ミホんち

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今月の一本

2022-11-23 09:01:08 | 映画・テレビの話
 いい夫婦の日ですからね、映画館に行ってきました。嘘です。夕方のニュースで気づいた11月22日。ご飯時間に「いい夫婦の日おめでとー」と言っておきました。うふふさんに貰った東宝年内有効のチケットがもう一枚あったので(もう一名分はU‐ネクストのポイントで調達)よさげなの探してるとこでした。12月になって行こうかと思ったら上映回数が23日からは一日2回に減ることを知り急遽22日のうちに。一日5回やから好ましい時間帯がある。

 

 「ある男」 2022年 日本 ★★★と半分 いや4つでもいい

 監督 石川慶
 主演 妻夫木聡 窪田正孝 安藤サクラ

 シングルマザーとなり故郷宮崎に帰ってきた里枝(安藤サクラ)は大祐(窪田正孝)と出会って再婚するが数年後に事故によって大祐は亡くなる。一周忌に訪れた大祐の兄が遺影の写真は弟ではない、と断言し、そこから大祐とは誰なのか?夫は誰であったのか?を弁護士城戸(妻夫木聡)の調査の元で探し始める。大祐(仮)の人生を掘っていく城戸であるが、それは思いがけず自身の出自や家族との関係をも掘っていかなくてはならなくなる。

 原作は平野啓一郎2018年発表作品である。芥川賞を受賞した「日触」は挫折したオッチャンがその後の作品は割と読んでおり、これは面白かったでと言うので去年読んでおりましたんよ。何と心をえぐることよ。。。と感じ入った「ある男」だけど、映像化って難しいんやないかと期待と心配の中を見始めた。ああ、そうそうと思ったり、あれ?そうだっけと忘れてたり。

 冒頭の絵画はマグリットの「複製禁止」という絵だそうだ。ここからして実に深い。主演の3人はむろん上手い(朝ドラの「エール」と「まんぷく」が並んで一瞬笑う)んやけども、眞島秀和・柄本明のうさんくささや俗物さの配置がうますぎまして。物語の我ら普通人の想像を超える展開の中、俗物さに助けられもする。

 人は自分の持って生まれた(生まれてしまった)人生を全く違う地点に置いて生きていけるのだろうか。全く違う地点に変えたいと思うほどの辛さをどう越えればいいのかというギリギリな思いを想像するだけの度量は私にあるのか。人生を取り替えたいと思ったことはないけれど失敗したことややり直したいことはいくつもある。しかし、それは人生の別フォルダに置いておきたい。私の人生は私がかいていかなくてはいかんのだ。上書き保存したって完全に削除することはできない。

 2022年の終わりにあたり、ちょっと1年や生き方を振り返ってみようかという向きにお勧めします。音楽も良かったよ。映画見てから原作読んだら少しガッカリとか(例えば[砂の器])原作読んでから映画見たら違和感アリアリとか(例えば[後妻業])多いけど、本作はどちらも胸にしみます。
 
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