時事解説「ディストピア」

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アジア女性基金の問題について

2014-12-06 00:33:16 | 歴史全般
同じく、イ・ウォンミョン教授の文章から。


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「アジア女性基金と日本政府の責任回避>

先に紹介した大沼保昭「慰安婦問題とは何だったのか」(2007)と
柳原一徳「従軍慰安婦問題と戦後五十年」(1995年)での議論をもとに、
「女性のためのアジア平和友好基金」(以下「アジア女性基金」と略称)に関して、
なぜ私が日本政府がしっかりとした被害者の補償作業に協力しなかったと主張したか、
簡単に説明します。


1.1995年6月1日、日本政府は、いわゆる「民間募金構想」、
すなわち、「女性のためのアジア平和友好基金」の事業計画については、
次のように述べています(柳原編、33-34)。


①従軍慰安婦のための国民的な補償のための資金を民間からの資金で調達する。

②従軍慰安婦のための医療、福祉などを目的とした事業を行う者については、
政府の資金から資金をサポートする。

③事業が実施されるとき、政府は、従軍慰安婦に国家としての
率直な反省とお詫びの気持ちを表明する。

④政府は、過去の従軍慰安婦の歴史資料を整理して、歴史の教訓とする。



2. 上記の政府発表から確認できるのは、

1)それは「民間募金」の性格を持つこと、

2)「従軍慰安婦のための医療、福祉などを目的とした事業媒介機関」については、
政府の支援金になることがありますが、「慰安婦個人への補償」には、
政府の資金が使われていない
ことを意味します。


3. 大沼教授も自身の著書の中でメリットを明らかにしたが、政府から借り入れた資金は
「財団法人アジア女性基金」を運営するための人件費と運営費、事業費として、
また、その多くは慰安婦への補償ではなく、同時代の女性に対する暴力を
予防するための事業に使われたと明らかにしています。
(大沼、131)。


4. しかしながら、日本政府は慰安婦問題に対する
国際社会の批判が公論化されるたびに、アジア女性基金をもとに、
日本は慰安婦一人一人に首相の謝罪の手紙を送って補償していると、
戦後補償責任の正当性を国際社会に広報する世論戦を展開するために、
アジア女性基金を積極的に活用しました。



5. アジア女性基金について、日本政府が「非協力的」だったとは、これを意味します。
日本政府の一貫した態度は、戦後賠償責任の問題はサンフランシスコ講和条約と
日韓協定で終わった。だから慰安婦個人の国家賠償責任がないということです。

朴裕河教授は個人補償の多くの部分が公的資金と言っているが、
これはこのような事実をまだ知らないか、誤認していることから始まったと思われます。


6. 大沼教授も述べているが、慰安婦問題が日本社会で沸騰された初期を除いて、
日本政府は慰安婦問題という「台風」は時間の経過ととも静なるとの態度で
一貫しています。政府の発表の中で、「過去の従軍慰安婦の歴史資料を整理して
、歴史の教訓に時にする」という方針もやはり回避しました。


7. 民間の「アジア女性基金」を作り、募金に参加した人々の善意は尊重されるべきです。
しかし、これとは別に、私は「アジア女性基金」を作り、運営を担った
大沼教授などの認識からは、日本敗戦後の「一億総懺悔」論のように、
植民地主義と帝国主義の責任主体を蒸発させた現象と似た印象を受けました。

これが私の主観的印象なのかは、じっくり考えてみましょう。

8. 慰安婦問題の「責任主体」は誰でしょうか?日本政府です。


日本政府が責任を背負うことは何でしょうか?

「国家賠償」はいったん論外にするにしても
(私はその時期がいつでもしなければならないという立場ですが)、

「教育」の次元ではこの問題が反映されるよう
「歴史資料を整理して」「教訓にする」ための行動に出ることです。


しかし、現在の日本政府はどうでしょうか?

教科書検定承認の問題でも分かるように、
責任を否定する行動をむしろ強化しています。


9. 私は日本軍慰安婦問題の専門家ではない。
現在は切迫して山積した個人的なことが多く、余裕がありません
(すぐに次の週にある世界市民教育のシンポジウム関連の発表文もこれから記述します)
が、いつか機会があれば、慰安婦問題に対する私なりの体系的な思いを込めた文を
一方書いて発表することで、研究者としての私の責任を背負おうとはしています。

10. しかし、わたしは朴裕河先生と「問題設定」が違うので、
(先生の慰安婦問題についての議論は、脱植民地主義の一角の
「サバルタン」(従属的社会集団)の概念と関係があるのではないかと推測するが)、
先生の著作を中心に議論をすることはないでしょう。もちろん、
私は自分の視点から「事実」を見つけ、「解釈」し、
また、「批判」をすべき議題があるからです。

11. 議論の過程で、朴裕河先生の心を痛めたなら、心よりお詫びを申し上げます。
フェイスブックのスペースというのは、リアルタイムに意見を提出している
ところなので、私はミスしたことも多いでしょう。皆さんの健闘を祈ります。
http://east-asian-peace.hatenablog.com/entry/2014/07/06/005231
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このように、アジア女性基金自体が
日本政府の国家責任の否定に利用されており、
最悪な場合、慰安婦制度という史実そのものの否定に利用されている。


加えて、慰安婦制度をめぐる問題は差別の問題である。
日本の極右は在日・本国コリアンを差別するための口実として、
日本人の誇りを傷つけるチョーセン人を許すなという正義をでっち上げているのだ。


このことに関して韓国のニューライトが無知だったとするならば、
彼らは自分の利益のために差別に加担したも同然だ。卑劣極まりない。


なお、イ教授も述べているように、
首相の謝罪文をネタにして「日本は既に謝罪している(のに韓国は……)」
という言説を流し、「その事実をアメリカに知らせれば慰安婦問題は解決される」
という珍説を述べている自称インテリジェンスがいる。池上彰だ


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