時事解説「ディストピア」

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辺野古テント襲撃事件に沈黙する愛国者たち

2015-09-21 22:18:53 | 日本政治
自分の気に入らない意見や異論を暴力で封じるような風潮が、広がっている。
今回のケースは、政治が「対話による意思決定」に失敗したために生じた事件ではないのか。
危険な兆候だ。

19日夜から20日未明にかけ、政治団体の街宣車で乗り付けた約20人の男女が、
名護市辺野古の新基地建設に反対する市民が常駐している
キャンプ・シュワブゲート前のテントに乱入した。

居合わせた市民や県警の話によると、押しかけた男女は「テントをどかせ」などと罵声を浴びせ、
横断幕やのぼりを引きちぎったり、カッターナイフで切ったりして乱暴を働いた。

制止する反対派市民ともみ合いになり、殴ってけがを負わせたとして
襲撃した土木作業員の男性が傷害の疑いで、ほかに男性2人が器物損壊の疑いで逮捕された。

テントで暴れ回った男たちは「基地がないと中国に攻められる」とも語っていたという。

襲いかかった男女は、ツイッターを使って参加を呼びかけ、
夕方から街宣車で威嚇(いかく)、嫌がらせを繰り返していたようだ。


昨年6月には、ヘリ基地反対協議会のテントが何者かに荒らされ、
看板や掲示物などが壊される被害が出ているが、反対派の市民がいるときに
公然と襲いかかってきたのは初めてである。

辺野古反対の主張や行動が気に食わないからといって、
暴力で異論を封じ込めようとするのは認めがたい。暴挙というしかない。

(沖縄タイムスの社説より)
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=133803
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この事件、保守速報をはじめとする
ネトウヨブログではなぜかあまり紹介してくれない。

中国の脅威(笑)を果敢に知らせてくれた
彼らの勇敢な行為を世に知らしめる絶好のチャンスだっただろうに。

「よくやった!」とか「感動した!」と騒いでもいいはずである。

【これは酷い】辺野古基地抗議のテントが襲撃される!
右翼系の集団が乱入、市民らともみ合いに!横断幕をカッターで破壊も

↑逆に右翼視点では左翼に認定されるであろうこちらのサイトではバッチリ紹介されている。
 同様の事件は反原発運動にもあったそうだ。

最近では経済産業省前の脱原発テントも同じように襲撃されていましたが、
 過激な右翼団体の行動がエスカレートしている感じがあります。


 襲撃した連中は約20人ほど居ると見られ、
 警察はその内の3名を器物破損の容疑で逮捕しました。
 住民の中には巻き込まれて怪我をした方も居るようで、
 残りの襲撃犯も逮捕する必要があると言えます。

 (同URLより)」


さて、私は前々回の記事にネトウヨの特徴を列挙してみた。
改めて整理すると、

①根拠を崩されても結論に固執する
②専門知識がない
③にも関わらず自分が正しいと思うため
④向こうが屁理屈をいっているorウソをついていると考える


これに加えて、
⑤非常に思い込みが激しいというのも挙げられる。

というのも
⑥専門知識が乏しいために自分に都合の良い風に解釈する傾向が有り、
⑦提示された資料をウソ・でっち上げと決め付ける
⑧自分の妄想を根拠に反論するかのどちらかの反応を示すからだ。

実のところ、ウソや屁理屈で無茶苦茶を言っているのは連中自身なので、
よく見ると⑨矛盾した発言をしているのだが全く気にしない。

果敢にもこの事件を取り上げてくださった右翼系まとめブログを見ると、
次のようなリアクションが散見される。



「自作自演。政治結社の右翼は反日組織である、
 愛国心を最悪なイメージに変えて国民にすり込むためのプロパガンダ組織だ。」

「自作自演だと思ったら既に同じような書き込みがあって安心した」

「ソース朝日だし自演で間違いないなw 」

↑根拠の無い決め付け。⑤番と⑧番に該当。
 ⑦番、自分の都合の悪い事実を指摘されるとウソだと決め付けるにも該当する。
 自作自演であることと自作自演であると思うことは違う。

 自演と言うのであれば、暴徒が市民団体のメンバーである証拠を提示すべきだ。
 他方でこのようなコメントもある。

「県内の人間が県外の基地外を襲ったって事だな」

↑ドヤ顔で語っているが座り込み運動は沖縄県民が主体となって活動している。
 
ヘリ基地反対協議会のホームページを見れば誰でも気づくことである。

運動団体のホームページには次のような文章がある。

「仲井真県知事は県民の新基地建設反対の意思を尊重し、県内移設を拒否すべきである。
 普天間基地の危険性を北部住民に押し付けてはならない。
 1997年、名護市民住民投票によって新基地建設反対の意思を表明し、
 また世論調査において県民の約80%が反対している。」



http://img04.ti-da.net/usr/h/e/n/henoko/0428%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7.jpg
↑のチラシを見るだけでも、移設反対は県外の人間の仕業と判断するのは難しい。 

シュワブ・ゲート前座り込みは超満員。那覇から、南風原から、中城から、「島ぐるみ」バスが到着

高江・座り込み8周年集会に600名が結集---7月からの工事強行を許さない!


こうした人たちの動きをガン無視して県外の左翼の仕業と決め付けているのだが、
沖縄県民にも賛成派と反対派がいるという考えてみれば当然のことを知らないのだろうか?


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米軍普天間飛行場の返還合意から12日で19年。

合意翌年に結成した「命を守る会」から続く市民団体が、
4月でいったん18年の活動に終止符を打ち、新たなスタートに立つ。

会員の高齢化や、区を挙げて移設反対を訴える行動を目指すためだ。

辺野古移設に反対の区民らでつくる「ヘリ基地建設に反対する辺野古区民の会」代表の
西川征夫さん(70)は「これからは辺野古区として反対を訴える方向で活動したい」
と思いを新たにしている。

普天間飛行場の辺野古への移設が取り沙汰された1996年11月。
「移設阻止に向けてやるしかない」と15人の仲間と共に動き出した。
97年1月27日、区民など30人で「命を守る会」を結成。
移設反対の署名を皮切りに活動を展開した。

活動拠点として、辺野古漁港前にテントを1張り設置した。
辺野古の海を守ろうと詰め掛けた区民であふれ返ったため、プレハブの事務所に拡張した。

事務所は時にお年寄りの憩いの場になり、
時には区外から来た学生たちの学習の場になりながら運動を支えた。

一方で、区内は条件付き容認と反対で二分された。
市が条件付きで移設を受け入れて以降は表立って会の活動に参加する区民が減った。

「会のメンバーはいつの間にかいなくなっていった。
 役員になったら周りから何か言われるからと誰も役員をやりたがらず、
『逃げ勝負』になった時期もあったよ」と西川さんは振り返る。

自身も病で会を退いた時期もあった。
それでも「この地域に基地を造らせたくない」との思いから再び会に戻り、活動を存続した。
14年には名称を「ヘリ基地建設に反対する辺野古区民の会」に変更し、
座り込みではなく区内の調整を中心に活動を続けてきた。

18年の歳月は長い。
西川さんは事務所に保管されていた「命を守る会」からの写真をめくりながら、
「涙が出てくるよ」と目を潤ませた。一緒に写るのは一時期会長を務めた故・金城祐治さん。
思い半ばで亡くなった人も多かった。

辺野古を取り巻く環境も変わった。11年前は阻止した掘削調査が現在は進められる一方で、
市長選、知事選と辺野古移設反対の候補者が当選した。

「知事も反対、市も反対。次は辺野古区が動く番だ」と西川さんは指摘する。
「区民同士の争いはもうやめたい。今度は区長を中心に区民一丸となって、
 移設反対を訴えるために動きたい」。共に闘った仲間の思いを胸に、
 移設阻止に向けた活動は続く。(田吹遥子)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-241697-storytopic-3.html
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なぜか連中の頭の中では地元→賛成、県外→反対と勝手に決め付けているが、
実態は以上のようなものである。ちなみに、右翼の中には、上の辺野古区の事情を
利用して、地元賛成派の意見だけをピックアップし「これが民意や!」と息巻いているが、
何度も書いているように、沖縄全体の意見は反対であるし、人口1400余の小さな区ですら
賛成派と反対派が混在しているという有様である。

少なくとも地元は賛成派しかいないというのは大嘘である。


基地に限らず、ダムや原発など環境破壊などのリスクがあるハコモノにおいて、
受け入れ先の人間が賛成派と反対派に別れることはありがちな現象である。

この場合、得てして、資金に苦しむ地方自治体の懐具合に目をつけて、
中央政府が補助金やインフラ拡充、就労斡旋などの懐柔策を働き、
だんだんと受け入れを容認するようになりがちだ。
双葉町がその好例だが、その結果、何が起きたのかはあえてここに書くまい。


以上、長々と書いたが、せっかくの宣伝の機会なのに、無視するor
「右翼の仕業ではない」と言い張るあたり、さすがというか何と言うか……


彼らは次の事実を知らないのだろう。

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米軍普天間飛行場の移設問題で、
政府内で浮上している名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ陸上案に対し、
同区(大城康昌区長)は22日、普天間代替施設等対策特別委員会
(古波蔵廣委員長、委員10人)を開き、同案に反対し、
同案に決定しないよう政府に要請することを全会一致で決めた。

同案には市の稲嶺進市長も反対を表明しているが、
日米が合意した移設先の辺野古区が反対意思を示すのは初めて。

特別委員会は区の最高意思決定機関である行政委員会内の組織だが、
今回の決定が区の総意となる。近隣の豊原と久志も同調し、
久辺3区の連名で25日に沖縄防衛局に要請文を手渡す。

要請には3区の区長や行政委員会の代表も同行する。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-158028-storytopic-3.html
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大城康昌氏は右翼が地元の「民意」を語るさいに
移設賛成派としてよく紹介される人物だが、その彼でさえご覧の有様だ。

上の記事は民主党が与党の時代の話。今、辺野古区では賛否両論との話だが、
なぜ民主党時代は全会一致で反対されたのに、自民党時代では賛否両論になるのか?

その答えは言うまでもあるまい。


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