿いの有名なエヴィアンもすぐ近くのイヴォワールは、フランスで一番美しい村のひとつ、らしい。フランスの”花の村格付け”(そんなものがあるんですね!)でも最高ランクだそうです。

お天気の良い土曜の昼下がりはすごい人出でしたが、店先や窓、路地、どこを見ても絵になるイヴォワールの街。






素朴なイヴォワール城の後姿。



湖畔の遊歩道には、花の村だけあってこんなすごい植え込みが。

近くで見ているとお花の見事さしかわからないけど

引いて見ると、孔雀の羽をデザインした立体的な植え込みなのでした。


さすがフランス、素朴ながらも(スイスと比べると)華やかです。

湖畔の町としては同じフランス内でアヌシーが有名ですが、わたしはこの小ぢんまりしたイヴォワールのほうが好きだな~。

ヴェルソワ小学校の行列

2009-07-09 11:18:06 | こども達
先週からこども達の学校が夏休みに入り、バタバタとすごしています。

この休みに入る1週間ほど前に、現地校に通う次男が”最終日の金曜18時からコルテージュcortegeがあります”というお手紙をもらってきました。何のことかな~と思っていたら、ヴェルソワ中の公立校生徒が学年末を祝って市内を行列(cortege)して歩く事だそうで。

当日18時。こども達は各学校に集まって出発し、道々他の学校と合流しつつ最終地点まで長い行列になって進みます。全部一緒に歩くのも疲れそうなので最終地点である広場付近の曲がり角で、私とインター校に通う長男は先回りして待っていました。

遠くから音楽隊の音が、だんだん近づいてきます。線路脇の坂道を上ってくる行列を正面から待ち受けていると、パトカーが先導した行列が見えてきました。


奥からジュネーヴ州旗、スイス国旗、ヴェルソワ紋章の旗です。


音楽隊、ヴェルソワ市長・市議会議員の皆さんが続き、


各学校のクラス毎、担任の先生と一緒に行列しています。幼稚園の年長さんくらいからいるみたいです。


行列のテーマは”天文・宇宙”(らしい)。そういえば今年は世界天文年でしたね。




各クラス、いろいろ工夫を凝らしていてかわいいですね。




宇宙人!?


いよいよ次男の通う学校が始まりました。


足長大道芸の人が、シャボン玉の出る箱についた糸を持って回しながらスタスタと坂道を登ってきて、ちょうど私達の目の前、道の真ん中でこども達に足の間をくぐらせ始めました。上手いな~いいな~。


次男のクラスは太陽系がテーマのようです。手に手に太陽や惑星、人工衛星やロケットを持ち、首からは望遠鏡を下げています。みんな生徒の手作り。

次男は海王星担当でした。

美人担任のドロテ先生とも、今日でお別れです。

行列最後尾はプロらしきサンバ隊で盛り上がり、終結した目的地の広場には移動遊園地(結構すごい乗り物)が来ていて、食べ物乗り物共通チケットをもらって解散。こども達は綿あめやホットドッグ、絶叫マシーン?に向かってダッシュ!


ヴェルソワ住人が全員来ちゃったのかというくらいすごい人も集まっての、お祭りなのでした。
インター校だけだと、こういう地域に密着した行事はほとんどないので、とてもいい経験になりました。