ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

口蹄疫にも口出しする熊森

2010-05-29 21:22:00 | 熊森
 先日の記事のコメント欄でwander-tさんに教えていただきました。熊森が口蹄疫対策にも意義を唱えるようです。

会員のみなさんへ   
>5月25日(火)宮崎県口蹄疫

 >宮崎県口蹄疫発生対策として、半径10キロ以内の牛や豚30万頭にワクチンを接種して、その後、全頭殺処分し、焼却などを行うそうです。この病気に感染した家畜がこれまでに約200頭出ているそうですが、だからといってこのような対策は本当に正しいのでしょうか。

 >もしこの感染力の強い伝染病が、人間の場合だったらどうするのだろうかと思わず考えてしまいました。人間なら感染者の治療に全力をあげ、隔離や消毒で感染が広がるのを止めようとするでしょう。動物なら全部殺せばいいという発想に人間として戦慄を覚えますし、このような殺処分対策に異議を唱える人が報道で見あたらないのにも、こわさを感じます。対策は一つしかないのではなく、いろいろ考えられるはずです。病気の原因はウィルスという目に見えない得体の知れないもののようですが、対策として、殺さなくてもいい方法なども検討していただきたいものです。

はぁ~(^ω^♯)ピキ(ちょっと文章に怒りが滲んでおります)
そもそも口蹄疫に罹ったら商品価値(肉にしてもウイルスのキャリアーになって感染拡大の原因になる)がなくなるうえに、ウイルスをあたりにばらまき続けるわけです。さらに、口蹄疫のウイルスは感染力が非常に強い。放っておいたら連鎖式に感染個体が増えていくんですよ。また、殺処分にしてもウイルスが流れ出さないようにするために埋立地が限定されてきます。

>動物なら全部殺せばいいという発想に人間として戦慄を覚えます

そういう幼稚な発想をする前に口蹄疫がどんなものか調べてみてはいかがでしょうか?

>対策は一つしかないのではなく、いろいろ考えられるはずです。

そんなことを言ってるんならなにか有効な代案を出してくれませんかね。安全圏にいると思って好き勝手なことを。

で、ここからが保全に関わるものとして軽率と思うこと。
口蹄疫というのは偶蹄類つまりシカ、イノシシにも容易に感染する可能性があります。このまま感染が終息しなかった場合、シカにも感染が拡がって、彼らを媒介にさらに広がる可能性もある(イノシシの場合はキャリアー(長期間ウイルスが感染すること)にはならないようです)。また、「動衛研:総説 口蹄疫ウイルスと口蹄疫の病性について」によれば、野鳥やネズミも感染拡大の媒介になるようです。そうなったら畜産を守るためにシカ、イノシシ、野鳥の駆除もありえます。それはおそらく困難を極めるでしょう。また、保全の観点からはある地域の個体群が絶滅してしまうことは好ましくない。しかし、放っておいたらまた再発するかもしれない。畜産と環境保全がどう折り合うのかまで考えて殺すなといっているのか。仮にその地域で希少な野鳥がキャリアーになっていたら熊森はどういう案を出してくれるんでしょうね?所詮他人ごとですね。

目先のことにとらわれて長期的な視野がないですね(いつものことだが)。