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時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

左派の右傾化現象 ( 経済編 )

2015-07-20 00:49:07 | 反共左翼
このような弱小ブログの発言を目ざとく探し出し、
炎上をけしかけた自称左翼Mの人間性は大変素晴らしいものだと思えるが、
結果的には、彼の叱咤激励のおかげでアベノミクスの胡散臭さを明らかにすることができた。


例えば、Mはアベノミクスのおかげで雇用は増えたのだと盛んに主張しているが、
雇用自体は、彼が掲げたデータを見ても、アベノミクス実施以前から上昇している。


アベノミクス実施意向、劇的に回復したのなら話はわかるが、そのような事実はない。
最大限、フォローするなら、回復傾向を維持させたのがアベノミクスの手柄と言えるが、
実際には、その間も、実質賃金が連続して減り、家計が圧迫されているのでマイナス面のほうが大きい。


また、正規職の有効求人倍率は未だに1.0を下回っており、増えているのは非正規職ばかりだ。
この点をごまかすため、M雄は「無職よりはマシ。失業よりはマシ」と述べている。

ここからは、正規職から非正規職へとランクダウンして働く壮年労働者の現状、
正規雇用を減らして非正規雇用で補う全体の構造に対する批判を感じとることが全くできない


とはいえ、それはそれで1つの意見として受け入れられるべきものであるが、
Mの場合、無職よりはマシと語る一方で、雇用規制の緩和には反対だと述べている。


つまり、ある所では非正規職の増加を好意的に述べている一方で、
また、別の場所では非正規職の増加を悲観的に述べている
。これは矛盾というより詐欺だ。


大きな失敗の中の小さな成功として評価している、つまり、
アベノミクス自体は非正規職の増加に歯止めをかけられなかったのだけれども、
それでも失業率を下げたという点では、百歩譲って良かったのではないだろうか
」というものならわかるが、

アベノミクスで失業者は減ったんだ!文句言うな!」というのが彼の主張なので、どうしようもない。



やや重複するが、今の日本の雇用労働情勢の問題の一つは、
非正規から正規へとランクアップするのが大変困難なことと、
正規から非正規へとランクダウンする労働者が増えていることである。


(加えて労働条件が悪すぎて需要が高くても労働力の供給量が追いついていない
 介護職や飲食業、私立校教員などの一刻も早く解決されるべき問題がある)

このような実態に触れることもなく、失業者が増えたか・減ったかという
二元論でしか日本経済を語れないのは、かなりレベルが低いように思えるのだが……(汗


まぁ、フリードマンやマンキュー、クルーグマン、サックスなど、
世界的に著名で権威のある一部(と信じたい)の経済学者自体がアレな発言をしているわけで、
経済学で飯を食っているはずの彼があんまりな発言をするのも不思議ではないのだけれど。



それにしても、来年、景気が回復するかもしれないから
アベノミクスの失敗を主張するなと言うMの言葉は不可解極まりない。


小西一雄氏をはじめとして他の経済学者が指摘しているように、
消費税実施以前の2013年度の時点で、アベノミクスは失敗しているのである。

第1の矢である量的緩和はマネーストックの増大に貢献しなかったし、
第2の矢である公共事業の投資もまたしかりである。


有効求人倍率の言説が典型的だが、Mの言説の特徴として、
プラスかマイナスかだけでアベノミクスの成功の可否を論じ、
先述のように、より具体的な社会問題にまで踏み込もうとしない点がある。
(踏み込めば、自説の誤りを認めることになるので当然と言えば当然の姿勢だが)

まぁ、それを自覚した上で、良い面も少しはあるでしょと言うのなら別にかまわないが、
彼の場合、アベノミクスのおかげで景気も雇用も良くなって、
人々が暮らしやすい社会になりつつあるぞーいと喧伝しているので、何ともいえない。


この「成功するまで失敗を語るな」といった主張や、メディアを通じて
お上を擁護する言説を拡散させる行為を見ると、戦前の御用学者を想起させられる。


軍事・外交における日本社会の反動化は以前から問われていることだが、
経済に関しても、同様の傾向があるのではないだろうか?


何十回目の発言か数えていないが、現在の日本の右傾化は左翼の右傾化であり、
中道・リベラル・左翼・マルクス主義を自称する人間が思いっきり保守的な思想を唱えつつある。


こういう抜き足差し足の転向の一つとしてMの言動を位置づけることが出来るのではないだろうか。


ここのサイトが攻撃された理由は量的緩和と規制緩和の言葉を間違えたことにあるが、
それでもアベノミクスに対する評価自体は間違っていなかった。
(例えば、正規職が減り、非正規職が増える構図になっていることなど)

これは大きな事実の中の小さなミスだと思われる。

対して、Mの場合、用語の使い方は間違っていないが、
アベノミクスのおかげで雇用も良くなり、社会がばら色に輝きだしたという
妄想を事実として結論付けているわけだから(それも意図的に)、これは大きなウソだ。


こういう小さなミスにつけこんで、全体をひっくり返し、
大きなウソを浸透させようと画策する動きは、森村誠一氏への右翼の攻撃と全く同じものである。


ついでに言えば、Mの言説は、次に掲げるエコノミストのそれと同一のものだ。

ピケティでアベノミクス批判する残念な人々

アベノミクスの不調の原因を消費税増税に結びつけたり、
失業よりはマシ論を振りかざしたり、はたまたアベノミクスで格差が
改善された論をのたまうなど、なかなかエクセントリックな内容になっている。

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-6075.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-09/2015070901_05_1.html
(反証となる記事はこちら)

金融界の立場にいる人がアベノミクスを擁護するのは不思議なことではないが、
中立や左派、リベラル、マルクス主義者などを自称する人間が、
羊頭狗肉の政府支持を行うのは不可解だし、洗脳の手段としては後者のほうが性質が悪い。


経済学における自称左派のネトウヨ化現象。左派からの保守支援。

今のところ、こういう動きは本格化していないが、
小さな所では、少しずつ転向現象は起きているわけで、
案外、あと10年や20年が経ったら、彼らの意見がマジョリティになるのかもしれない。

さる社会学者(?)についての省察

2015-07-20 00:21:47 | 反共左翼
たまに古市憲寿氏に関する記事が読まれるので、彼に対する自分の考えを書いておこうと思う。


彼が社会学者かと言うと、非常に微妙……というのは前にも言ったとおり。

博士号を取得しようとして専念している最中の、
つまり修行中の身分で「社会学者」の肩書きを名乗ってよいものかどうかというのがまず1つ。


とはいえ、もしかすると社会学業界ではそれはOKなのかもしれない。
在野の研究者というのも多く存在するわけで、些細なことを気にしているだけかもしれない。


それにも関わらず、私がやや抵抗を覚えるのは、
彼の主張が、やや単純化されているというか、読み物的だからである。


例えば、彼は世界各国では、戦争のモニュメントが各政府によって
建設されているのに、日本ではない、それはなぜかという視点で
ある本を一冊書いているのだが、遊就館や靖国神社の存在をガン無視して、
日本には戦争にまつわる公的記念館がないと言われてもちょっと困る。


その本自体も読者として学者を想定した研究書ではなく、大衆を想定した読み物であって、
著名な評論家の推薦文&巻末にアイドルとの対談が載っている雑誌のような内容になっている。

この本に限らず、彼の場合、研究者向けの専門書を書かずに読み物はっかり書いているわけで、
それを社会学者と呼んでいいかと問われると正直、返答に困ってしまう次第である。


もう一つ、彼が社会学者かと問われて返答に困るのは、
彼のテレビやツィッターでの女性に対する発言が
自分の著作で主張している内容と余りにもかけ離れている
というものがある。

「ブサイクは怠惰の象徴」古市憲寿のブス差別がヒドい! 容姿差別は合法だと開き直り

合唱団が不細工すぎて辛い・整形問題?古市憲寿のツイートが大炎上で話題に!

「女性議員は妖怪みたいな人多い」 古市憲寿発言に「ヘイトスピーチだ!」と反発の声



『国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由』
『保育園義務教育化』などを読むと、古市氏は日本の女性差別を危惧しているように思われる。

この2作品は、内容もきちんとしたもので、いわゆるトンデモ本ではない。

特に前者は北欧の学者との共著で、一般人を対象とはしているが、内容は濃い。
さすがに社会学者を名乗るだけあって、一定の水準を超えている。


にも関わらず、私は彼をあまり高く評価してはいない。
というのも、普段の彼の発言を読むと、社会に存在する女性差別を是とした上で、
上手く世渡りをするようにと女性に進言しているように思えるからである。



例えば、韓国の整形が当たり前になっている風潮を肯定する意見がそれだ。

韓国で顔面の整形がブームと化しているのは
就職が有利になるからであって、整形を通じて自己表現しようとしているわけではない。



むしろ、これは顔を採用基準に選ぶセクハラ人事が跋扈しているという
韓国企業社会の深刻な問題を如実に示したもの
で、自分の個性を捨て、
オヤジ好みの「美人顔」に加工することを暗に求めてさえいるものだったりする。


この点について同氏が特に触れず、韓国が進んでいるかのように語るのは不思議だ。



もちろん、古市氏本人は、その辺の事情を知った上で、女性の整形を
あえて「したたかな」生き方として高評価しているのかもしれないが、
冷静に考えれば、彼の発言は顔立ちで女性の人生が左右される社会の風潮を肯定したものだ。


アメリカでも、ヨーロッパ風の名前だと就職が不利な時期があって、
移民は早々に自分たちの名前をアメリカ風に改名して職を得ていた時がある。


結局のところ、これは外国人である限り、不利を被るシステムになっているわけで、
この手の移民差別はアメリカでも反省され、徐々に改善されていった。


その背景には、社会システムの問題を発見・是正しようとする意思があったと私は思う。



古市氏の場合、これとは逆に、社会の差別を前提とした上で、
各々が上手く立ち回れるように工夫せよと述べているわけで、
これは要するに社会的弱者が社会の風潮に合わせて上手く適応せよというものだ。


よく読むと化粧をしない女の顔を見て不快に思うのは古市氏自身あるいは、
古市氏に代表される一部男性の個人的感想にすぎないのだから、冷静に考えれば、
そこまで嫌なら彼らが女性の顔を見ない努力をすればいいだけの話である。


ところが、彼は、男が不快に思わないように女は化粧に努力すべきなのに、
その権利を奪っている日本はおかしいと訴えているわけで、そこに違和感を抱くのだ。


まぁ、被差別に反対する人間が女性差別者であったり、
民主主義を主張する人間が、実は女性差別者だったというのはよくある話だ。


ただ、それでも彼らは自分の本業についてはウソをついていない。

民主主義は大切だーと言っている人間が、別のところで選挙制度を撤廃せよと言っていたり、
在日コリアンの差別に反対だと言っている人間が、別のところで
在日コリアンは日本の右翼史観を信奉し、帰化せよと言っていたりはしない。


しかるに、古市氏の場合、女性の社会的地位向上が大切であるかのように
言っておきながら、別の箇所では女性差別を前提とした上で、日本社会に迎合せよと述べている。

これは彼の学問的意見とは矛盾する発言ではないだろうか?

また、彼の主張を是としてしまうと、
アベノミクスで家計が苦しくなるから節約術を学ぼうとか、
日本が戦争をするようになるのは確実だから、嫌な人は海外に移住しようといった風に、
社会や政治の弊害が生んだ問題を個人が各自工夫して乗り切れということになってしまう。



ここには、政治家や官僚、企業、マスコミ、学者らの責任を問う姿は微塵も無い。
アベノミクスをやめろとか、戦争をさせないように食い止めようという姿勢は全く無い。

(一応、フォローするとアベノミクスや軍拡に対する古市氏の意見は知らない。
 恐らく、上とは別に左翼っぽい意見を述べているのではないかなと思われる。)



つまり、古市氏の主張を受け入れると、究極的には安保体制や女性差別や
異民族差別がはびこっている今の世の中を受け入れよということになってしまう。


それこそが私が彼をあまり評価しない最大の理由であるが、
それでも最大限フォローすると、彼は
社会学者は社会学者でも保守系の社会学者と言えるべき存在なのだろう。


実際、彼の基本的な主張、若者に対する見解や、
若者の処世術を好意的に評価するスタンスを考えれば、
案外、問題の女性論もあながちズレていないかもしれない。


彼の見解というかスタンスは、典型的なネオリベラリズムで、
政府や社会が何とかしろと呼びかけるのではなく、
個人が創意工夫して苦難を乗り切ることを重要視している。


そうしてみると、現在存在する差別や軍拡の動きに対して、
真っ向から抗うというよりは、それはそれとして受け止めて、
被害を被るマイノリティが上手く立ち回るようアドバイスすることは、
そこまで彼の意見から逸脱したものではないかもしれない。



それよりも、私は彼のように
『永遠の0』を肯定する歴史観の持ち主を高く評価する
一部の大御所社会学者や文化人のほうが、はるかに問題があると強く思う。



古市氏本人が邪悪かと言えば、そこまでのことはなく、
池上彰氏のように中立を装った保守的発言をしているわけでもない。

むしろ彼は自分の意見を鮮明に表現しているほうで、その意味では健全な人間だ。

問題は、既存の右翼的価値観(伝統や風習を過度に重んじる)から外れているというだけで、
中道リベラルあるいは保守だとみなしてフォローする周囲の学者や文化人のほうだと感じる。


結局、大御所学者のバックアップがなければ論壇で活動することなど出来ないわけで、
彼と簡単につるんでしまう学者、対談を組んでしまうジャーナリストのほうが異常だ。


朝生で数々の極右レイシストを世に送り出してくださった田原総一郎さんや
胡散臭い中国論を語っている加藤嘉一さんなどが古市氏のプロデュースに
専念しているのは、いつものことだから、特に気にならない。むしろ自然。


私が気になるのは、本田由紀氏や上野千鶴子氏などの
まっとうな(後者はちょっと微妙だが)社会学者が彼と対談することにより
結果的に彼の宣伝に一役を買っている現状で、それはどうなのよと思う次第である。
(特に上野氏はフェミニストだったはずなのだが……???)


面白いことに、古市氏を批判するのは週刊誌的エンタメ系記事であって、
社会学者がキッパリと彼の反フェミ的見解を批判したことはないのである。
少なくとも論壇の場においては。


繰り返すが、私は古市氏本人は昔からよくいる保守系の人間だと思っていて、
とんでもなく悪いヤツだとは全く思っていない。日本の右傾化、正確には
左翼の右傾化の流れの中で半ば必然的に発生する現象の一つだと捉えている。

そういうわけだから、奇しくも相対的に古市氏のイメージは
自分の立ち位置をハッキリさせている分、一部学者と比べると良かったりする。


いろいろ考えるに、個人をどうこう言うよりは、その人物の詐欺性が
よほど悪質でない限りは、論壇の状況のほうを批判するほうが建設的だろう。


まぁ、要するに、私にとって、
古市憲寿氏は学者を気取ったタレントであって、
それ以上でもそれ以下でもないのである。



・追記

どうでもいいのだが、なぜ彼は自分の本に
逐一、自分の顔写真を貼り付けたがるのだろう?



先述の北欧の学者との共著でも、
なぜか自分の似顔絵をこれ見よがしに載せていて、ちょっと戸惑った。

ちなみに、私がチェックした限りでは、その北欧の学者の似顔絵はない。


彼の意向と言うよりは、編集者の意向なのだと信じたいのだが、
そのわりには、新潮社、小学館、マガジンハウスと複数の出版社で同じ傾向だし。


素直に考えれば、古市氏本人が俺の顔を載せろと言っているような気がする(汗

それとも、古市氏とメディアを結びつけるマネージャー的人物がいるのだろうか?
まぁ、どうでもいいのだけれど…




……そんなにイケメンかなぁ(汗


私は一時期の勝間和代のように、アイドルでもあるまいし、
やたらと自分の顔をデカデカと帯紙や表紙に載せて自己主張する輩を見ると
ちょっと思うところがあるのだが……それとも古市氏はすでに整形済みで
自分のビジュアルに多大なる自信があるのだろうか……謎は深まるばかりだ。

・追追記


「属人性から解放されたはずの近代社会で、見た目に関しては
 生まれたままの姿を変えるべきでないという規範がなぜ強いのかは
 昔から疑問に思ってること。韓国など一部の地域を除き、なぜ整形が一般的にならないのか。」

と語っているが、発端は自分がテレビを見ていたら女子中学生の顔がアレなので、
もう少し化粧するなり染色するなり髪型に気を使ったほうが良いという
個人的な感想をつぶやいたら、周囲に絡まれたという話であるわけで、
近代社会がどうとか属人性の解放がどうというのは後からひねり出した文章のように感じる。


小さなツブヤキまでチェックされるのは可愛そうだと思うが、
他の人間も指摘しているように、単なる感想を変に理論武装しようとせず、
とっとと削除して、なかったことにしたほうが良かったのでは……


学校で身だしなみのチェックをするのは、非行を防止するためであり、
「生まれたままの姿を変えるべきではない」という思想に準じたものではないだろう。


化粧や髪を染めなきゃ非行に走らないのかと言えば、
これまた難しい話だが、少なくとも、哲学的な背景はそこにはない。

みすず書房についての雑考

2015-07-15 21:41:54 | 反共左翼
くまでメモ程度の雑考。

本を選ぶ基準の中に「どこの出版社か」というものがあると思う。
例えば、文芸春秋や新潮社、WAC、KKベストセラーズ、草思社などの
右派系出版社の本は、ある意味、これは毒ですよと言っているようなもので、
ある評論家や学者の凋落や正体を知るにはうってつけの参考資料になったりする。


ただ、最近はこの手のわかりやすい保守派の本よりも、
一見、左派系&学術系のように見えながら、その実、
本質の部分では、保守派よりもある意味性質の悪い出版社が増えている気がする。


多くの専門家から批判を受けているパク・ユハの本をわざわざ翻訳した
平凡社、河出書房新社、朝日新聞出版社などは、その典型的な例だと言えよう。


新潮社やWACのような週刊誌的なセンセーショナルあふれる読み物を
主体に売り出している会社は、ある意味、その偽者らしさを見破るのは造作も無い。


だが、一見すると専門性があるように見えるし、また実際そうだろうが、
本質的には現在の保守層を援護射撃するような本の場合、水準が高い分、
読者は抵抗なく、知らず知らずのうちに保守的思想を植えつけられてしまう。


そういう点では、後者の出版社のほうが社会的害悪は甚だしいと言えなくもない。
(もっとも、埋め合わせをするかのように良書も多く世に送り出してはいるが)



そういう点で最近、少し気になったのがみすず書房である。

ここはサイードの『文化とナショナリズム』を翻訳・出版したことも
ある会社で、いわゆる「お堅い出版社」に属すると思われる。


特徴的なのが、一冊一冊が異様に高いことで、これは紙の質を高めるためと
私は聞いた事があるのだが、そのわりには20年ぐらいで簡単に汚れる。

まぁ、それはともかく、古典として残すのに
ふさわしい著作をチョイスしていると言う点は確かであろう。



そこを踏まえた上で最近のラインナップをみると、
どうも質が劣化してないか?と思わなくも無いことがある。


有名なのがピケティの『21世紀の資本』だと思うが、
これはそこまで読むに値する本なのかなと思うと、正直怪しいところだ。


権力批判や資本主義批判はマルクス主義をはじめとして昔からなされてきたことで、
本書の特徴は、それを新古典派の立場から実証した点にあると思われる。


とはいえ、それはマニアというか学者にとっては画期的なことではあるけれど、
一般人にとっては……ということを考えると、アルチュセールやハーヴェイのほうが
はるかに読む意義があるような気がするのだが……ケチをつけすぎか?


そもそも、ピケティ自体、フランスでは、とびきりの左翼とは思われていないし、
累進課税の強化を求める彼の主張自体もそこまで目新しいものではない。


加えて、あの池田信夫や山形浩生らによってブームが作られたことを思えば、
これは、亀山郁夫のドストエフスキー・ブームと同じ匂いを感じる……


少なくとも左翼的な本だとは私は全く思っていない。


このように感じる人間は結構いるようで、ブームがやや沈静化してきた今、
少しずつ、その問題点について左派の側から意見が発信されている。

週刊金曜日2015年7月3日号


話が脱線したが、はたしてみすず書房が50年、100年と世に出回るべき本を売っているのかなと
思うと、首を傾げたくなってしまう。先月には、あのアンドレイ・ランコフの
『北朝鮮の核心』を出版していたが、個人的にはなぜよりによってランコフ?と思う。


ランコフという人物は、北朝鮮が抱える問題を解決するには国家体制を崩壊させるしかない、
そのためには国際社会の長期的な干渉が必要だと仰っているクレイジーな御仁で、

これは、日本の社会問題を解決するには一度、アメリカ・EUの
干渉政策によって国が滅ばなければならぬと言っているようなもの
だ。


まぁ、確かに自民党や財閥や官僚や皇族の権威と権力を一度ゼロに戻しでも
しない限り、根本的な改革は無理かなーと思わなくも無いが、それは極論であり、
しかも、ランコフの理屈だと、その革命の主体は日本人ではなく外国人だ。


どう読んでも、他国の暴力的・非暴力的侵略を是認した意見に見える。

いくら大日本帝国の内部に問題があったからといって、
GHQに占領されない限り、解決されなかったと断言できるのかという話だ。


同じロシアの北朝鮮研究者なら、ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮調査センター所属の
アレクサンドル・ジェビン氏や同研究所朝鮮モンゴル課のアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏
など、他にも大勢存在し、また、彼らの意見のほうが傾聴に値するのだが、
なぜ数多いる学者の中からランコフを選んだのかさっぱりわからない。



結局、この本は北朝鮮を政治的・経済的・軍事的に攻める格好の口実を
与えているようにしか見えないのだが……ふ~む、みすずの意図がよくわからない。


悪魔の飽食(あるいは基督抹殺論)

2015-06-29 00:08:50 | 反共左翼
731部隊と言えば、森村誠一の『悪魔の飽食』を思い出す。

これは在野の研究家にもレベルの高い研究が出来ることを示した
素晴らしい作品だが、写真の誤用をしたことで一時期発禁を受けたことがある。


この時期の森村氏に対する右翼の攻撃は凄まじいものだった。
以下、公式ホームページの文章を紹介する。



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全作品約300点中、これほど物議を醸した作品はない。

関東軍第731部隊の戦争犯罪を告発したこの作品は、
元隊員から提供された写真の中にインチキ写真が混入されていた。


これを見分けることができず、グラビア写真に誤用したことから、
マスコミに袋叩きにされ、右筋からも攻撃を受けた。


抗議電話は鳴りつづけ、夜中、窓に投石された。
仕事場のドアに赤ペンキをぶちまけられ、連日、抗議の手紙や脅迫状が配達された。


右翼の街宣車が押しかけて来た。私は外出時、防弾チョッキを着た。
神奈川県警が常に護衛してくれて、県外にはなるべく出ないようにと警告された。


一時、絶版されたが、後に角川書店から復刊された。
このとき、角川書店では、まず角川社長の身辺警護対策を講じたという。

http://morimuraseiichi.com/?p=9111
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正しいことを言っているのに、些細なミスのために、
意見を封殺されるのは、昔からあったのだなと思う。



今の在特会がやってることの比じゃない攻撃。

今の右翼は、言論テロが主体になっている印象を受ける。


桜井某や西岡某のように保守系雑誌・書籍・講演で活動するタイプは昔からいたが、
最近では個人のHPやブログに特攻し、炎上を仕組む連中がいる。


こういう奴らが右翼だった場合、私はむしろ安心する。
右翼の手下が右翼。これは自然な現象だからだ。


むしろ最近、私が心配しているのは右翼の手下に左翼が混じっていることである。

日本の右傾化は左翼の右傾化。いつも言っていることだが、
右翼と大差ない言説を掲げ、左翼を監視・攻撃する左翼をチラホラ見かける。


こういう連中が左翼に向ける視線というのは尋常ならざる敵意に満ちていて、
ちょっと考えられない行動を取ることもややある。


本人たちは「ワイらが新しい左翼や!」といきまいているが、
どう見たって、これは右翼の用心棒というか操り人形だ。


よく共産党の意見を「反対のための反対」と揶揄する人がいるが、
彼ら反共左翼は「賛成のための反対」を行っている。


安保体制を維持させるための護憲とか、軍事協力のための日韓友好とか、
新自由主義を続行させるための小泉構造改革批判とか。要するに部分的な反対しかしていない。


こういう左翼のお面を被った右翼は、それなりに信者がいて、
最近では、吹き替え内容を捏造したことがバレた池上彰とかが顕著だが、
彼らは以前から結構、あんまりな主張をしているのだが、あまり責められることはない。


逆に彼らを批判する人間が森村氏のように、
小さな間違いをネタに、大きな正しさを否定されてしまっている。


そういうわけで、支配者層にとって、御用組合ならぬ
御用学者・知識人である彼らほど優秀な弾除けはないだろう。


植民地の歴史を紐解くと、必ず現地に協力者がいて、個人的な褒美と引き換えに、
侵略者の代わりに彼らが同族を攻撃し、時には支配さえしているが、
それと同じものを感じる。卑劣さで言えば、彼らのほうが性質が悪い。



ヘイト・スピーチに反対するのは正しいのか?

2015-06-16 00:03:58 | 反共左翼
昨今のヘイト・スピーチ論を見ると、どうも腑に落ちない点がある。

まず、メディアの責任を問わないものが多いこと。
例えば、安田浩一の『ヘイト・スピーチ』だが、この本は文芸春秋から出版されている。


同社から出版された右翼本をもとにして、
今日の嫌韓・反中思想が醸成されたと言っても過言ではない。

例えば、南京事件はなかっただの、強制連行は幻だっただの、
その手の歴史改ざんは文春、PHP、ワックのお家芸である。

右翼は、この手の本を読み、
「日本は悪くないのに韓国や中国は汚名を着せてくる。けしからん!」
という反応を見せている。


つまり、安田は爆弾売りから金をもらいながら
爆弾テロを非難しているような矛盾した行動を取っている。




しかも、安田は櫻井よし子や渡辺昇一、西岡力、鄭大均などの
史実改ざんを以前からしてきたネオナチたちには一切批判していない。




結局のところ、これは良い中毒者と悪い中毒者があるのだと言っているようなもので、
麻薬の密売を正当化させる危険な思想だ






では、櫻井らと在特会は、そこまで質的に異なるのだろうか?
次の櫻井よし子によるヘイト・スピーチ批判の文を読んでみよう。



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櫻井よしこ氏 ヘイトスピーチは日本人の誇りの欠如が原因




外国人を受け入れる日本人の側には「外国から来た人に幸せになってほしい」
「充実した良い生活を送ってほしい」という気持ちを持つことが求められます。



言い換えれば、本来日本人が持つ親切心や思いやり、寛容さ、
そして美徳を私たちもしっかり身に付けておくことが必要です。
私たちが「日本らしさ」を持っていないと、彼らにそれを伝えることはできません。




最近、在日韓国人や在日朝鮮人に対するヘイトスピーチが問題になっています。



残念ながら日本人としての誇りや道徳が欠如していることの表われだと思います。
根拠なく日本に罵詈雑言を浴びせ続ける中国人や韓国人と同じことをするとしたら、
彼らと同じレベルに落ちてしまうことを自覚すべきです。


以下
http://www.news-postseven.com/archives/20140523_255470.html
(SAPIO2014年6月号掲載)
----------------------------------------------------



根拠なく罵詈雑言を浴びせるというが、これはヘイト・スピーチにあたらないのか?
根拠があるのに「罵詈雑言」と無視を決め込んできたのが櫻井たち極右だ。


この点においては、櫻井は在特会と全く変わらない。
櫻井たちの言い分をベースに在特会の主張が作られたのだから当然である。




中国人や韓国人を日本人より下等な国民とみなし、
彼らと同レベルになるからやめろという「お前が言うな」的発言を櫻井はしている。



ハッキリ言って、言い方がマイルドかストレートかの違いだけで、
主張自体に両者に差はないのである。おまけに、在特会と比較すれば
マイルドというだけで、客観的に見れば櫻井の発言は十分、差別的なものだ。



このように、ヘイト・スピーチに反対するだけなら
極右にもできるし、現に櫻井よし子、小林よしのり、橋下徹などの
極右たちは、ヘイト・スピーチに反対し、無関係を装う小細工を弄している。



文芸春秋の反ヘイト・スピーチ本もその一環だろう。



このような欠点に加えて、反ヘイト・スピーチ本の大半は、
現民主党議員の有田芳生氏を異様に持ち上げ、評価しているが、
彼は1999年から櫻井ら極右と協力して北朝鮮を攻撃し続けてきた男である。




現在のヘイト・スピーチは、
「北朝鮮は非道い国だ。在日は北朝鮮の手先だ。けしからん!」
という理由で行われることが多い。


つまり、有田が極右と一緒に展開してきた過剰な北朝鮮バッシングによって、
今日の非常に攻撃的な差別思想が育まれたと言っても過言ではない。




この点について、反ヘイト本はスルーしている。
また、韓国へのヘイトには反対する一方で、北朝鮮バッシング本は無視している。



北朝鮮バッシング本には、私が指摘しているように、
非常にいい加減、それも韓国の謀略機関の情報をもとに論じたものも多く、
というか、それがほぼ全てで、質で言えば、つくる会の教科書と大差ない。


しかも、これらバッシング本は右翼だけでなく、
大月書店などの左翼の出版社からも売られているのだから、非常に問題だ。



要するに、有田や辛淑玉の意見は、
韓国と日本は仲良くして北朝鮮と戦おうぜ!というもので、

日本の植民地支配の反省や
戦後の冷戦体制(特に戦後韓国の軍政)の批判から生まれたものではない。





このように、反ヘイト・スピーチ論にも問題点はかなりあり、
単純に反ヘイト=正義とは決め付けられないのだ。



ヘイト・スピーチに反対するだけなら極右にもできる。
問題は植民地主義が日本でも韓国でも継続して今に至るということを知ることだ。


この辺を抜きにして差別に反対しても、あまり大きな成果は得られないだろう。

リテラの頓珍漢な芸能人批判記事

2015-04-20 01:11:53 | 反共左翼
デジタルニュースサイト「リテラ」は、ネトウヨには左翼サイトとなっているようなのだが、
私に言わせれば、このサイトは、せいぜい中道といったところで、左翼でもなんでもない。


まぁ、岩波・朝日といまや反共左翼は保守派の学者や知識人とつるんでいる始末だから、
そういう意味では、左翼かもしれない。私にとってはニセ左翼だが。


さて、そんなリテラが面白記事を載せていた。

安倍首相の花見会に太田光が! ももクロも春クリも…みんなあっち側にいってしまった

太田光や、ももクロが「安倍首相と見る花見の会(笑)」に参加して
安倍のご機嫌取りを務めたことがよっぽどショックだったらしい。


が、私に言わせれば、ももクロが左翼のように書かれるのは心外だ。

ももいろクローバーZ(長いな…)と言えば、あの三十路の若者にして
百田の永遠のゼロを絶賛した右翼の古市憲寿と対談するような連中だ。

もちろん、この対談は古市が指名したのだろうが、
その内容を読んでも、基本的な歴史的知識が彼女らにあるとは思えない。


例えば、「日本が終戦を迎えた日はいつか?」という問いに、
有安杏果の回答は「1038年11月」、高城れには「1975年か1973年?」。

「当時、日本と同盟関係にあった国はどこか?」という問題に対し、
百田夏菜子と佐々木彩夏、高城は「アメリカ」と回答。

百田は「アメリカとは仲良かったんじゃないの?」
「なんかアメリカが日本にご飯をくれるイメージがあるんですよ」と、
この段階ですでに、反米保守のオジサンたちが怒り狂わずにはいられない発言を口にしている。


(http://news.livedoor.com/article/detail/7952693/)


この記事を書いたエンジョウトオル氏は、なぜか連中を反戦主義者にしたいらしいが、
本当の反戦主義者(…というか一般常識として)なら、終戦の年ぐらい知ってるだろう。



戦争は良くない、差別は駄目。これぐらいなら誰でもいえる。
実際、日本の右翼は平和や平等、差別撤廃をうたいながら中国や韓国を攻撃し、
その具体的手段として歴史改ざん、人種差別発言を連発してきたわけである。


私が知っている本当の左翼サイトでも、「差別は良くないです」といいながら、
「日本人が中国や韓国から反日行為を受けている」とブーブー言ってる輩がよく喧嘩を売っている。



一般論では、誰だって戦争や差別には反対する。
問題は、それが具体的に日本人が関わる話になったさい、どう動くかだ。


こんな一般常識すら知らないハッキリ言って馬鹿な連中に
エンジョウ氏はどんだけ期待していたというのか。まったくもってアホくさい話である。

日本の左翼はイランやキューバを守れるか

2015-04-16 00:09:09 | 反共左翼
先日の「世界」(岩波書店の雑誌)の内容を読んでも、
どうも日本の左翼は平和や人権をうたっておきながら、
眼前の大国による侵略行為に対して批判をするどころか積極的に支持さえしてしまうような気がする。


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イランとロシアの国防大臣が、ロシアの対空ミサイルシステムS300の
イランへの供与に関する対立を解消することで合意しました。


ファールス通信によりますと、
イランのデフガーン国防軍需大臣とロシアのショイグ国防大臣は、
20日火曜朝、テヘランで、軍事問題に関する合意を締結しました。


この合意では、テロや分離独立派、過激派への対策、両国の利益、
地域の平和と治安の確保に向けた協力の拡大が強調されています。


デフガーン大臣は、現状において、有力なロシアと独立したイランは、
地域や世界の安定の重要な柱になっているとし、

「イランは、テロ対策において責任ある役割を果たし、
 地域の政府や国民を守り、地域の治安と安定の強化に向けて
 責任を持って行動するつもりだ」と語りました。


さらに、レバノンのシーア派組織ヒズボッラーの戦士多数が殉教した、
最近のシオニスト政権イスラエルによるシリア南部での攻撃を非難し、
「シオニストや覇権主義者が過激派テロリストを全面的に支援しているのは、
 地域や世界の安全を乱すためだ」と語りました。



また、地域の問題は、地域諸国の努力によって解決すべきだとし、
「地域の出来事に対する外部からの干渉は、状況を複雑にすると共に、
 危機を増大させるだろう。世界的な決意により、過激派、暴力、テロを根絶すべきだ」と述べました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/5
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ロシア下院のプシコフ外交委員長が、
「S300ミサイルシステムのイランへの移送は、戦争の勃発を防ぐ」と語りました。


フランス24が15日水曜伝えたところによりますと、
プシコフ委員長はイランに対するミサイルシステムS300の移送に関するロシアの決定について、

「ローザンヌで核協議が行われ、6カ国が参加した。
 この協議でのイランの発言は、信頼に値すると判断された。
 現在、われわれはイランの核計画に関する最終合意書を作成中である」と語りました。


プシコフ委員長また、「極度に緊張した段階を経て、
現在、政治的な協議の段階に入っており、国連安保理による軍事的な制裁は、
今年末までに解除されるだろう。このような状況において、
国連安保理の制裁の解除後、イランに対するロシアの武器移送は、違反行為とはならない」
と述べました。



さらに、「S300ミサイルシステムの移送は、政治的な協議と矛盾しない。
アメリカや中東諸国の一部の党派には、常にイランに対する
軍事攻撃の脅迫を提示しようとする人が存在する。
もしイランに対する軍事攻撃が行われれば、それはローザンヌの枠組み合意と、
政治的な話し合いの終わりを意味する」としました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/53871
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外国のインターネット・ユーザー達は、
イランに対するS-300ミサイル供与禁止をロシアが解除したことについて、
積極的に自分達の意見を書きこんでいる。

彼らは、プーチン大統領は、
今回の決定によりイランに対する軍事行動を阻止したと指摘している。



新聞「Washington Post」の読者らは
「イランはロシアの武器を購入する権利を有している。
 なぜなら、この国は、米国そしてイスラエルの脅威にさらされているからだ」との考えを示した。

あるユーザーは
「イランは、このシステムを必要としている。なぜならイスラエルは、
中東の近隣諸国を爆撃し急襲するため定期的に飛行機を飛ばしているからだ」と書いた。


又多くの読者が「プーチン大統領は、その行動によって、
地域の軍事紛争を阻止し、地域の軍事バランスを維持している」と評価した。



新聞「The Wall Street Journal.」のコメントの中で、
ユーザーのJohn Geddie氏は「そうすることでプーチン大統領は、
イランに対する軍事行動の可能性を葬った。S-300は、
世界最良の地対空、対ミサイル・システムの一つである」と書いている。



さらにCNBCの読者は、米国の対外政策のレトリックのダブルスタンダードを指摘して
「ロシアあるいは中国が他国に武器を売ろうとするといつも、
ホワイトハウスはあらゆる悪意を持って妨害するが、
自分達が他国に武器を売るときは『すべて合法的だ』と済ましている」と指摘した。



ユーザー達は、自主的で米国に依存しない
外交政策実施を恐れないプーチン大統領の個人的資質を高く買っている。


例えばAFPのある読者などは
「プーチンだけが、オバマの鎖を締めている。それはなぜか?
 彼はオバマを恐れていないからだ」と書きこんだ。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20150415/198627.html#ixzz3XOK8x4gt

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恐らく、上の対空ミサイルに関する一連の動きについて、
岩波系の知識人は「軍拡競争が始まった!」と騒ぎ立てる一方で、
イランに対するアメリカ・サウジ・イスラエルの封じ込め運動については触れないだろう。


あるいは、アメリカやイスラエルの威嚇行為を指摘する声に対しても
「イランの全体主義体制を正当化させる方便」とみなして聞き流すだろう。



今回のキューバに関する岩波のそれは、まさにそうなっている。
2015年3月・4月号のキューバに関する記事は、まさにそういう内容だった。



既存のフィデル・カストロ体制を全否定した上で、
ラウル政権を幾分、褒め、アメリカの言うことを聞いて「民主化」することを願う。


雪解けやペレストロイカ、冷戦終結時の態度と全く同じ。



非西欧型社会を散々にこき下ろし、頑迷な全体主義国家が
民主化してくれることを喜ばしく思うという「こちら側」の問題を省みない態度。


非西洋国家の「自省」と「変革」を喜ぶこの態度。


どことなく、南米・アフリカ大陸の先住民を野蛮と決め付け差別し、
現地の有力者により西洋化すると「文明化した」と大喜びする侵略者を思い出させる。



『はだかのソ連』という本が1961年に毎日出版社から出版されたことがある。

スターリン政権を地獄の日々と形容し、ソ連の民衆を被害者として美化したのち、
フルシチョフ政権のソ連は今までと違う新しい社会を築くだろうと評価している。



これと同じことが世界の先月号で書かれていていた。
いわく、フィデルカストロの政権は頑迷に社会主義政権を固持していたが、
柔和なラウルが音頭を取るようになったことで、キューバも新しい社会になるのだとか。


ペレストロイカの時も、それまでのソ連の行為をこれでもかと非難して、
これからはゴルバチョフが何とかしてくれるから大丈夫だという意見が結構あった。



彼らは冷戦終結後、やはりソ連の今までの努力を全否定し、
これからは新しいロシアになるであろうというお決まりのパターンを取った。



要するに、彼らがしていることは支持の仮面をかぶった糾弾なのである。
一見、支持しているように見えるが、実は敵国の批判がメインになっている。


こういう見解は、実のところ、現地の国民にとっては大変な侮辱である。


「雪解け」という小説を1954年に書いたソ連作家イリヤ・エレンブルグは
 大祖国戦争(第二次世界大戦)が終わったとたんに、手のひらを返した
 西ヨーロッパの役人、知識人に対する恨みつらみを手記に書いている。


彼はスターリンの死後にスターリンを批判し始めた最初の人間の一人だが、
スターリン政権時のいくつかの過ちを認めても、それを根拠に
自分たちが今まで参加した活動すべてを否定されることに対しては激しく怒っているのだ。


というのも、彼はソ連の芸術派遣員でもあったため、海外の文化人や政治家と接触し、
あるいは海外のメディアが自国を甚だしく攻撃する様子を熟知していたからだ。


スターリン政権時にソ連を訪れ、ソ連への礼賛者から批判者へと転向した
アンドレ・ジイドに対する彼の口調は非常に厳しい。こういう感情は、
まるで壊れた玩具をゴミ箱へ投げ捨てるような真似をする他国の反共左翼には理解できないだろう。


東ドイツの元国民の中にも、東ドイツ全否定論に対して、
「いや、不自由な面もあったが、それなりに幸福な暮らしが送れた」と反論する人間がいる。

東ドイツの政権に対して不満はあったものの、それでも東ドイツならではの
生活や文化を楽しんでいた人々も大勢いたのである。それが西ドイツに吸収された途端、
東側の価値を否定して生きていかなければならなくなった。このアイデンティティの喪失を
取り上げ、西ドイツのあり方を批判した人間の一人が先日亡くなったギュンター・グラスだった。


要するに、彼らは彼らなりに国づくりに参加していたわけだ。
現在の日本も、不完全な選挙制度や投票率の低さから、必ずしも民意が反映された
結果にはなっていないわけだが、それを理由に戦後日本および戦後左翼の軌跡が全否定され、
アメリカに首を垂れ、アメリカ型の経済方式に改造するのが正義だと言われたら腹を立てるだろう。


不思議なことにキューバがアメリカに頭を下げ、市場化するのを喜ぶ連中は、
自国がアメリカに頭を下げ、市場化することに対しては断固反対の姿勢をとっている。


これは実に奇妙なことだ。アメリカが80年代以降、日本に強いているのは
国営企業の民営化と規制緩和だ。要求は同じなのに、なぜ日本は駄目でキューバは良いのだろう?


「これまでは最悪の地獄の国だったが、これからは天国になるぞ」という言い方は
 既存の国家の全否定(それはアメリカやヨーロッパのプロパガンダの全肯定でもある)
 を前提にした発言で、相対的あるいは絶対的に欧米型国家が非欧米型国家に勝る、
 非欧米型国家は野蛮な全体主義国家であるという蔑視に基づいた発言である。

 この種の蔑視が誰にとって都合が良いかは言うまでもない。


ついでに言うと、この手の意見はイランやキューバ、ロシア、中国、北朝鮮などの
非欧米型国家については、十分なページ数をかけて執拗に攻撃した後、
申し訳程度にアメリカやEU、NATOについてチョロっとたしなめて中立を気取る。



こういう老人に冷水をかけた後、マッチ一本をよこすような行為が
本当にアメリカやヨーロッパの帝国主義を抑止するのだろうか?


私はそう思わない。


少なくとも私は、国交正常すらネタにして、これまでのキューバの軌跡を
全否定し、「社会主義の失敗」と断定し、市場主義の部分的導入を小躍りするような行為は
左翼というよりは、現地の資本を収奪しようとするハゲタカ連中と同類に見える。

元反プーチン派の塩原俊彦氏、共産党をアホの塊という

2015-03-03 00:19:26 | 反共左翼
久々に強烈な反共左翼が登場した。

-------
高知大学の教授で、昨年末に刊行された「ウクライナ・ゲート」の著者、
塩原俊彦氏は、ラジオ「スプートニク」の独占インタビューで、
なぜ近い将来に状況の改善を望むのは無意味なのかについて、次のように語ってくださった。


「今、日本では悪い時代に入っていて、安倍晋三っていうのが首相をやっていて、
 国が力をつけていて、自由民主党が支配をしていて、なかなか変わりそうもない。

 民主党もだめだから、自民党がこれから日本の政治を10年、20年と
 支配していくだろうと思っている人がたくさんいると、国家のことを批判できないでしょう。

 日本国を批判できないということは、イコール米国も批判できない。
 でも10年前には自民党もたいしたことなくて、社会党、民主党が
 一応力をもちつつあって、米国を批判したって、別にどってことなかったんですよ。」


SPUTNIK:ところで、いま日本の共産党はどうですか?何かを行う力を持っていますか?


「是非知ってほしいのは、日本共産党なんてアホの塊なんですよ。
 その本の中に名前を入れて書いておきましたけど、
 日本共産党のトップは志位 和夫(しいかずお)は日本の国会で安倍首相にむかって、
『日本はもっと厳しいロシアへの制裁を加えなければいけない』と質問しているわけですね。
 わかります? 志位などという共産党のトップがですよ。
 ロシアが悪いからもっと厳しい制裁をしろって、言うんですよ。
 国会で首相に。日本共産党って、もっとロシアについて詳しく
 研究するブレーンがついていなければならないと思いますけど、
 これではいかに馬鹿か、本当に何も知らないか、これでわかるでしょう。」

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2015_03_02/283156574/
---------------------------------------------------------

『ウクライナゲート』立ち読みしたが、買うまでには至らなかった。
 本当に買わなくて良かったと思う。


さて、ここで考えてほしいのだが、
今から10年前の2004年や2005年の小泉政権時代、
自民党は大したことがなかったのだろうか?





むしろ、この頃は小泉旋風まっさかりで、自民党の天下だったのではないだろうか?
2005年の衆議院議員選挙では、自民党の圧勝、小泉劇場という言葉まで作られていたのである。

(民主党が台頭してきたのは、その後の第1次安倍政権、福田政権、麻生政権からであり、
 この頃は62議席も落としていた。共産党も今よりも少ない議席数だった。

 唯一、社民党がまだ7議席獲得しており、現在の2議席とは大きく違っていた。
 もしかして社民党の議席数を基準に考えているのだろうか?)

小泉政権といえば、思いっきりわかりやすい親米政権で、
イラク・アフガン戦争を支持し、米軍を支援する法律まで作った。

つまり、10年前と言えば、アメリカに続けとばかりに対米従属政策をとっていた頃であり、
なにをもって塩原氏がこの頃を懐かしんでいるのかさっぱり理解できないのである。


第二に、共産党を含めた左派野党は10年前から米国を批判していたし、今でもしている
というよりも、共産党のお家芸はアメリカ批判である。アイデンティティのようなもの。



塩原氏はアメリカを批判しない=ロシアを批判する
という妄想に陥ってはいないだろうか?




共産党がロシアに敵対するのは、60年代前半からソ連共産党と絶交し、
対立してきた歴史があるからだ。

それは、一応関係を改善した冷戦終結以降も変わらない。



そして、私が塩原氏について思うことは、
自分だってロシアの悪口を書いてただろ
ということである。


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二〇〇八年のグルジア侵攻、九九年から一〇年間続いたチェチェン戦争など、
プーチン以降のロシアは再び「軍事大国」への道を猛進しているかのように見える。

しかし深刻な経済危機の中で、難航する軍改革、ハイテク化の進まぬ非効率な巨大企業を多数抱え、
国際競争に遅れをとる武器輸出など、その抱える課題は深刻だ。

現在、急速に再統合化が図られ、国家管理の下に置かれつつある
ロシア軍需産業の実態と問題点を、豊富なデータから読み解く。

~「軍事大国」ロシアの虚実(岩波書店、2009年)紹介文より~



最後に本書の表題になった「プーチン2・0」についてであるが、
これはもちろん、今年3月に実施されるロシア大統領選挙でプーチンが
勝利するであろうことを既定事実として表現しているのである。

著者によれば、権力者自らが腐敗している場合、一方では反腐敗の旗振り役にもなりうる。
腐敗との闘争を看過すれば、権力者自身が国民から見放されるからだ。



プーチンそのものが腐敗していると断定する著者には、
プーチン自身が自らを厳しく律する姿勢を求めることに留まって、
本質的に反腐敗政策に期待を寄せてはいない



つまりロシアの、プーチンの腐敗の問題解決は
外部からの、
外国からの監視や批判を不可欠とする
というのだ。

~プーチン2.0―岐路に立つ権力と腐敗(東洋書店、2012年)書評より~
(http://chikyuza.net/archives/18850)

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なんのことはない、つい3年前まで
いかにプーチンが悪党であるのか、プーチンが大統領になればお先真っ暗になるのか、
外国による監視が必要であるのかを力説し、そういう本ばかり乱発していたのは
他ならぬ塩原氏だったのである。

現在のウクライナ情勢に関する欧米メディアのプロパガンダは、
まさに彼の言説と全く同じものである(プーチンの悪魔化とロシアの監視の主張


注目すべきはグルジアへのロシア軍進軍についての説明であり、
これはグルジアが南オセチアを軍事進攻したのに対して反撃した事件なのだが、
いかにも悪の帝国ロシアが正義の国グルジアを痛めつけたかのように書いている。
(これも当時の欧米メディアと同じ見解だ!)


塩原俊彦教授は
ガチガチのロシアバッシング大好き人間だったのだ。



それが、どういう経緯か知らないが去年から急に親ロ派に転向し、
「ロシアをいじめるなんて許せない~」とブチ切れている次第である。


私も共産党のウクライナ問題に対する姿勢は散々批判してきたが、
こういう下劣なコメントをした覚えは少なくともない。


というか、この相手を見てコロコロ態度を変えるところ、人間として非常に見習いたくない。

こういう状況次第で自分の手のひらをクルクル返せる方の言うことに
どれだけ信憑性があるのか、非常に疑わしいものである。


ウクライナ問題についてはロシア・トゥデイを初めとして、
情報はいくらでも収集できるし、ポール・クレイグ・ロバーツ氏をはじめとする
優秀な分析者がいくらでも海外にはいる。大変失礼だが、塩原氏はいなくても困らない。

むしろ、足を引っ張るだけなので、出てこないでもらいたいのだが…(無理なんだろうなぁ)

人質事件と共産党3

2015-02-03 21:30:09 | 反共左翼
事件に対する日本政府の軽率な行為や、
同事件を口実にした軍拡の動きに対して、いよいよ本格的な抗議が国会で始まった。


日本政府が人質事件で取った行動を赤旗が
時系列順に整理していたので、以下に紹介したい。


---------------------------------------------------
昨年8、10月に把握


湯川さんと後藤さんの殺害警告がインターネット上で確認されたのは、今年1月20日午後です。
しかし、政府はすでに昨年、2人が拘束されていたことを把握していました。



「イスラム国」関係者は昨年8月中旬、湯川さんを
シリア北部アレッポで拘束したことを示す動画を流し、政府もこれを確認しています。


安倍晋三首相は1月27日の衆院本会議の答弁で、
昨年8月17日、官邸に情報連絡室を設置し、
同年11月1日に後藤さんの件を連絡室に追加したと明らかにしました。


また、菅義偉官房長官の説明によると、
昨年10月末、後藤さんがシリア北部で行方不明になったとしています。


(1月21日の記者会見)



加えて、後藤さんの妻によれば、昨年11月から
「イスラム国」によるとみられる脅迫メールが繰り返し送られていました。



つまり、「イスラム国」による日本人人質事件は、
昨年から数カ月にわたって続いていたのです。



このことから、殺害警告が出された1月20日以降だけでなく、
昨年8月中旬以降の全過程について、政府がどう対応したのか検証の対象にする必要があります。


「人命第一」だったか


安倍晋三首相は殺害警告が出された1月20日、
「人命第一」で対応するよう指示しました。


しかし、昨年8月以降の対応を見ると、
本当に「人命第一」だったのか、
疑問が浮かび上がってきます。




まず、政府は湯川さんが「イスラム国」に拘束された疑いを持っていながら、
9月以降、米軍など「有志連合」による
「イスラム国」への空爆への理解を繰り返し表明してきた
ことです。




米軍が空爆を開始した昨年8月から9月にかけて、
「イスラム国」は対抗措置として、
米国人、英国人の人質を相次いで殺害しています。

その最中に日本政府が空爆を後押しすれば、
湯川さんらにも危害が及ぶ可能性は当然想定されたはず
です。



「人道支援」といえるか


さらに重大なのは、2人の拘束情報を把握していながら、
安倍首相が今年1月16日から21日まで中東訪問に踏み切り、
「イスラム国」への対抗姿勢を強調したこと
です。




首相は1月17日、カイロで行った中東政策演説で
「地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISIL(イスラム国)
とたたかう周辺各国に総額で2億ドル程度、支援を約束します」と表明しました。



「イスラム国」による後藤さん、湯川さん殺害警告の映像が確認されたのは、
その3日後となる1月20日です。


犯行声明では、首相の“2億ドル支援”を「イスラム国」攻撃のための戦費ととらえ、
同額の2億ドルを2人の人質の身代金として要求しています。



犯行声明が出された日、安倍首相は、パレスチナへの残虐行為を繰り返し、
イスラム教徒を敵に回しているイスラエルに滞在していました。




「イスラム国」は、このタイミングをとらえて
首相演説を殺害警告の口実に用いたことは明らかです。




首相は殺害警告後の記者会見で、2億ドルは「人道支援」だと説明しました。
しかし、カイロ演説の該当部分に「人道支援」の文言は見当たりません。



それどころか、「ISILの脅威を食い止めるため」だと述べています。(別項)



これは、「人道支援」に関する国際原則に反します。


外務省も

「国際的に、人道支援の基本原則は、

(1)人道原則
(2)公平原則
(3)中立原則
(4)独立原則の4つが主であり、

我が国もこれらの基本原則を尊重しつつ人道支援を実施しています」

(同省ウェブサイト)と説明しており、
「イスラム国」とたたかう国々への支援を
「人道支援」だというのなら、政府方針にも反します。



イスラム法学者の中田考・同志社大学元教授は、
「イスラム国と周辺国との戦闘で発生した避難民への支援を本気で行うのなら、
赤新月社(イスラム教国の赤十字社)を通じて行うべきだ」と指摘しています
(1月22日、外国特派員協会での記者会見)。



不用意な対応


これ以外にも、後藤さん、湯川さんが拘束されている最中に、
「イスラム国」が米国などと同様に敵視しているイスラエルとの
軍事協力強化(1月19日の共同報道発表)を打ち出す
など、
不用意といわざるを得ない対応が見られます。


これら全体をしっかり、
検証すべきです。




首相は2日の参院予算委員会で、一連の中東訪問について、
「テロリストの意思をいちいち忖度(そんたく)しない」と釈明しました。


これはあまりにも乱暴な発言といわざるをえません。



1月17日の安倍首相演説(抜粋)


イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、
ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。


地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILとたたかう周辺各国に、
総額で2億ドル程度、支援をお約束します。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-03/2015020303_02_1.html
-----------------------------------------------

政府の問題点、一言でいえば、
安倍首相の積極的平和主義という名の軍拡の誤り
(テロリストを過度に挑発する)を暴露・指摘した良い記事だと思う。



付け加えれば、安倍は偉そうに語っているが、中東・アフリカ訪問で彼が
実際に積極的に行っているのは、軍事ビジネスの営業と原発輸出である。

(加えてヨルダン渓谷開発事業などのハコモノの参画。
 一言でいえば、イスラエルの軍事・経済支援




これが果たして現地の日本人を
テロリストから守るために役に立つかどうか、御一考いただきたい。












ここからは、本当にどうでもいいことなのだが、

この記事が書かれるまでに一部の平和主義者は、
事件が解決される前の時点で共産党が批判を一時控えたことをもって、
「弱腰」「国民を見捨てるのか」と随分と強気な発言をしていた。



特に、
「共産党も大本営の軍門に下った」
「共産党は昔から”隠れ大本営”だったのではないだろうか?」

という発言には、「おいおい」と思わざるを得なかった。


同党が政府に対して、抵抗姿勢を維持しているのは、
上の紹介記事からも歴然だが、


その後も「早合点でした」という訂正記事は書かれていない。


こういう徒に敵意を煽るような真似は結果的に自身の記事の信ぴょう性も
損ねることになりはしないかと心配している。まぁ、本当におせっかいでどうでもいい話だが。

人質事件と共産党2

2015-02-03 00:04:46 | 反共左翼
前の記事で今回の事件をネタに、「国民を売った」「弱腰」と
あたかも軍拡を左派政党が容認したかのような言説に対して批判を行った。


実際、その後の党の見解を読むと、やはり彼らの意見は違うのではないかと思う。

--------------------------------------------------
日本共産党の志位和夫委員長は1日、
過激組織「イスラム国」による日本人人質事件で、
フリージャーナリストの後藤健二さん(47)が殺害されたと
みられる動画がインターネット上に公開されたことについて、声明を発表しました。



一、湯川遥菜(はるな)さんに続き、ジャーナリストの後藤健二さんが、
過激武装組織「イスラム国」によって殺害されたとする映像が明らかになった。

いかなる口実をもってしても許されない残虐非道な蛮行であり、深い憤りを感じる。
無法なテロ行為を、怒りを込めて断固として糾弾する。
ご家族・関係者のみなさんに心からのお見舞いを申し上げる。


一、いま求められているのは、国際社会が結束して、
過激武装組織「イスラム国」に対処し、国連安保理決議2170
(2014年8月)が求めているように、外国人戦闘員の参加を阻止し、
資金源を断つなど、孤立させ、追いつめ、武装解除と解体に追い込んでいくことである。
日本政府の外交も、こうした方向に資するものとなるべきである。


一、こうした悲劇を繰り返さないためにも、
この間の日本政府の対応について、冷静な検証が必要である。


政府は、2人の日本人が拘束されてから今日にいたるまで、
政府がとってきた対応について、検証にとって必要不可欠な情報を、公表すべきである。



一、安倍首相は、今回の事件にかかわって、
米軍などによる「イスラム国」への空爆などへの自衛隊の支援が「憲法上は可能」とのべ、
「邦人救出」を名目にした自衛隊の海外派兵のいっそうの拡大の検討を表明している。


テロ集団による蛮行を機に、
「海外で戦争する国」づくりを
推進するという動きは、断じて認められない。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-02/2015020201_01_1.html
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このように、共産党は日本政府の対応について検証を行うこと、
加えて、邦人救出を口実にした軍拡に断固反対の姿勢をとっている。


これは昨日の日曜討論での山下芳生氏の言葉からも明らかである。


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海外での人道支援・日本人救出
事件口実の「海外で戦争する国」づくり推進は許されない



安倍晋三首相が「イスラム国」対策で日本政府の対応を
「人道支援」と強調していることについて
自民党の谷垣禎一幹事長は「それは当然のことだ」などと述べました。



山下氏は次のように発言しました。

山下 

人道支援、非軍事分野といいながら、
安倍首相は今回の事件を契機に
「海外で戦争する国」づくりを
いっそう推進、拡大しようとしています。
これはきわめて重大だと思っています。



例えば先週のNHKのインタビューで首相は、
「有志連合」による「イスラム国」に対する軍事行動への支援について
「憲法上は可能だというのが、われわれの考えだ」とはっきり答えました。


そうなりますと、
米軍の空爆を自衛隊が支援することも憲法上は可能だということになります。
憲法9条の下でそんなことは絶対に許されない。


私たちは、集団的自衛権の行使というのは、
アフガン戦争やイラク戦争のような戦争で
自衛隊がこれまでの「戦闘地域」まで行って、
米軍と肩を並べて軍事行動すると、
ここに一番の危険があると指摘してきましたけれども、
今回の事件を機にいよいよその危険性が浮き彫りになってきたということです。

憲法破壊の暴挙を止めるために、国民とスクラム組んで、
この点ではがっちりストップをかけていきたいと思っています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-02/2015020204_02_0.html
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一部の平和主義者は、人質事件の最中に与党批判しなかったことをもって、
左派政党を、ある意味与党以上に手厳しく叱ったわけだが、
今後、自分たちの誤解を訂正するだろうか?しないと思う。