超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

超心理は意味論的水準にある

2008-01-24 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(10-1)>

第10章:ハーディが心物問題に意識の観点から取組む
(1)超心理は意味論的水準にある

クリスティン・ハーディによると、超心理現象は、心と物が入り組んだ
意味論的水準(ユングのサイコイド=無意識心の現実)に発生している。
物理的事象を、時空を超えた意味の次元がつむぐのだ。

超心理現象は被験者の心理的な要因に左右されるうえに、実験者効果
に代表されるように、社会的要因にも影響される。また、電磁場のような
減衰効果や遮蔽効果が見られないことから、通常の物理場が介在して
いるとは思われない。

そこでは、意味の近接、頻度、強度、関連などによって特徴づけられる
意味論的場が機能しているのだ。解明には意味の究明が肝要なのだが、
無意識に埋もれていることが、研究を難しくしているのである。


ハーディが心物問題に意識の観点から取組む

2008-01-23 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(10-0)>

第10章:ハーディが心物問題に意識の観点から取組む

クリスティン・ハーディは、意味論場理論を提唱し、心の概念と
物の概念を融合させようとしている。そのなかでは意識が重要な
役割を担っており、超心理現象もおのずと説明される。

進化のうえで意識を身に着けた我々は、複雑な情報系である
課題解決認知システムにもとづいた「共創造」によって諸問題を
解決できるのだ。

※からみあう心たち(30)で多少紹介した。


ストームによる将来展望:必要諸条件

2008-01-22 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-5)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(5)将来展望:必要諸条件

サイコプラクシア理論の必要諸条件は、因果的観点からの
精査が必要である。超心理現象のたんなる誘因を見つける
のは比較的容易であるが、絶対的な必要条件や十分条件
を見つけるのは難しい。しかし、それらが現に存在すると
特定されることこそが、科学的に期待される点である。

超心理現象が起きないグループにおいて、何らかの必要
条件が欠けているのでは、という観点で取り組むと良い。


ストームによる将来展望:順応態度

2008-01-21 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-4)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(4)将来展望:順応態度

サイコプラクシア理論の順応態度には、将来的に明確にすべき
次のようなポイントがある。

順応態度の査定法として、意識部分については尺度構成(無意識
部分については生理指標)などの方法を確立する必要がある。
また、意識と無意識の順応態度が互いに対立する場合、それらの
大きさを比較できるのが望ましい。

神経フィードバックと脳科学の手法によって、順応態度を意識する
こと、それを無意識化すること、他の順応態度と競合させること、
などを可能とする道があるかもしれない。

さらに順応態度の持続時間について考察が必要だ。順応態度が
どのくらい続くことで、目標達成するのか、興味深いテーマである。
金属曲げなどの現象で、被験者による施術を終えてもなお曲がり
続けたという、複数の報告があるが、それと順応態度はどのような
関係になっているのだろうか。


ストームによる心理学的・哲学的検討:必要諸条件

2008-01-20 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-3)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(3)心理学的・哲学的検討:必要諸条件

サイコプラクシア理論の必要諸条件の働きは、魔術的あるいは
目的論的な因果関係であるが、ドミノ倒しのような順次作動で
超心理現象が起きると描写している。ところが、その諸条件の
リストは未完であり、また目標となる課題に応じて諸条件も
異なる(さらに否定的に働く条件まである)としている。

この現状では、必要条件を完全に特定することも、理論を検証
(反証)することもできない。リラックスは超心理の明らかな誘因
であるが、リラックスしてもできない場合も多く、未知の諸条件が
特定されないあいだは、リラックスさえも必要条件と断言できない。


ストームによる心理学的・哲学的検討:順応態度

2008-01-19 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-2)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(2)心理学的・哲学的検討:順応態度

サイコプラクシア理論の順応態度には、意識的なものと無意識
的なものとが両方含まれている。ギャンブラーは、意識的には
当たりを期待しているが、無意識には金儲けに対する倫理的
抑制がかかるから超心理現象が起きない、などと説明される。

おまけに、周囲の人々の順応態度も集合的にかかわり、実験
の再現性が低くなると言う。超心理の逃避的性格(たとえば、
ケネディーの2001年JPの掲載論文)は説明できたとしても、
妥当な実験の企画につなげるには、さらに順応態度概念自体を
理論的に掘り下げなければならない。


ストームによる心理学的・哲学的検討:自己

2008-01-17 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-1)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(1)心理学的・哲学的検討:自己

自己というと、経験主体としての自我に相当する意識的部分と、
その背後に広がる精神分析の対象となるような無意識的な部分が
少なくともある。フロイトの理論ではもっと細分化される。

サイコプラクシア理論の自己は、そのような多様な概念をひとつの
「自己」と称してあいまいに扱っている。概念によって要因となる
構造は違っているはずだ。生理学で、動くことの主要要因が筋肉
であり、考えることの主要要因が脳神経であるように、究明が進む
にしたがって分離されるべきである。そうした意味で「自己」とは、
当面の作業仮説なのである。


ストームによるサイコプラクシア理論の再検討

2008-01-16 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-0)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討

ストームが、サイコプラクシア理論について、
心理学的・哲学的検討を次の点で加えている。
(1)自己
(2)順応態度
(3)必要諸条件

さらに、次の点に分けて将来展望をしている。
(4)順応態度
(5)必要諸条件


サイコプラクシア理論における必要諸条件

2008-01-15 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(8-3)>

第8章:ソールボーンのサイコプラクシア理論
(3)必要諸条件

外的なサイコプラクシアは、いつでもなんでもできる魔術ではない。
その超心理現象を発現するのに、さきの順応態度に加え、達成目標
ごとに、いくつかの必要条件がある。

たとえば、ガンツフェルトの達成には、次があげられる。
リラックスすること、ピンクノイズを聞かせること、視野を全体均一に
すること、認知的柔軟性を確立するすること、ターゲット画像を用意
すること、実験者が暖かい人間関係を形成すること、被験者が言語
化のスキルをつけること、そしていくつかの未知の条件。

PKについてヒースの知見から、あげられている条件は次である。
変性意識状態の確立、ターゲットとの心的なつながりの自覚、自我
からの解離、理性の中断、遊び感覚や至高体験、超越的なエネルギー
感、PKに向く身体状態、集中的意識、努力や注意からの断続開放、
時間感覚の変容、結果への期待、体験への開放感、体験と世界観と
の整合性、既知感、そして意図的なPKの場合はさらに、プロセスの
反応的手ごたえ、プロセスへの信頼、である。

また、PKで、逆に存在してはならない条件は、敵意ある傍観者、
いらだち、やたらな努力、分析的思考、自我意識、集中力の欠如、
お金がからむこと、ESPの使いすぎ、である。

ヒースの関連情報:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/6-3.htm


サイコプラクシア理論における順応態度

2008-01-14 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(8-2)>

第8章:ソールボーンのサイコプラクシア理論
(2)順応態度

サイコプラクシア理論では、目標に向かう順応態度を自己が
受け入れることで、超心理現象の発現に向かうとされる。

順応態度とは、端的には「何かを好ましいと思うこと」であり、
創造的意識が形成されるきっかけとなるものでもある。

超心理現象への順応態度はヒッティングをもたらすし、超心理
現象の否定への順応態度はミッシングをもたらす。一般には、
両方の順応態度が共存しており、肯定と否定の葛藤状態に
あって現象が発現しない。

超心理実験では、被験者や実験者などの大勢のさまざまな
順応態度が混在して、さらに現象が発現しにくくなる。ぎゃくに
発現を促すには、順応態度をそろえて影響力を高めるのがよい。

超心理現象のような外的なサイコプラクシアでなく、個人の
内的なサイコプラクシアでは、順応態度をそろえやすいので、
より効果が発現しやすい。


サイコプラクシア理論における自己

2008-01-13 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(8-1)>

第8章:ソールボーンのサイコプラクシア理論
(1)自己の本質

サイコプラクシア理論での「自己」は、たんなる「個人」や「生体」を
超えた意味をもつ。それは、3角形状に広く概念化されるのである。

その3角形では、底辺の一方の端に「身体」、他方に「精神」が
配置されて心身複合体を意味する。その底辺から頂点へ、心身を
超越するかたちで、頂点に配置される「純粋意識」に至る。

純粋意識は、瞑想などで体感できる忘我の境地、至高体験などを
意味する。ある種の変性意識状態で、超心理が働きやすいことが
説明できそうだ。


ソールボーンのサイコプラクシア理論

2008-01-12 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(8-0)>

第8章:ソールボーンのサイコプラクシア理論

ソールボーンが提案しているサイコプラクシア理論は、超能力
のような超心理現象を説明しようとするものである。

サイコプラクシアとは、ギリシャ語の造語で「目標を達成する
自己」といった意味をもつ。その中核となる要素は、次の4つ。
(1)自己
(2)順応態度
(3)必要諸条件
(4)達成目標

通常サイコプラクシアは内的(心身複合体内部)に働くのだが、
外的に働くと超心理現象となるとされる。


超心理学者よ恐れずに進め

2008-01-11 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-17)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(17)超心理学者よ恐れずに進め

超心理学は科学分野での立場をまだ確立していないが、その方法論
は、ときに模範になるほど厳密であり、知見も積み重なっている。

超心理学者は、真正なる特異的コミュニケーションや特異的相互作用
を適切に取り扱っている点では、自信をもってよいだろう。ただし、
その知見が本流科学に貢献する可能性が、広く理解されるまでには、
まだ時間を要するだろう。

超心理学者は恐れるあまり、貴重な機会を見失ってはならない。


超心理学者は多角的方法論で臨むべきだ

2008-01-10 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-16)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(16)超心理学者は多角的方法論で臨むべきだ

超心理学ではこれからも実験室実験が中心になるが、その結果は
被験者や実験者のみならず、時間や場所、状況などが絡まった
複雑系の現れである。だから、実験結果は、普遍的事実の現れ
というよりは、局所的な事実の現れと言わざるをえない。

超心理学は、例外的な体験にまつわる解釈学的・現象学的研究を
実証的研究に合わせて進めることで、超心理現象を多角的に捉える
ことができ、その究明に向けた前進がなされるだろう。


超心理学者は新しい世界観を積極的に取り入れよう

2008-01-08 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(7-15)>

第7章:クリップナーとヘーベルマンによる17の薦め
(15)超心理学者は新しい世界観を積極的に取り入れよう

超心理学のモデルはどれも、現在のところ概して伝統的な世界観に
のっとったものである。しかし、ポストモダンの視点を取り入れると、
よりシンプルでエレガントなモデルができる可能性がある。意識の
システム理論で、脳と心の関係や身体と精神の関係が解明される
かもしれない。