ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

トキの放鳥におもう

2009-03-12 09:36:03 | 保全生態学
 最近のニュースでは、佐渡で放鳥したトキが本州に渡ってきたという話題でもちきりですね。トキをきっかけに自然のことに目を向けてくれる人が多くなるのは喜ばしいんですが、僕はこういった放鳥にたいして複雑な思いです。
 まず、トキの放鳥というのは、保全生態学では再導入と呼ばれるものにカテゴライズされます。再導入とは、野外で絶滅した種をもともと住んでいた地域に再び定着するように試みる行為のことです。具体的には別の生息地から絶滅した種を持ってくることなどです。トキの場合、日本ではすでに絶滅しており、現在のトキはすべて中国産のペアを繁殖させて増やしたものです。
 外来生物について詳しい人ならもうおわかりでしょうが、現在、日本にいるトキは外来生物です。なぜなら、中国から人の手を介して持ってきたペアの子孫だからです。ここで疑問が生じる人がいると思います。“同じ外来生物なのになぜブラックバスは駆除されてトキはそうならないのか”
この疑問にたいする答えとしては
・トキの放鳥は多くの(地域の)人に望まれている(釣り関係者くらいしかその存在を望まないバスとは違う)
・バスほど生態系に与える影響は少ないと思われる
・トキを旗頭として地域の自然再生につながる
といったものがあると思われます。
しかし、それを考慮しても僕はトキの再導入には懐疑的です。続きは今夜あたりにでも。

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